レベルアップ(初)
とりあえずたくさん投稿してみます。
悠は鋼の短剣を握り直し、目の前に立ちはだかるスライムに向き合った。その数は5体。先ほどの戦闘でようやく倒したばかりの相手が複数現れたことで、自然と冷や汗が滲む。
「まずは一体ずつ……落ち着いていこう」
短剣を構え、最も近くにいるスライムに狙いを定める。先ほどの経験を思い出し、狙うべきは体内で揺らめく黒いコア。悠は相手の動きを慎重に見極めながら距離を詰めた。
スライムが跳ねるようにこちらへ迫ってくる瞬間、悠は足を踏み込み、短剣を真っ直ぐ突き出した。
「よし!」
短剣は見事にコアを貫き、スライムの体が一瞬にして霧散する。その瞬間、頭の中に小さな通知音が響いたような感覚がした。
「経験値を獲得しました。レベルが1上昇しました。」
「レベルアップ……だと?」
再び目の前に現れたステータス画面を確認すると、レベルが「2」に上がり、全体の数値が少しずつ強化されているのが分かった。
•レベル: 2
•体力: 15/15
•攻撃力: 5
•防御力: 4
•敏捷性: 6
「なるほど、魔物を倒して強くなっていくってわけか……」
理解した悠は、残りのスライムに対してさらに集中力を高めた。
戦いが終わる頃には、悠は全てのスライムを撃破していた。体は疲れていたが、初めて感じる充実感に満たされていた。
スライムが消えたあと、その場に何かが落ちているのに気づいた。近づいて拾い上げると、それは小さな本のようなアイテムだった。
「スキルの書:『体力増強(小)』」
「スキルの書?」
画面に書かれた説明を確認すると、スキルの書を使用することで新たなスキルを習得できるらしい。悠は試しにその書を開き、「使用しますか?」という問いに「はい」を選択した。
次の瞬間、彼の体に暖かい光が流れ込み、新しい感覚が広がった。
「スキル『体力増強(小)』を習得しました。」
「これで体力が少しでも増えるなら、戦いが楽になるかもしれないな」
その後、悠はダンジョン内をさらに探索した。スライムやその他の小型の魔物を倒しながら、少しずつ経験値を稼いで成長していく。そして、初めて遭遇した「ダンジョンウルフ」と再び向き合う時がやってきた。
崖から落ちた際の恐怖が蘇る。しかし、今の悠には鋼の短剣があり、スキルもある。体力や攻撃力も当時より遥かに高まっている。
「今なら……いけるはずだ!」
ダンジョンウルフは再び彼を睨みつけ、低く唸り声を上げる。悠は緊張しつつも、その鋭い目を見返し、短剣を構えた。
「これが……本当の初戦だ!」
狼と少年の戦いが、洞窟の奥深くで幕を開ける――。