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炎の夢4

「何か問題でもあるのか?お前らが良く知る、オルガだよ?知ってるだろ?何を落ち込む。」

マグンは不思議がる。

「いや、凄いしょうもない事なんだけど、私たち、そのオルガから来たんです。」

セツナは火口から切り取られた空に流れる雲が早く、少しそのまま空を眺めた。

青い空が、美しかった。

「知らんかった。オルガ山脈でとれるんだ。」

トワにとって庭みたいな山脈に知らない秘密があり驚く。

「ちょこちょこ、冬にワシが山脈に行くの知っとるがろ?」

「確かに来てますね。そういう事でしたか。」

セツナはまたひとつ賢くなった。

「ねぇねぇ、南ではとれないの?」

トワも、またトンボ帰りするのは嫌らしく尋ねる。

「いや、あるのかも知れんが、見つかって無いんだな。」

マグンは髭を整えて答える。

「そっかぁ。。ねぇ、じぃじ。今日、もう疲れたから、泊まっていい?」

トワは叔父様におねだりをする。

「いや、急に押しかけて。悪いよ?帰ろうよ?ネオ待ってるし。」

セツナは渋い顔になる。

「いいぜ?泊まってけよ。部屋広いし、お前らの話聞かせろよ!」

マグン叔父様はトワの提案が嬉しかった。

まるで孫が来た気分なのだ。

叔父様は独身で、弟の長男が夫婦が産んだ子供達は、孫同然だったのだ。

叔父様は実は大叔父にあたる。

「マジでいってます?」

セツナは少し顔が強張る。

嬉しい気持ちと、徹夜する気配が半分半分で混ざり合う、複雑な感情を抱いた。

今夜は寝れないぞ?と直感が働きかける。

トワとマグン叔父様は相性抜群なのだ。

「マジのマジよ?」

マグン叔父様は大笑いする。

「やったぁ。」

手を叩いて喜ぶトワ。

「確かに積もる話もありますし、泊まるか。ふぅ、となると、紙飛行機を折るか。」

セツナは神気を紙に馴染ませて一筆書き空へと飛ばす。

それは、帰りが遅くなるとナツとフユに宛てたお手紙だった。

「じゃあ、夜何食べる?お前らさ。」

叔父様が山を揺らすスキップで台所へ向かう。

「にくー!!」

トワが元気に叫ぶ。

「マグンおじの、炭火焼きは絶品やもんな。私は風呂、沸かしてきますね。」

セツナは、泊まりの駄賃を払う労働に努めようした。

「えっ?わたしは、何したらいいの?」

言い出しっぺの本人が一番あたふたする。

「動くな。」

セツナは流し目でトワに釘をさす。

トワは動くと必ず何かをやらかすのだ。

「えー。私もなんかするー。」

トワはキョロキョロと周囲を見渡す。

「ワシの料理手伝うか?」

台所から叔父様が呼びかける。

「する!する!味見させて!」

トワは尻尾を振って台所へと歩く。

「マグンじぃ、あまやかしたらダメよ?」

セツナはおじぃにも釘をさす。

本当に、大叔父は優しいのだ。

歴戦の猛者で、今では隠居しているが、戦神と言われる程の剛腕の主なのだが、私達には甘々なのだ。

だから、時たま、忘れてしまう。

彼の両手に刻まれた戦傷の深さから彼が背負ってきた重さを忘れてしまうのだ。

それほど、暖かく彼は私達を抱きしめてくれるありがたい存在である。

急に決まったお泊まり会の仕込みを終わらせて、全員で食事の席につく。

「頂きます!!」

全員で食事の感謝をしてからお肉に齧り付く。

「うまっ。」

セツナは久々の叔父様のお肉に感動する。

焼き加減が完璧なのだ。

炭火の香りを纏い、中心のお肉が綺麗な薄ピンク色をしており、ナイフで切った断面から透き通った肉汁が溶け出る。

お肉の脂肪が綺麗に溶けて旨みとなっていたのだ。

「はぁー、これよ!これ。」

トワは顔いっぱいに幸せを表現する。

400gあった分厚いステーキをぺろりと平らげる。

机の真ん中には15枚分のお肉が山となっていた。

「んーっ。幸せ。おかわり!」

トワは大きな食器を叔父様に渡す。

自分で取れるが、叔父様にとって貰うお肉が大好きなのだ。

「ふふっ。」

セツナの顔にも笑みが溢れる。

トワと叔父様の和気藹々とした雰囲気を見て幸せを噛み締める。

ついさっきまでの、死闘が嘘みたいな時の流れに身を埋める。

「さて、じゃあ話を聞こうか。」

マグン叔父様が、トワにおかわりをよそってあげながら2人に語りかける。

「そうですね。何から話をしましょうか?」

「にぃに!オルガ山脈を降りてユグラの森で出会ったシェル・アルトとの出会いから話したい!」

「そっから話すの?」

「そう!銀髪のハーフエルフ、アルトの出会いからよ!私の親友だもの。」

「ほぉ、トワの親友なのかい?それは、気になる。ワシに聞かせておくれ。」

「あのね!彼女との出会いは最悪だったの。」

こんな話をしながら、楽しい夜を僕らは過ごした。

笑って、笑って、大笑いして、猫の王子の話には涙を流して、夜はふけていったのだ。

いっぱい喋った、3人は重たい瞼を擦り、満月が夜空の真ん中に座っているを眺めて眠りについた。

皆んなそれぞれの布団に潜り込み、それぞれ眠りにつく。

そして、その夜、トワは夢を見た。

ゆらゆらと揺れるランタンを木の枝に引っ掛けた真っ白なローブを羽織った女性が何かを囁いていた。

「愛する子、どうか希望の炎となりますように、大いなる災いに負けてはなりません。灯火として赤く燃え続けなさい。」

とても、優しい声にポカポカと暖かい温もりに包まれて、周囲は、巨大な彩り豊かな球が幾つも高速で駆け巡る不思議な世界。

女性とトワだけが時が止まっているかの様に周囲の景色だけが目まぐるしく変化を繰り返す。

「貴方は誰?」

真っ白なローブで顔を隠している女性にトワは質問をする。

「私は、、、。」

そこで目が覚める。

寝室の薄明かりのランタンが壁に反射して射す朝日に照らされて色が消えていく。

新しい朝が来た。

トワはしばらく動けなかった。

より明るい太陽の明るさにぼやけていく、ランタンを見つめ続けた。

この日、トワは、炎の夢を見た。



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