まだら模様の友情2
「あっ、グレンねぇ!あっ、お久しぶりです。この前は、ありがとうございました。その節は、、、」
遠くにいるグレンをいち早く見つけるトワ。
そこから合流するまでに時間がかかったのだ。
ネフタニアに参加している重鎮から知り合いまで、出入りが多く、行き着くまでに時間がかかった。
「疲れたー。」
普段使わない言葉や挨拶に疲れを見せるトワ。
「トワって、知り合い多いんやね。」
来る人、来る人全員が、トワを知っている事に驚く。
「ほとんど、父の知り合いよ。私は、顔を何となく知ってるだけ。」
いつもなら、にぃにが対応してくれている。
トワにしてみたら、毎回ぺこぺこ頭を下げていただけで、正直繋がりをあんまり理解していないのが本音だった。
「ごめんね。トワちゃん、重たい荷物持ってきて貰ってさ。あれ?セツナは?」
トワから片手で荷物を受け取り、後ろに控えていた、神族3人にそのまま渡す。
「今、別です。雫が手に入らなくて、別れて探してます。それよら、ねぇね、また稽古つけて!」
トワが、嬉しそうにグレンに抱きつく。
「ごめんね、今、見ての通り忙しいんよ。落ち着いたらやろ。」
グレンが、お使いを頑張ってくれたトワの頭を撫でる。
「確かに、みんな、ドタバタしてますね。」
トワは周囲をキョロキョロ見渡す。
「お父様とすれ違わなかったの?トワ?ついさっき出て行ったからすれ違ったかと。」
グレンはトワの父親にさっきまで会っていたのだ。
「いや、見てないよ?父いたの?」
トワがもう一度キョロキョロする。
「ありゃ、そうだったんや。トワちゃんのお父上凄いね。鳥肌立つ位、強いわ。しかもイケメンだし。」
グレンは、トワの父親をベタ褒めする。
「そう?父を父として見てないと言うべきか、実感ないんよね。たまに家にいるおじさんってイメージだからさ。」
寂しそうに答えるトワ。
「それは。。。」
言葉が続かないグレン。
「変に気を使わんで、ねぇね。父としては微妙やけど、神族としては、私も尊敬してる。」
トワは笑う。
「そうだよね!凄い人よ!」
グレンは頷く。
「くぅるるる。」
そんな会話をしていたら、リヴァが自分より遥かに大きい荷物を神術で浮かしてやってきた。
目を見張る程の大量に皮袋が折り重なって一つの塊としてやってきたのだ。
「リヴァたん。これは、お疲れ様。疲れたでしょ。」
トワは、荒い息でぜぇ、ぜぇ、と疲れ切ったリヴァを神術で回復させる。
「うぉー。これは、助かるわ。思った量の100倍あるわ。」
グレンは予想を超える量に驚く。
「くぅる?くぅる?」
ヴォルケもリヴァを心配する。
「くる。くるる。」
リヴァが答える。
「何て言ってるの?」
ネオがトワに聞く。
「大丈夫?ご主人様は?」
とヴォルケ。
「死にかけた。遅れる。」
とリヴァは言ってる。
と、会話を軽く解説する。
「すげぇ、やっぱりわかるんだ!」
ネオは関心する。
「そりゃ、龍神だもん。わかるよ。」
トワが当たり前な話をするなと突っ込む。
「ちなみに、これ何?」
そう言えば、目の前の大量の物体の正体を何も知らないネオが尋ねる。
「これ、全部キプロスの雫よ。ネオ飲んでみる?」
グレンが皮袋を一つ取り出してネオに渡す。
皮袋一つのサイズすら、グレン程あり、ペシャンコになる。
「嫌。これ、重たいよ。」
地面にめり込みながら答えるネオ。
「全く、非力なんだから。」
グレンがよっこいしょと人差し指と親指で挟んで持ち上げる。
「はは。頭おかしいで?師匠。」
ネオは引き笑いが出る。
「ほら、トワちゃん。」
グレンは、そのままトワへパスする。
「んっ。ねぇね、ちょっと重いかも。」
トワは、両手でしっかりと掴んで地面に優しく置く。
「このサイズが50個あるとか、凄いな。」
改めてその量に関心するネオ。
「ほら、飲んでみな。」
グレンは、神術で皮袋の横に蛇口を作りそこから水を流し出す。
