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白の守護者2

「ねぇ、もしかしてあれ?ほら、議事堂の聖火台に刻まれた666って議席の数じゃなかったの?」

トワも一つまた、賢くなった。

「やけに、禍々しい雰囲気って感じはしたんよねー。なるほど。あいつのイニシャルだったわけか。」

ややこしい話、実際に議席は司会の議長席を含めたら、666座席あるのだ。

「確かに、何も知らなかったら座席数だよな。」

セツナは、トワの感じた事に同意する。

「ほんまに、あの瞬間は今でもワシの思い出やね。あそこまで無邪気な魔神は見た事なかったから、わいでも。青い炎の色からさ、濃いネイビーブルーになったんだよ?相当、本人も焦ったんだろうね。面白い話は、実はその後なのよ、彼が纏う雰囲気がさ、全く敵意が無いもんでさ。ゆっくりと真っ白な大きな円柱の頭に広がった半円の中心で燃え上がる聖火に近付いてよ。なんともうっとりした顔で、聖火に触れても火傷もしないもんだから、魔神が触れる事すら出来ない筈なよ、普通ならね。本当に、全員で見惚れてしまったんよな。彼が聖火台にゆっくりと666と刻んで自分からゲートを開いて帰るまでさ。」

マグン大叔父は悔しそうな顔になりつつも、苦笑いして当時の出来事を語る。

「奴が刻んだ文字から溢れる魔気は今でも弱くなってるけどくすぶってはいるんだよね。直接触れないと解らない位に浄化されちゃってるけどさ。」

ヒゲを触りながら食べ終わった食器を片付け始める。

「あっ、ワタシの食器は残して。」

口をもぐもぐしたまま、トワは食器を取り返す。

「まだ、食べるん?」

さっきまで食欲を失せていた同じ人と思えない食欲の爆発にマグン叔父様は驚く。

「凄いでしょ?我が家の食いしん坊ですよ。」

セツナは笑いながら、片付けを手伝う。

「もぅ、にぃに、うるさい。」

トワが少し不貞腐れる。

「ほほっ、そんなにジャム美味しかったか?」

沢山食べる、トワの姿に嬉しくなるマグン叔父。

「あっ、こんなにのんびりしてられない。ネオ、待たせてるし、キプロスも回収しないと、早く帰ろうぜ。」

セツナは、竜の里にいるネオの存在をすっかり忘れていた。

トワを少し急かす。

「もぐもぐ。」

口をいっぱいにして頷くトワ。

「マグンじぃ、ありがとうね。マグタイトもって帰る!」

マグンじぃが準備してくれた大きな袋を、力一杯中に投げるセツナ。

「くぅるるる。」

待ちくたびれたリヴァが丁寧に掴んで、器用に自分の首にかける。

投げられ袋には大きな輪っかがついており、龍サイズだったのだ。

荷物から少し時間をずらしてセツナも空に飛び上がる。

「トワ、先に行ってるで!」

思ったよりも時間が過ぎており、少し焦るセツナ。

手紙にはなる早で材料欲しいとグレンからお願いされていたのだ。

かなり高くまで上がった朝日を見つめて、北側へと飛翔する。

「ふぅー。」

セツナは少し心臓がドキドキとしていた。

冬の朝の冷たさは、セツナに冷静さを取り戻す。

「そっかぁ、トワも夢を見たのか。」

思い巡らしながら重たい荷物を抱えたリヴァを優しく撫でる。

ゆっくりとした翼で砂漠と海を越えていく。

セツナは母親の血筋が濃く受け継がれており、トワは父親に似ている。

エヴァン一族は、次元の門番として遥か昔からその力を行使してきた。

一つは圧倒的な火力、そして絶対的な空間の支配者だったのだ。

見ての通り、トワには火力、セツナは空間支配を得意としており、エヴァン一族としての特徴が濃く現れていた。

マグン大叔父様にも火力があり、そのお姉様であるフリズは絶対的な支配力をもっていた。

セツナは、実はフリズ大叔母さんと同系統の力を持っており、真理の目の使い方を彼女の著書から学んでいたのだ。

トワがフリズ大叔母さんと夢での出会い話を聞いて心臓がずっとドキドキしていたのだ。

フリズ大叔母さん、修羅姫は敵がつけたあだ名であり、本当のあだ名は、白の守護者なのだ。

真理の目を司るエヴァン一族に課せられた重大な門番の一役を担うのが、白の守護者なのだ。

「フリズ大叔母さん、私もまた会いたいよ。」

少し感傷的な自分の気持ちに生暖かい空気を肺いっぱいに入れる。

季節が冬から夏へと変わる。

「にぃに、待ってよ。」

トワとヴォルケが、後ろから軽々と追いついてくる。

甘いジャムの香りを纏いながら、やってきた。

「あっ、トワ、お前って奴は。」

セツナは、ある事に気がつく。

「んっ?」

トワが大切に小さなリュックを抱き抱えていた。

絶対に落とさないように、しっかりと抱き抱えていた。

「明日の朝、また食べるのか?」

セツナは追いついたトワに問いかける。

「何言ってるの!カルムのジャムは、お昼に食べるんだよ。」

嬉しそうなトワ。

遠くに夏でも溶けない氷に支配された高い頂が軒を連ねる。

見慣れた山脈が地平線に現れたのだ。

「たった1日だけど、なんか帰ってきたって感じするね。にぃに。」

トワは、見慣れた風景が見えると嬉しくなる。

「そうか?トワさ、先に荷物卸してから、キプロス採りにいくよ?」

セツナは予定をトワに伝える。

両手をいっぱい振ってお出迎えしてくれる小さな友人を見下ろしながら2人は竜の里へと帰ってきた。









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