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色褪せた花  作者: 吉井春
出会い
1/6

退院と家族との再会、出会い

 桜がちょうど満開を迎える頃、私は病棟から退院した。

 私は約3ヶ月前、新年に統合失調症を患い精神病院に入院した。そこでの生活、生活というか時間の消費は非常に辛く、身体には蛾が蠢き脳には蝶やら玉虫がわるい夢を観させてきた。

 そいつらは時間の経過とともになりを潜めてきたため、私は退院することができたのだが今でも完全に消え失せたわけではない。

 現に今も周りの人間が私を殺そうと、もしくは危害を加えようとしているのではないかと「夢」を観させてくる。

 そんな中、気を逸らそうと桜のほうに目を向けると華奢な私と同じくらいの年齢の女の子が、こちらを見ていた。

「あなたも今日退院するんですか?」

 そんな問いをかけてきた。

 驚いた私は、

 「ええ、そうです」

と狼狽しながらも返した。それに彼女は、 

「私も今日退院するんです、お互い良かったですね」

と返事をした。そうしていると、彼女の両親が迎えにきた。

「久しぶりだね。美代。退院おめでとう。」

と父親が言い、母親は

「ずっと心配してたのよ、大丈夫だった?」

と言った。

 そして彼女の主治医だと思われる人が出てきて、両親に容態を説明した。

どうやら彼女も私と同じ病気らしい。

 やがて話が終わると、母親が私の方を向いて、

「こちらの方は?」

と訪ねてきたので。私が口を開く前に彼女が、

「ついさっき話してた人。この人も今日退院するんですって」

と言った。そうしたら、母親が

「それはおめでとう!、もし良かったらこの後お食事どうかしら」

と聞いてきた、ちょうど私の両親も私のそばにきたからだろう。

 それに対して父親が

「奈緒さん急すぎないかな、どうでしょうかそちらは」

とこちら側に問いかけてくるので、私の父親の寛人も母親の美奈も

「是非、うちの直人と美代さんの退院祝いということで」

と言った。これには美代の父親の一誠も安堵した表情で、近くの小綺麗な料亭に向かうことになった。

 車に乗るまでに私も父と母から労いと激励の言葉を貰い、両親は私の容態を主治医から聞いた。




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