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黒の守護者1

大変お待たせしました。エンディングまでの道のりが決まりました。皆様と一緒に楽しんでこの世界を冒険して頂きたいですね。今回、かなり長くなってます。いよいよ、666が動き始めます。

〜龍神族の村〜

「やっと帰ってこれたよ。」

セツナは久しぶりの聖域の空気を肺いっぱいに吸い込む。

「次は、セツナかよ。今日は出入りが多いな。」

セツナに見向きもしないサーベル。

「よし、アルカポネ。」

クルトは、手札からガルを出す。

「くそっ。負けた。」

ルカルドは手札を地面に投げる。

3人でカードゲームをしていたのだ。

その名は、3人用のターナルである。

ルールは凄くシンプルで、ガルはウエドに強く、ウエドはマヒヤに強い、そしてマヒヤはガルに強い、ジャンケンのカードゲームなのだ。

ガルとウエドとマヒヤをそれぞれ3枚手札として合計9枚持ちゲームをスタートする。

引き分けは山として次回の勝負に持ち越される。

じゃんけんに負けた敗者が山にあるカード全て貰い受ける。

早く手札を残り2枚にしたプレイヤーが勝利となる簡単な遊びなのだ。

最後の2枚なった時にアルカポネと叫ぶ子供向けのカードゲーム、それこそがターナルである。

「終わってる。ルカルド先輩まで何してんすか?」

セツナは楽しそうな3人を見て呆れる。

聖域の門番が暇だからとゲームにふける姿に呆れたのだ。

「だって今日、上の人誰も出入りしないもん。荷物や賓客対応無いし、ネオの確認さえ済んだら俺らの今日の仕事終わりだよ。よし、もう一回やろうぜ。」

ルカルドはカードをまた配りはじめる。

「まぁ、確かに門番って一番安全な場所だもんね。」

セツナは四つある石柱を見る。

恐ろしい程の数の刻印が刻まれていたのだ。

この全ての刻印が防護結界の術なのである。

「だろ?門番の基本的な役割ってマナー講習会場みたいなもんだからさ。しかもこいつらセンス無いから、諦めた。実技は勿論叩き込むよ?そこは、しっかり、でもそれ以外は中々ね?わかるだろ?よし、俺は、ウエド!お前らは?」