「美味いな。」
ネオは爽やかな水の味と疲労が吹き飛ぶ爽快感に驚く。
蛇口から溢れた水が蛇口に刻まれた刻印に触れて純粋なポーションに変化する事で、ネオに驚きを与える。
『ジリジリっ』
急に次元が裂ける音が響く。
グレンの目の前に複数の裂け目が現れる。
「ぐわぁ。」
6体程の魔獣が裂け目から現れて、牙を向く。
「ふんっ。素振り。」
すかさず、グレンは相棒の陽炎を使い狼みたいな見た目の魔獣を1匹屠る。
「わぁお。やばっ。」
油断仕切ってるネオに向けて残りの5匹が襲いかかる。
それを見てトワは、拳を素早く突き出す。
その拳から生まれた余波で魔獣を纏めて吹き飛ばす。
「きゅいぃーん。」
悲鳴をあげる3匹の魔獣を何の躊躇いも無く、尻尾で粉砕するリヴァ。
残りの2体は、ヴォルケが前足で踏み付ける。
「これが、忙しい原因ですか?ねぇね。」
裂け目から溢れる魔気が神気とぶつかりバチバチと鳴る音に嫌な顔をする。
「そうよ!これが、日常よ。」
グレンは、何とか裂け目一つを自力の神術で塞ぐ。
残りの穴から次の魔獣が侵入してくる。
近くにいる神族が地面に大きな穴を神術で作り出す。
そこに複数のマグンタイトと皮袋一つを裂いて穴をキプロスで満たすと一瞬にして蒸気が噴き出す。
「ナイス!ハルキ、ルンタイ。」
グレンはキプロスの霧を神術で練り上げる。
『纏う布。折り重なる層。水の膜。』
発動、緊急次元修復。
噴き出す蒸気全てを練り上げて裂け目へと覆い被せる。
すると、あっという間に裂け目が消えた。
「トワちゃん、2体処理。。やるね!流石。」
グレンは侵入を止めれなかった2匹の処理をトワにお願いしようとするが、とっくに消し去っていた。
「これ、たまらんね。小さい裂け目でも甘くないね。」
冷や汗が止まらないネオ。
第二波の1匹をなんとか仕留めたが、トワや師匠がいなかったらかなり重症を負っていた可能性が高い。
「私も、油断してたわ。」
トワも冷や汗をかく。
持ち前の反射神経で処理は出来たが、これを寝てる時に来たらと想像したのだ。
「今回、持ってきた貰った奴で簡易な自動修復を作ろうかと思うんよね。さっき、緊急で大盤振る舞いしちゃったけど少しの蒸気で塞がるから、必要でしょ?」
地面の穴に転がっているマグンタイトを粉々にするグレン。
さらにそこから手のひらでサラサラな砂にすり潰して加工する。
「熱くないの?」
トワが素手で触るお姉様を心配する。
「私、赤鬼よ?」
グレンは平気な顔でサラサラにした砂をひとつまみ掴んで小さな器にいれる。
その容器は砂時計を少し改造した器で上部の円錐形をしたガラスに水を入れて、下の部分は平らな器でマグンタイトを置く。
そうすると、上からポツリと落ちてくる水滴が下のマグンタイトに触れると蒸発して蒸気に変わる。
次に砂時計に刻まれた刻印が蒸気を水の膜に変化させて空中に浮遊させる。
簡単な話、加湿器の水蒸気全てに次元を修復させる神術を組み込む事で空間を安定させるのだ。
「その使い方だと足りなくなりませんか?」
ネオは山積みの皮袋をみて疑問を投げ掛ける。
「希釈するんよ。誰が原液のまま使うと言った?」
グレンは振り返りネオに答える。
「希釈して使うの?じゃあ今のは?何?原液でいったよね?」
ネオが目を丸くする。
「うん。だから、大盤振舞いよ!!」
てへっ、と舌を出すグレン。
「ちなみに、、何倍薄めるの?」
トワも目が丸くなる。
「1000倍希釈。。」
ぼそっと囁くグレン。
「んっ??」
今の戦いで使ってしまった量を考えると思考が止まるネオ。
「蛇口からじゃばじゃば出して飲んでいいものじゃないやん!師匠!!」
遠慮なく飲んだ物がどれほど貴重なものだったのか認識すると、さっきとは違う冷や汗が溢れる。
「すげぇ、マグン叔父さん。」
トワもそんなに貴重な物とは知らず、マグンじぃの家にあった酒が高級品だったのかと恐ろしくなる。




