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セパレート  作者: アキトの小説の時間
能力者国家申請要請戦
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能力者たちの国

 アンセムは手を差し伸べられたが、その手は使わず立ち上がった。


「友人たちも一緒なら考えなくもない?」

「悪いが連れて行けるのは君だけだ」

「それは残念」

「だがもし気が変わったら、また能力を使ってくれ。喜んで迎えに行く」


 男たちは去ろうとした。次元に歪みが生じている。彼らはどこかからワープゲートでやって来たようだ。ゲートを閉じられては追うことができない。


「待て、私たちはお前たちに関心がある。残れ!」


 ララバイが傘を向けて言い張るが、彼らに残る気はなさそうだ。その中の1人がこちらを見て、アンセムの友人たちを吹き飛ばす。


「随分なマナーだな」

「ララバイ、追うんじゃない。攻撃的な態度では、物事はうまく進まない」

「お前が物事をうまく進められたことないだろ」

「先に攻撃してきたのは向こうでしょ」

「だが私たちは平気だ。ガン飛ばされたくらいで怒るな。それよりイギリスに来たんだ。美味いものでも食べに行こう」


 ここで追っていれば、彼らがどこから来たのか突き止めることができたかもしれない。あいにくオウギに止められてもうワープゲートの先は分からない。彼に本当に調査する気はあるのだろうか?


 オウギたちがレストランで食事をしている間、とても歪な次元の中では、着々と建造物が建てられ、自給自足するのに充分な食糧が生産されていた。ここは逃げてきた能力者たちが作り上げている自分たちのための国家。まだ完成とは言えず、世界に散らばっている能力者を集め、領地を拡大している段階だ。今はヨーロッパを中心に同士を探している。


「このアジア人の女、只者じゃありませんでした」


 六角形の机を均等に囲む椅子に座る6人の能力者たち。彼らは皆25歳と若いが、この国の代表であり最年長である。ただ年齢以外にも共通して、かつては上級階級にいた者たちでもある。

 そんな彼らにアンセムについて身元を調べた調査員が得られた情報を報告している。


「誰なんだ?」

「セーフガードの見習いです。永存アカデミーの人間でした」

「永存?なぜ極東のアカデミーが?」

「夏休みでもとって旅行に来たか」

「それについては分かりませんが、注目していただきたいのは彼女が所属しているチームのリーダーです」

「そいつも空港にいたな」


 オウギの写真に指を指す女。彼女こそ次元を歪ませて、能力者たちを運んでいる張本人サギラワだ。調査員が話を続ける。


「はい。それ以外のメンバーと思わしき人物も同じ空港で目撃されています」

「任務できたのか! なぜ永存アカデミーから遠いヨーロッパに派遣されるんだ?」

「考えられる可能性はいくつかありますが、やはりメンバーに我々と同じ能力者がいたこと。そして彼女のチームリーダーは、セーフガード13の創立メンバーの1人の息子です」

「優秀なのか?」


 調査員はオウギとそのチームの活躍が載っている記事をいくつか表示した。ティガナンの逮捕に貢献や、ガルセナ・ザ・ハンターの腕を切り落とした件、天使と戦ったいう目撃証言など、ここ数ヶ月の活躍が出てくる。


「敵に回したくはないな。能力を持った一般人を装い、チームで我々の国に入り込み、内側から潰す作戦だったのかもしれない」

「見習いとは言えセーフガードである以上、我々の敵とし、今後彼女を勧誘するのはやめよう」


 この提案に4人が賛成した。しかし1人が別の案を出す。彼はアンセムに手を差し伸べていた張本人トルスターだ。


「我々がこっちに戻ってくる時、そのチームにいる能力者でない方の女が、我々を追ってこようとしてた。もちろん迎え撃つつもりだったが、そのリーダーの指示で、追うのをやめていた」

「まだ向こうにとっても我々の強さは未知数。深追いすることを避けたんじゃないか?」

「それはつまり彼らも我々にどう接するか決めかねている可能性があるということ。一度彼らを招いてみないか?もし味方になってくれるなら、国として大いに役に立つ。ならないなら、その場で殺せばいい」

「逃げられたらどうする?」

「その心配はない。私の能力なしにここから元いた世界には帰れないのだから」


 新たな提案に5人が賛成し、オウギとそのチームを招いてみることとなった。しかし問題が1つある。彼らがどこにいるのか分からない。こっちには能力の発動を感知できる者がいるが、それだと待たなければならない。

 アンセムの能力発動がないまま3日が過ぎた。警戒されたか?


 アンセムが能力を使えば、あの能力者たちがやってくる。彼らの話に乗るのも正直悪くないかもしれないとは思っている。しかしまだ実体が分かっていないので、オウギにしっかり調べてもらいのだが、最近の彼はハーミーといちゃついてばかりで任務を忘れているのではないかと不安になる。

 そんなオウギはハーミーの使っている研究室を訪れていた。本来部外者は立ち入り禁止だ。


「難しいレポートがいっぱいだ。ちゃんと紙に印刷してるんだな」

「デジタル画面じゃ、いくらあっても足りないからね。実体のあるホログラムで紙の代用するって話あったけど、あれコスト的に洒落にならないし、だったら紙で良いんだよね」

「歴史の長い道具は伊達じゃない」


 オウギは適当に1つ手に取って見てみる。タイトルは「全ての物質が純粋なエネルギーの不完全状態であるかについて粒子加速器を用いた高エネルギー物理実験の結果レポート」 この内容には、全ての物質は純粋なエネルギーの不完全状態であることを否定することができなかったと書かれている。


「散々否定できないのに、イコールで結びつけることはできない。研究は大変だな」

「そこがまた面白い。そうでしょ」

「いや嫉妬してるよ。私が唯一愛する人をここまで魅了して、こんな国にまで連れ出した」

「頑張って取り戻すチャンスをあげよっか?」


 今日この研究室にはオウギとハーミー以外来ない。だから彼女は今日ここにオウギを連れ込んだ。


 2人の仲がいいのは良いことだが、任務がある。アンセムが痺れを切らして帰ってきたばかりのオウギに問い詰める。


「能力者のことはどうするつもり?あれから何もしてないじゃない」

「同士に会いに行きたいか。向こうが私たち全員を招待してくれるなら良いのだが……今一度交渉してみよう。呼んでみてくれないか?」


 言わなかったら、一生調査しないんじゃないかと思ってしまう。能力を使い、彼らを呼び出す。前は4人だったが、今回は今回は5人いる。そのうちの3人は初対面だ。


「再び呼んでもらえて良かった。我々でまた話し合ったんだ。オウギ、是非とも君たちにも来てほしい」

「それは話が早くて助かる。ハーミー、君は待っていてくれ」


 オウギのチームとデングとダンカイは歪んだ次元に入っていった。出た場所は建物の中だが、窓越しに広い町と異様な歪んだ空が見える。よくここまで作り上げられたものだ。

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