ちらっとセツナと顔を合わせるルカルド。

「俺もウエド!」

サーベルがカードをめくり表にする。

「くそっ引き分けかよ。俺もだわ。」

クルトもカードを表にする。

「確かに、でもそれで良いの?長老達、こういう儀礼作法身に付いてないと煩く無かったけ?」

セツナは先輩達を見つめる。

「こいつらのじぃーちゃんが、長老じゃん。一番理解して諦めてくれたよ。」

ルカルドは、マヒヤを出す。

「プハッ。そういう事?マジで?」

セツナは飲もうとしていた水を噴き出す。

「まぁ、セツナ。実技さえ良ければ何とかなるんだよ。」

鼻をすするクルトはガルを出す。

「そうそう。センスよ、センス良ければ飛び級合格よ。くそっまた引き分けかよ。」

サーベルは悩みながらウエドを出す。

「そう言う事なら、次、俺も混ぜてよ。」

セツナは地面に座り込む。

荷物は全てこっち側へ送ってリヴァに配達をお願いをしており、グレンからのお使いを完璧にこなしたセツナも暇だったのだ。

この後の予定も特に無く、ここ龍神の村でグレン達と待ち合わせを翌日とあってセツナも遊びにふける。

「久々に帰ってくると良いだろ?故郷って。」

サーベルが7順目のジャンケンで勝ち切り、4人に6枚ずつ配る。

残りの3枚を別に避ける。

「そうですね。やっぱり落ち着きます。」

セツナはカードを受け取る。

「セツナ、トワあいつ凄いな。成長が。」

クルトはさっき出会ったトワの成長に驚いた事を伝える。

「それは、俺も思った。」

ルカルドも頷く。

「セツナは、神気の使い方上手くなったよな。制御が綺麗やね。」

サーベルが付け加える。

「俺は、そんなに変わってないよ。妹は確かに化けたね。俺、多分勝てないよ。全力でやっても。」

セツナはマヒヤを裏で出す。

「それは、ケンカだとやろ?」

ニタっとウエドを裏で出すサーベル。

そんな、遊びにふけっていると、遠くからリヴァが帰ってきたのだ。

すぐ近くにヴォルケもいる。

明日、合流する筈の全員が帰ってきたのだ。

「にぃに!!聞いて聞いて!!私ね、、使えるようになったの。」

凄く嬉しそうなトワ。

「あっ。やばいな、グレンさんいるじゃん。」

ルカルドはゲームを投げ捨て隠す。

遊びにふけっていた3人は急いで立ち上がりグレンに敬礼する。

グレンは鬼神族の姫なので貴賓扱いで対応する必要があったのだ。

「ハハっ。いいよ、気にしないでよ。元々は明日来る予定だったの早くしたのこっちだし、楽にしてよ。ほら、続きやりな。」

グレンはドタバタする油断していた可愛い門番達を笑う。

ルカルドは、2300歳とこの中で最年長だが、グレンの方が格が上なので冷や汗が止まらなかった。

「ほら、言わんこっちゃない。」

セツナだけは座って残り4枚のカードで団扇をしながら皆んなとの再会を喜ぶ。

「なんと!!にぃに、私、龍言でたよ!」

トワは自分の感動をまずお兄ちゃんに伝える。

「すご?今、使えるの?」

セツナは今日一番に驚く。

「無理!!なんで使えたのかわかってないもん。」

トワは肩をすくめる。

「それでも凄いわ。歴代最年少ちゃうん?」

セツナはルカルドを見る。

「確かに、そうかも。100歳で使ったフリズさんが最年少記録保持者だもん。」

ルカルドは歴代の記録を思い返す。

「フリズ大叔母様が記録保持者なんだ。やっぱり、凄いなあの方は。」

セツナは改めてフリズ大叔母様の偉大さを認識する。

「何をおっしゃる、セツナ。お前も十分化け物よ。3代目の白の守護者になる人がそんなに謙遜するなよ。こいつらを見ろよ。サーベルとクルトは、まだアルーマへの冒険許可出てないんやで?その年で旅してるだけで間違えなく化け物クラス。」

