天秤は揺れる4
〜エヴァン家の食卓〜
「さて、皆んな揃ったね。じゃあ、頂きます。セツナ、眠そうやな。」
クランは食卓に揃ったメンバーをみて、手を合わせる。
円卓に、クラン、セツナ、トワ、エリス(母)、グレン、ネオと順繰りで座っている。
「あれから、寝てなくて。」
セツナは無意識に右手を動かしてしまう自分と格闘していた。
無いはずモノがずっとあるのだ。
「どうする?」
エリスが夫の顔を見る。
「うーん。一応さ、ざっくりとは考えてはいるよ。」
クランは答える。
「教えて頂けますか?」
緊張しているグレンはクランに尋ねる。
「簡単にだよ?土地勘があるグレンさんとライデルとマグンを筆頭にアルーマで、魔界はセツナと隠密に長けたメンバーをセツナお前が選んで、残りが聖域でひたすら粘る。魔界の天秤壊せるのが、恐らくセツナしかおらんのよ。怪我してて申し訳ないけど頼めるか?間違え無く一番大切なポイントは魔界だよ。託せるか?」
セツナを見つめるクラン。
「私は絶対ついてくよ?」
トワは食事に集中しながら、釘をさす。
「選考外。」
刺した釘を抜くセツナ。
「わしは、どうしたら?」
ネオは名前が挙がってないので不安になる。
「お前はうちとやろ?」
グレンは当然やろ?って雰囲気を出す。
「あっ。そうでしたね。」
ネオは、師匠と共に歩むのが弟子の宿命と知る。
「間違えなく、それぞれが厳しい戦いになると思う。皆、頑張ろうか。セツナ、紙に書いて貰ったメンバーで任せるで、あと、伝え忘れていたけど、龍のポータルは廃墟、魔の巣窟だよ。すでに浸食が確実に広がっている。」
クランは冷静に現実を告げる。
世界の滅びのカウントダウンが着々と進んでいたのだ。
セツナが眠りについている間に、聖域は非常事態宣言を発令していた。
「何となくそんな気がしてました。」
セツナは驚きはしなかったのだ。
腕を奪い去る悪意の塊に振れた時に666の死の息吹きを感じていたのだ。
恐らく父は、自分の目覚めをじっと待っていたのだろう完全に回復するのを待って計画を動かす決意をしていたのだ。
セツナは胸が痛くなる。
恐らく、嫌、確実に寝ている間に仲間の命が散っていっていた筈なのだ。
真理の目を持つ自分の目覚めを信じて仲間達が貴重な時間を稼いでくれていた。
「やろう。」
トワが大きく声を出す。
「さてさて。姫の本気出すか。」
グレンが陽炎を握りしめる。
「わしが、先陣きったる。」
ネオはレイピアを構える。
「緊張するな。」
セツナが深呼吸する。
「じゃあ、エリス頼める?」
クランはエリスにお願いをする。
「はいよ。飛ばすよ。」
エリスはゆっくりと術を刻む。
神術。
『時に逆らう。次元に逆らう。座標固定。指定。開け。大いなる扉。』
発動、天国の扉。
「天秤が揺れる下で。」
セツナが別れの言葉を皆に伝える。
皆が頷く。
光の柱が立ち上がる。
神族の反撃の狼煙が上がった。




