白の守護者4
〜キプロス鉱石が取れるのオッタム洞窟前〜
「やっと着いた。」
神気に触れるとすぐに反応して変質してしまうキプロス鉱石の特性に気を使い、真気のみでの下山に息がきれるセツナ。
「大丈夫ですか?セツナ様。」
心配するフユ。
「ほら、ここが入り口です。」
入り口を指差すナツ。
飛んで来れない程複雑に入り組んだ渓谷の最深部に入り口があったのだ。
オルガ山脈の麓に広がる壮大なユグラの森は、かなり特殊な環境で構成されている。
巨大な木々に寄生して根を絡み付けて巨大な葉っぱを水平に広げるツルタの第一階層が地上から80m付近に広がる。
そこから葉っぱを払いのけて蔦の根に沿って巨木の周りを降りると現れるのが、日陰と湿気が大好きな薄闇科のコケの第二階層がある。
厚さ2mほどで、枯れた蔦の根の隙間を埋めるように存在している。
生息エリアは地上から40m程がスイートスポットらしく、群生してフカフカの地面を形成する。
そして、コケの第二階層を突き抜けるとやっと暗闇が支配する第三階層である地上に降り立つのだ。
第三階層は、暗闇科の植物が苔から滴り落ちる水分と腐って落ちてくる苔を栄養素に変えて逞しく生きる過酷な世界なのだ。
その第三階層を彷徨い歩くこと数時間、オルガ山脈の本当の麓にそのオッタム洞窟はあった。
フユとナツも場所を何となくでしか覚えていなかったためかなり時間がかかってしまった。
しかし、丁寧な誘導で、2人が灯り役を買って出てくれたおかげで第一階層を明るく探索出来た。
「ふー。」
見つけれた事でほっと安心するナツとフユの2人。
竜人でもこんな僻地まで普段来る事はないのだ。
「希少な鉱石って言われるだけありますね。不気味な場所にあるからほんと嫌い。」
ナツはしみじみと大きな口を開けた洞窟の入り口立ってしみじみと観察する。
「わかる、ユグラの森は第二階層までが、楽しいよね。」
フユもナツと同じ位に第一階層が嫌いだったのだ。
「ほんと第一発見者、凄いよな。」
セツナは飽くなき探究心が見つける未知なる世界を切り開く勇気の凄さに圧倒される。
初めてきたオッタム洞窟はそれ程までに、不気味な世界の奥深くに存在していたのだ。
「この洞窟みつけたのっていつでしたっけ?」
ふと、質問するナツ。
「二万年前?」
それに答えるフユ。
「マグンじぃの話を聞いて、俺、一つ勘違いしてた。話を聞いてさ、それに気付いたんよね。第三次大戦を二万年前って思ってたけど、四万年前だったんよ。そんで、その大戦中にたまたまここに墜落したフリズ様が好奇心に駆られて見つけたのが、このオッタム洞窟なんよ。だから、四万年よ!」
セツナが時系列をゆっくり思い返して答える。
神族の歴史はあまりにも長く、記憶に自信があるセツナですら間違えてしまう位複雑なのだ。
「えっ?じゃあ二万年前の大戦は何?」
ナツの記憶も二万年前に大戦があったのだ。
「あぁー。二万年前はアルーマ大戦か。」
フユが何かを思い出したかの様に納得する。
アルーマが舞台になった少しの神魔とアルーマ人が主軸となって起きた大戦が二万年だったのだ。
神族側の見解では、主犯は666なのではと、言われている。
「多分ね、フユが正解よ。二万年も神族絡んでるし、666被りだからめっちゃ勘違いしてた、僕も。さて、行くか。」
セツナはそう言いながら、洞窟の中へと足を踏み入れる。