ルカルドは、長い黒髪を結って後ろに束ねて括りながらセツナを褒める。

グレン姫がいるので、見苦しい長い髪を小奇麗しようと束ねたのだ。

「ルカルド先輩は、何歳だったの?」

セツナは皆が散らかしたカードを纏める。

「俺は、45歳位よ?少なくともこいつらよりかは、早かったな。」

サーベルとクルトに少しお灸をすえる。

お前らも早く旅出れる位までは成長しろよとメッセージを込めるのだった。

「はーい。頑張ります。」

その二人がハモッて答える。

外の世界へ行くには、実技と座学のテストを合格すればいいのである。

この二人に足りないのは基礎教養の座学だけなのだ。

「トワでも受かったんだから、さーたんとくるたん。頑張らないと!」

トワは座学は得意では無いが、にぃにと一緒に冒険をしたくて死ぬほど頑張ったのだ。

「トワに言われたら頑張らんとな。」

クルトは頭をかく。

「暗記嫌いなんだよな。セツナは良いよな。ライデル兄さんみたいに頭良いしさ。」

サーベルは口を尖らせる。

「私が教師なろうか?」

皆の雑談を聞いてグレンが提案する。

「いやっ。それは、僕らには、ルカルド先生がいるので、先生についていきます!」

超過酷なカリキュラムが組まれそうな予感がしたので、クルトは先生の影に隠れる。

「それは、良い提案ですね!グレンさん、ここに滞在している間だけでも頼めますか?」

ルカルドからしてみれば、身内だとどうしても甘くしてしまうので、第三者による教育の大切に気が付く。

「終わった。本当に任せるの?」

サーベルがうなだれる。

正直、魔族が多いアルーマに行くのが怖くて、社会勉強の旅に乗り気ではなかったのだ。

「えー。ずるい!!私は?」

トワがすねる。

せっかく沢山、グレンねぇと遊べると期待していたのに、それを邪魔されたのだ。

「全員が全員、冒険が好きって訳じゃないんよな。そこまで積極的なトワ凄いな。外の世界とか興味無いもん。」

クルトもサーベルと一緒の性格をしており、内向的なのだ。

もちろん体を使った体術や遊ぶのは好きなのだが、地元が一番好きで、気楽に生きたいタイプなのである。

神族だから完璧な神様のイメージがアルーマでは根付いている。

しかし、実際は神族も人族も性質は変わらない。

阿保な奴もいれば、賢い奴もいる。

これは、魔族でも当てはまるのだった。


〜その頃、別世界の砂浜〜

「全くあの子は、困った子だよ。」

黒づくめの男性が夜の海辺の砂浜でサクラルの木に括り付けたハンモックに揺られながら流星を眺める。

「ワシを殺す気かな?生い先短いじいさんを虐めてあいつは楽しいのか?」

顔に被さった帽子をより深く被り、うとうと、夢心地を楽しむ。

「何故?守るんですか?こんなくだらない境界を。」

遠くから薄明かりで照らす杖を持った男性らしきシルエットの人物が近寄ってくる。

「お前こそ、何故壊そうとする?」

黒の男は近寄ってくる人物に問う。

「貴方のためですよ。0。」

そう言ったのは666だった。

「ふーん。ワシは頼んで無いけどな。」

目すら合わすことなく、木のざわめきに耳をすます。

「こんな無茶せずに、さっさと壊しましょうよ。」

少しじれったそうに説得をする666。

「それより、お前なんか嬉しそうだよな。なんか良いことでもあったのか?」

0は、やっと少し黒の帽子を浮かしてチラッと666の顔を見る。

「話をそらさないでくださいよ。幾ら貴方でも死にますよ?私の本気なんですからこれ。」

666は流星を指差す。

「ワシを殺そうとしている奴に心配されても嬉しくないわ。」

笑いながら0は答える。

「昔の世界が恋しくないんですか?0?」

666は真っ青な炎となって語りかける。

「ワシは、今の世界好きだよ。」

0は本心を伝える。

「うーん。好きか嫌いとかじゃなくて、戻りたくは無いんですか?」

666は困った顔をする。

0の前だと666すら子供扱いなのだ。

「ほら、さっさとお前は戻りなさい。魔界へ、勝手にこっちの世界に来すぎよ、お前。」

0は右手で早く帰れとシッシッと振る。

「全く、あなたって人は、はぁーい。また来ますね、0。」

