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セパレート  作者: アキトの小説の時間
チームアップ
3/32

双子の姉ララバイ

 純粋なエネルギーはサイコロサイズでも太陽一生分のエネルギーを内包している。マレーシアでは大手の電力会社の経営者だったティガナンの持っていた模造品は、そのレベルには到底及ばないが、模造品と呼べるレベルのエネルギーが凝縮されている。つまり一歩間違えれば地球なんて一瞬で滅びる品なんだ。だから無断で製造することを禁止された。

 ティガナンが所持していた模造品を製造していた工場に、マレーシア警察とセーフガード協力の元、ガサ入れが行われた。工場はもぬけの殻だったが、いくつかの設備が残され、中には模造品を作っている途中で止められている機械もある。勝手に作ろうとしているのは危険だが、途中で放置されていたのはもっと危険な行為だ。すぐに待機させられていたイギリスにある唯一の純粋なエネルギーの研究機関の指揮の元、工場の解体が行われる。

 今回、オウギのチームは工場のガサ入れの見学に来ていた。見学に来ていたのは事実だが、オウギのメインは別にあった。それは叶わなかったらしいが。


「オウギは誰と電話してるの?」


 解体されている工場を眺めながら、アンセムとホンドとゲインは屋台で売られていた生春巻きのポピアを食べている。このまま戻ってこないとオウギの分はなくなる。


「ハーミーだよ。英国技術大学に行ったオウギの恋人。あそこにしか本物の純粋なエネルギーはないからな」

「へー恋人がいたんだ」

「狙ってたのか?」

「まさか。オウギといたら楽できない。楽したくて強い人のチームに入ったのに、アテが外れて毎日ガッカリしてる」

「だったら何故セーフガードに入ろうとしてるんだ?ちなみにゲインにもセビラっていう盲目の彼女がいるから」

「アンタは?」

「俺は浅く広い関係の方が好きなんだ。恋人みたいな関係は肌に合わない」


 気づけばポピアは食べ尽くされていた。だがオウギは怒らないだろう。そもそもオウギの分があったなんて誰も言わないのだから。


 隠密ジェット機で帰国中、オウギ当てにメッセージが届く。内容は早く帰って来い!というものだ。送り主は誰か知らないが、名前の前に永存ならず者集団の一員であることを示すENと書いてある。

 ジェット機を着陸させ、待っていた男に問いかける。


「君がメッセージの人?」

「こっちへ。あなたのお姉さんがいらっしゃってる。もうそれは止められない方だ」

「……誰?」


 ホンドもゲインもアンセムも兄弟姉妹はいない。オウギは幼き頃に父テンガンと母スサノが離婚しているため、断言はできない。特にテンガンは昔から女性関係が絶えないらしい。だが場合によってはオウギの地雷に触れることになる。

 案内された訓練室には永存アカデミーの同士が1人を警戒するように囲んでいた。囲まれている女は、全身黒いライダースーツに加えて、ウェーブのかかった漆黒の髪と漆黒の瞳でほとんど真っ黒。その割に傘の生地は白い。


「やっと来た。待ってたよ」

「お前!」


 アンセムに何か言うのを遮られた。彼女に異様に警戒している。


「噂聞かなくなってたけど、まだ生きてたのか!その体はどうした?昔はもっとボロボロだったろ!」

「アンセム知ってるのか?」

「気をつけて。危険な殺戮マシーンよ」

「あなたに言われたくないね。オウギ、私の双子の弟。悪いことは言わない。アンセムをチームから外しなさい。コイツはどうしようもないクズ。生き残っていたことに私も驚いてる」


 オウギが返答するまでに少し間があった。しかも相手の言っていることに対する返答ではない。


「君と私が双子……つまり、君を育てたのはスサノ」

「そうよ。ママの名前知ってたんだ。そういえば名乗ってなかったわね。私はララバイ。あなたの双子の姉」


 ホンドとゲインがしれっと後ろに退がる。何だかオウギの様子がよろしくない。


「帰れ。アンセムをチームから外す気もない。ここはセーフガードになる者と彼らを支える者のための場所だ。お前はそのどちらでもない」

「この話し方で伝わらないなら、別の方法で伝えるだけのこと。痛い思いするわよ」

「みんな誰も手を出すな」


 オウギの目の前にララバイが現れ、彼の頭が吹き飛ぶパンチが炸裂する。オウギは頭が半壊しても動ける。ララバイの殴ってきた腕を掴み、残像が集結する蹴りが彼女の腹に入った。掴まれていた右腕が千切れて飛ばされる。だがその腕は衣服ごと再現される。オウギの頭も元に戻っている。


「頑丈だな。上下で別ける気で蹴ったのに」

「さすがは私の弟。楽しんじゃうよ」


 ララバイが傘を持ち斬りかかる。刃はないのに切れ味は抜群だろう。オウギは霊体になって回避した。霊体になったのにララバイは掴んで壁に打ちつけて殴ってくる。更に傘で刺しにきたが、それはオウギの体がガラスのように砕けて避けられた。全てのガラスが砕け落ち、消え去るまでオウギの存在は誰も察知できない。

 オウギが再び姿を現した時、ララバイに強烈な斬撃を脚から放つ。その攻撃でもララバイの体を切り裂くことはできない。


「技が豊富だね。パパから教わったの?」


 彼女は地雷を踏んで処理するタイプかもしれない。オウギは回復する前に追撃を仕掛けようとしたが、回復してなくても防がれるし攻められる。


「何の恨み?私は恨まれるほどの相手なの?」


 ララバイの傷が完全に治り、オウギの顔面にパンチを入れる。顔を潰したところでオウギは止まらないが視覚、聴覚、嗅覚の機能を妨害されはする。オウギはララバイの追撃を蹴って距離を取り、顔を治した。


「もういい、もう沢山だ!これで決着を決める。」

「何してくるの?」


 オウギが何かの技を用意し始める。それは彼の背後に蜘蛛の巣状のひび割れを作り、ララバイも囲むように拡がっていく。これが何の技なのかララバイには分からない。だが分からない攻撃を未然に止めるほど野暮じゃない。少なくともララバイはそうなんだが、ここにいるのは彼女だけじゃない。


「何してるんだ?冷静じゃないな。いや冷静ではあったか。最良な判断とは言えなかったぞ」


 オウギの技を止めたのは、手持ち型音波バズーカだ。そしてそれを持っていたのはセーフガード13の創立メンバーの1人であり、オウギとララバイの父テンガンだ。


「どこまで手の内なんだ?」

「まるで私が悪者みたいな言い方はやめてくれ。お前が私の後を継げる逸材になるまでだ」

「せっかく出会えた姉弟で戯れ合ってたのに邪魔しないでよ」

「戯れ合えるような仲でもないだろ」


 ララバイは少し考える。オウギの強さは気に入った。しかし彼にはどういうわけ恨まれている。この問題は解消しておきたい。その方が楽しそうだ。よし、オウギと仲良くしよう。

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