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〜 黄昏 〜  作者: 晴倉 里都
第一章
13/204

手口

平本(ひらもと)先輩……」


 智恵香は、恥ずかしそうに下を向いた。


「驚かせたかな」


 平本は(うつむ)く智恵香を少しのぞき込むように優しく話しかけた。


 その横で桐谷(きりたに)が満足げに


「そりゃ、驚くよね」


と言うと、続けて


 平本先輩は、智恵香が入部間もないころから気になっていたこと

 しかし、当時彼氏がいたから遠慮していたこと

 実は槇島 瑠華(まきしま るか)平本 一臣(ひらもと かずおみ)は幼なじみで、槇島は密かに平本の智恵香への想いを応援していたこと

 彼氏と別れて落ち込んでいる智香香に、平本と付き合って元気になってほしいとお願いしようと思っていたこと

 役員の平本と付き合うとなると、智恵香に周囲からプレッシャーがかかるので、もし二人が上手くいけば、自分がなんとかカモフラージュして、二人の仲を応援するつもりであること

 槇島は、一ノ瀬(いちのせ)部長と付き合っているので、男性陣の方は、一ノ瀬がコントロールするから、智恵香には何の心配も無く、平本の想いを受け入れてやってほしいと思っていること

 桐谷は槇島に頼まれてこうやって動いていること


を説明した。


 智恵香は俯きながら考えた。


 やはりこの手口だったか


 シミュレーションしてきたとおり、「私が平本先輩となんて(おそ)れ多くて」的な台詞(せりふ)を何度か繰り返してみる。


 平本が強引に出ると(かえ)って智恵香が引いてしまうことがわかっているため、平本は口を出さず、桐谷が横からせっせと智恵香を説得し始めた。


 しかし


「ほら、平本先輩と付き合って元彼を見返してやろうよ」


 桐谷は強烈なひと言をはなった。


「あのバカ!!」


 桐谷に持たせていた盗聴マイクで会話を聞いていた槇島は、思わず苦々しく言葉を吐き捨てた。


 智恵香のような人間にそんな言葉を言えば……


「いえ、私……そんな……」


 ほら、こうなったじゃないの!

 桐谷が調子に乗って余計なことを


 槇島は(あせ)った。


「私、平本先輩をそんな。見返すとか、そんなつもりは」


 智恵香はここで『平本を元彼への当てつけに利用するなんて出来ない』という雰囲気が正解かと思い、そう装った。


 すると、平本が前にきて


「ぼくなんかじゃ、見返せないとは思うけど。塚本さんが良いなら、利用してもらえたら嬉しいよ」


と優しく語りかけた。


 やはりこの手口だったか


 代議士の娘が、こうやって平本に落ちていったのは、想像に難くなかった。


 誰もが……桐谷本人以外が、桐谷が失敗したと思った瞬間、このフォローに入れる平本は、なかなかの人物だと思った。


 智恵香は、まずは友達からという平本の条件をのみ、二人で会う約束を交わした。



 この件で、少なくとも、一ノ瀬 尊士(いちのせ たかし)槇島 瑠華(まきしま るか)平本 一臣(ひらもと かずおみ)桐谷 鈴音(きりたに すずね)が関与していることがわかった。


 今後、何人の人間が絡んでくるのか

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