666はこれ以上ここにいても相手にして貰えない事を悟り小さくお辞儀をして門を開く。

「本当に優しい子だよ。昔はやんちゃな火の玉だったのに、大きくなって。」

666がいなくなったのを感じて独り言を溢す。

「さて、どうしたものかな。これ、結構辛いんやけど。」

ゴホッと咳き込むと少し血が唇からつたう。

666の前では元気良く見せていたのだが、内心はかなり無理をしていたのだ。

「大丈夫ですか?」

木陰に隠れていた女性が心配する。

「すまんな。ワシが歳なもんで、こっちの分まで負担させて。」

0は顔に被せていた帽子を左手でとり、そのまま軽く振って挨拶をする。

「私の方は、心配しないで下さいな、0。彼が666なのですか?」

白いフードを被ったままの女性が問いかける。

「そう、あいつが666よ。うちの子が迷惑をかけるな。すまん。今のワシには、アイツを止める元気すら、もう無いんじゃ。情けない話、そっち側でなんとかならんか?」

0はボーっと遠くを見つめながら語り続ける。

「はい。うちの甥っ子が、出来る子なので託しました。これでダメなら諦めがつきます。」

白いフードの女性はにっこりと笑う。

「お前さんの甥っ子なら、さぞ優秀なんだろうな。」

0の言葉。

「とってもですよ。いつか何処かで出会ってあげて下さいな、黒のおじいちゃん。では、私も帰りますね。」

自慢げな白の女性が白い輪っかを空中に描くとゲートが生まれる。

「ホッホッ、それは会ってみたいな生きてるうちに。」

0は咳き込みながら笑う。

真っ白なゲートが消えて無くなるとまた目を閉じる。

この世界は、ギアである。

二つの世界の境目、次元が溶けて融解する極点。

魔界と聖域を繋ぐ小さな世界、この世界の守護者こそ0だったのだ。

魔界に君臨する唯一の魔君である0は黒の守護者としてこのギアに住まう。

0は非常に魔界に生きる者には珍しい温厚な性格をしており、非常に優しいおじいちゃんである。

0の見た目は、背は小さく、しわしわの手に、少ししゃがれた声なのだが、言葉には威厳があり、佇む姿には君主としての風格が備わっている。

目の奥に宿る燃える様な情熱は老いても現在であり、その瞳が666は昔から大好きだったのだ。

黒の守護者が住まうギア。

白の守護者が鎮座するアテラ。

この二つの小さな世界が聖域と魔界を繋ぐと同時に隔たる壁として存在する。

ギアは濃い霧によって球体に囲まれた聖域の下の頂点に位置しており、アテラは上の頂点に位置する。

真っ暗な闇に包まれた魔界の上の頂点にギア、下の頂点にアテラが存在する。

聖域は浮島と霧で存在している。

聖域を包み込む霧は、下にあるギアに浮島からの滝が落ちて触れる事で霧となり上昇して頂点にあるアテラに触れて雨となり、また浮島へと循環を繰り返す。

浮島はそれぞれ独立しており、浮遊して定期的に巡回する事で雨を享受する。

魔界は、ギアから濃い魔気が吹き出して上から下へと循環する。

魔界に存在する唯一の巨大な浮島から流れ落ちる滝が、アテラに触れると光の雫となって魔気の流れに逆らって頂点にあるギアへと上昇する。

ギアに触れた雫は発光して雨となり浮島へと降り注ぐ。

魔界は浮島の中心部にしか雨が降らず、淵に行けば行くほど不毛な砂漠地帯が広がる。

強い奴程、真ん中を目指して弱い奴は不毛な大地で生きていく過酷な環境なのだ。

そんな世界の根幹を支えるアテラとギアは対極の存在でもあり、対である不思議な関係を10万維持し続けてきた。

それを壊そうとする666。

可愛い我が子である666の暴走を止める事が出来ないもどかしさを0は抱えて少し眠りにつく。

幼き頃の666を思い出しながら、黒の守護者は風に揺られる。


~魔界の中心部とある居酒屋~

「聞いたか?魔神の枠二枠抜けたらしいな。」

四ツ目の鳥の魔獣人キューレが、目をギョロギョロさせてコキュトスに話かける。

「聞いた。既に、魔帝クラスのやつらが殺し合い始めてるらしいな。」

尻尾が蛇で亀の甲羅を持つ四つ足の魔獣人コキュトスが答える。

「下手な真似したらころすよ?」

二人の会話を聞きながら後ろを666が通り過ぎていく。

「こわ。いるなら言って下さいよ。」

鳥の魔人キューレが身構える。

「魔君は健在でしたか?」

コキュトスは尋ねる。

「うーん。なんとも。」

渋い顔の666。

「ありゃ。」

0との交渉が上手くいかなかったと悟り口を二人は閉ざす。

そそくさと店を出る666の後ろ姿を見送る。

「これは、魔界に血の雨が降るな。」

コキュトスは尻尾の蛇で背中に背負った甲羅の痒い所を掻く。

「どちらにつくか。真剣に考えないとな。」

キューレが答える。

今の魔界は、アルーマ征服を目論む大多数が賛成する拡張路線派、聖域との統一を望む一番少数の混沌派、荒れ果てた魔界の再興を希望する穏健派の3つの派閥が存在する。

666が先頭に立つ混沌派は、魔界での支持が一番低い。

しかし、阿保みたいに強い666が筆頭でいるため現在も滅びる事なく活動を続けている。

コキュトスとキューレは穏健派であり、統一だの支配領域の拡張にも興味が無かった。

拡張路線派は、強敵である神域とは戦争を回避して、アルーマの滅亡を望む派閥なのだ。

聖域を刺激しまくり、あまつさえ境界を壊そうとする666は邪魔な存在なのだ。

六魔神の二人が消えて現在4名、666と1を除く2名とも拡張路線派で結託している。

元々、1対4のケンカをずっと続けていたのだ。

その均衡がとうとう崩れたのだ。

内戦の香りが魔界を支配していた。

「さて、どうしよっかな。」

666は、店を出た瞬間から3人の魔人から襲われる。

全員魔帝クラス並の強さがあり、1人が666の胸を小さなナイフで突き刺す。

突き刺さったナイフから呪が浮かびあがり強烈な痛みが走る。

「チッ、偽物か。」

依代と判断した瞬間に逃げに徹する。

判断の速さから上位の魔人である事が見て取れる。

ナイフを刺された666の体がメラメラと燃えて消えていく。

「全く油断出来ないな。捨て駒すら、このレベルか。クソが拡張路線を突っ走る馬鹿どもが。」

666の語尾が強くなる。

本体の体にも呪いが刻まれていた。

探知方の呪いらしく、依代に宿っていた精神体に呪をかけられたのだ。

素早く呪いをといて瞬間移動する。

敵に悟られないように完璧な後処理を施す。

「ご主人様大丈夫ですか?」

真っ赤なタキシードを着込みおしゃれひげを蓄えた老人が手にナプキンを携えて頭を垂れる。

瞬間移動した先は666の本拠地である邸宅だったのだ。

限られた身内しかいない豪邸に666は帰ってきたのだ。

この屋敷は要塞仕様となっており、ハウスキーパーや執事に料理人と全ても666が選りすぐった精鋭で固めている。

「執事長、ありがとう。大丈夫だよ。ただいま、執事1から5まで呼んでくれないか?いよいよ、狼煙をあげる時が来た。」

666は執事長である老人にお願いをする。

この屋敷に住まう住民は名前がないのだ。

役職名だけでやりとりをする。

魔族は魔術を使って呪いを使うので格上からの呪い対策で名前を全員捨てさせている。

少数精鋭だからこその徹底した対応である。

666は名前であるレツを公表している。

呪ってこいと魔族全員にケンカをうっているのだ。

「かしこまりました。ご主人様。すぐにご準備致します。3は外出しておりますので、少しお時間を下さい。」

執事長は言い終えるとスッと姿を消す。

去り際の魔気の残滓が感じられない。

この老人すらも手練れなのだ。

「ご主人様揃いました。」

あれから、三時間が経った頃に執事長が666の執務部屋に現れる。

「ありがとう。流石仕事が早いね。本当に全員いるね。」

666は溜まっていた書類を書く手をとめて顔をあげる。

視覚には1人の執事長しかいないのに揃ったと666は長を褒める。

「いえいえ。これ位、当然です。して、ご主人様、ご用命は?」

長は、白い大きなナプキンを右腕にかけてお腹あたり置き、左腕は背中に回したまま、緩い角度のお辞儀を維持する。

「魔神狩りを決行する。料理人、長、ハウスキーパーは留守番。執事1と5、執事2と3と4でグループ組んで、それぞれをアルファ、デルタと呼ぶ。良いかい?じゃあ、行くよ?」

666はグループ分けを始めたと思ったら、すぐに執事室から姿を消す。

「当たり!流石、俺。」

瞬間移動した先には先程666を襲撃をした魔人達と複数人の仲間が少しばらけて座っていた。

ここは、カター石碑である。

拡張派の拠点の一つなのだ。

ナグルの森にある大きな石碑に物資や武器を貯蔵していたのだ。

「えぐ。誰だよ?足つけられたの?」

狼と人が混ざった魔人が一番早く迎撃に動く。

魔術。

『狂え。視覚。聴覚。味覚。触覚。嗅覚。闇に閉ざせ。』

発動、暗黒の棺。

それ以外の敵側の反応も早かった。

巨漢の牛魔人も続く。

魔術。

『魔を穿つ。圧縮。回転。突き抜けろ。』

発動、魔弾。

突然現れた666に魔術で殺しにかかる。

拠点に置いてある警備魔術も発動して、エグい数の魔弾が666に襲いかかる。

「警戒体制。散れ。」

こんな魔術で666を殺せはしないと皆んなわかっているので、一斉に散り始める。

「アルファ、拠点破壊。デルタ、半数位削ったら帰ってきな。」

666は、自分にかけられた魔術を解いて魔弾を全て消し去り、逃げる彼らの姿をみて指示を出す。

666は、先程刺し殺しにかかってきた紫のフードを被った魔人の前に姿を見せる。

「逃げれると思ってるの?」

666は紫のフードを呼び止める。

「まさか。でも悪足掻きはするもんでしょ?」

魔術。

『魔剣。浮遊。加速。貫け。』

発動、千本の刃。

魔術。

『染まれ。闇。包み込め。夜。』

発動、夜の帷。

666の目の前が一瞬で暗闇に変わり闇から刃が襲いくる。

魔術、ハンドレット詠唱。

『地獄の業火。壁。燃え盛れ。』

発動、魔炎の障壁。

666の前方に地獄が広がる。

あたり一面を焼け野原にしたのだ。

暗闇を煌々と明るく照らし出す。

そこに紫のフードの男はいなかった。

「全く、こざかしい。痛っ。」

感知出来ない刃が666を貫く。

無を付与された刃が混ざっていたのだ。

「また、これか?」

探知型の呪いがまた刻まれる。

それを確認すると666は、依代を消し去り、すぐさま別の依代を作り出す。

「まぁ、良しとするか。拠点を潰せたし。」

666は無理に跡を追わずに石碑へと変える。

「熱い、熱い。マジで死ぬ。」

紫のフードは焼けて素顔が丸見えのエルフの魔人が魔炎に苦しむ。

なんとか666から間一髪逃げれたのだが、彼が放った炎からは逃げられなかったのだ。

「悔しいな。また失敗か。」

服まで延焼した炎を消し去るエルフ。

彼の役割は、666の本体の位置を見つける事なのだ。

666の体に刻んだ呪いが解かれるのを感じて首が項垂れる。

火傷した右脚を撫でる。

「大丈夫です?」

散って逃げ延びた仲間が魔水をもってくる。

傷に少しずつたらす。

「しみる。666って何なん?最初は影武者か他人を擬態させたのか分身って考えたんやけど。全部違うんよな。刺した時に空虚なんよ。奴の身体、気味悪いわ。最近、だから本体の位置を探せる呪いも作ったのに簡単に消されるわ。無理やで?あいつ見つけるの。」

泣きそうな顔になりながら治療を受ける。

「まぁ、そう愚痴りなさんな。あなたしかおらんのよ。666に近寄れる程の奴。」

紫のフードを被った女性が愚痴を聞く。

「命が幾つあっても足らん。」

火傷が治った跡をさする。

まだ少しジリジリするのだ。

「完治までいかなかったか。」

女性が傷跡をみる。

「さて、拠点が一つ消えたな。いよいよ、戦争か。」

エルフは遠くに燃え盛る煙の柱をみてため息が出る。

あの煙こそが戦いの狼煙となるのだった。

「もっとド派手に燃やせよ。」

666は、執事達に完璧な破壊を指示する。

非常に貴重物資もあったのだが、躊躇いなく燃やし尽くす。

「ご主人様、次は何処行きます?」

真っ黒な礼服の執事2が問い掛ける。

「そうだな。アルファは、東の拠点、デルタは南の拠点任せるね。場所は執事3に聞いて、彼に調査頼んでたんよ。じゃあ、後は任せたよ?」

666はアルファとデルタに指示を出す。

「ご主人様は?」

執事5が確認をとる。

「私は魔神狩りだ。」

666は、嬉しそうに答える。

黒の守護者なんて存在を消し去る計画がド派手に始まった。

魔界と聖域を一つにするべく、炎の魔神は歩き出したのだ。

黒の守護者が諦めた世界を叶える666の野望が魔界全体を揺るがす。

「さぁ、世界を一つに。」

666は声を木霊させる。大陸全域に響く様に、大きく、大きく。

黒の守護者の命を天秤にかけた666の戦いが幕を開ける。






長文にお付き合いくださり感謝致します。これにて第二章完結です。書き終えてからタイトル決めるのは、なかなか珍しいかと思いますが、すいません。さて、四章構成で終わりを迎えたいと思っています。次回!第三章お楽しみにw

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