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炎の夢1

魔術。

『トリガー、地獄の門、カウントダウン、6分、空は空、人生は遊戯、鏡写し』

発動、悪魔の遊戯。

「ははっ。えぐいな。」

セツナは身震いする。

単純な構成された魔術式は恐ろしく強固なものだったのだ。

「えっ?壊しちゃえばいいんじゃないの?」

トワは全力で机を拳で粉壊(フンカイ)する。

※粉壊、粉砕する程の破壊的な崩壊。

トワへそのまま打撃のダメージが反射される。

屋根を突き抜けてトワは空を飛ぶ。

「わぁお。無傷か。」

ネオは突き抜けるトワを下から上に見送る。

また視線を下にするとそこには机がある。

「物理的に無理な奴か。うーん。」

セツナはトワの心配は一切せずに机を凝視する。

空は空とは?

恐らく、全ての鍵だとは直ぐに解ったがそれ以上は何も解らなかった。

「ひゃっほー。おもしろい。」

トワはヴォルケに咥えて貰い保護される。

空から街を眺める。

下には小さな穴があった。

「うーん。」

ネオは右手に神気を左手に魔気を凝縮させて魔法陣に触れる。

『正解!』

『と思ったか?全然違うよバカ。』

魔法陣に文字が浮かぶ。

「なんか腹立つな。」

ネオは右手に魔気、左手に神気で触る。

『やると思った、違うわ。』

「あぁー。じゃあ。」

神気と神気は、ネオは三回目の挑戦。

『空は空だよ!ハズレ。』

時間だけが過ぎていく。

「意味が解らん!」

ネオは魔気と魔気でぶつける。

『進歩無き、愚者の歩み。』

魔法陣が書かれた魔法陣が震えて蝋燭はとうとう一本だけになる。

「あぁー。解ったかも。鏡写しなのね。鏡は右が左。」

そうセツナは閃く。

魔気を神気に、魔法陣の上から神気で何も考えずに鏡写しに書き上げる。

「んっ?どういう事?」

ネオは、魔法陣をただ書き写すセツナに問う。

「何も考えずにただ、鏡写しに聖印を印すんだよ。空は空、努力は虚しいんだよ。無駄な頭を使って足掻くのでは無くて、鏡写し。鏡って右が左だろ?たから、魔気を神気に、あとはこの陣をそのまま反転してしまえば。」

神術。

『遊戯は人生、空は空』

発動、神々の遊戯。

反転させた神印は良く遊びで使う何も起こらない神術なのである。

一見強力な神気が弾ける様に見えるだけの見掛け倒しの技で実践でも良く使う便利なテクニックの一つである。

『正解。転送陣、魔界。』

地獄の門が開く魔法陣が形を変えて全員を魔界へと誘う。

「えっ?」

一同の目が点になる。

〜魔界のコロシアム〜

「いらっしゃい。」

レンガ作りの壁にアーチ状の穴が一定の間隔で出来ており、観客席も石を加工した質素な作りで、ぐるっと丸に真ん中にあるアダマンタイトで敷き詰められた四角のリングを取り囲む。

天井は無く、ただ薄暗い鼠色の空が漂う。

そんなコロシアムの真ん中に666はポツンと1人立っている。

2人の魔神は拘束されて地面に転がっていた。

「・・・」

セツナとトワは封印を解き臨戦態勢になる。

ネオの毛は逆立ち魔気が激しく蠢くのを必死に抑える。

「そんなに殺気立たないで下さいよ。」

666は指を鳴らしてネオを自分の目の前に転送させて苦しむネオの魔気を抜き取る。

「ほら、これで楽だろ?」

再び指を鳴らして元の場所に戻す。

セツナとトワの神気が魔界の魔気と激しく中和反応をおこすのでバチバチと空間に火花が散る。

「何がしたいの?」

セツナは身震いする。

ネオが転送されて戻されるまで何も抵抗できなかったのだ。

もし、ヤツが殺す気だったのならネオは死んでいたのだ。

「こいつらを捕まえるのに協力してくれたお礼がしたくてね。ご招待したのだよ。ダメだった?」

地面に転がる4の頭を掴み少し浮かせて顔をセツナ達に見せる。

「手荒なやり方やな。」

ネオは落ち着きを取り戻して、666と周りを観察する。

このコロシアムの出入り口でもあるアーチ状の穴が666個ある事からコイツの縄張りだと直ぐに理解した。

「まぁ、セツナ君、かなり色々と知恵を絞って考えてるみたいだからさ。その悩み解決して上げるよ。まず、君達の答え次第でここで殺し合いになるのは正解だよ。ただね、殺し合いをしたくて呼んだ訳では無い。君達0って知ってるかい?」

666は指先から魔火を作り出して0の形を作る。

そして直ぐ様消し去る。

「勿論、太古の昔からいる古魔族の最後の1人だろ?」

セツナは頷く。

古魔族は、魔界と聖域に分断する境界が生まれる前に生きていた魔族の事である。

この境界を支える魔界側の柱となっている唯一の魔族なのだ。

「彼がもう直ぐ死ぬんだよ。」

666は少し悲しそうな目で話を始めた。

「俺たち魔族や君達みたいな神族は、確かに永久的に生きていける。だけどね、心臓の代わりでもある核には実は寿命がある。物理的に核を破壊しての死って意味では無く、10万年。これが俺たちの寿命なのだ。魔と神の戦いの中で長生き出来ないから本当の寿命を迎える前に戦いで死んでいく。神族側には、かつて存在していたユートピアを知る人はもういない。しかし、我々にはいるんだよ。古の物語を知る物が、その彼の願いを叶えたいのだよ私は。」

そう語り終えると少し間を置く、666。

「彼にユートピアを見せたいんだ。彼が死ぬ前にね。それを邪魔する魔神を今から消す事で私が嘘をついてないと皆んなに知って欲しくてさ。あと感謝も込めてもあるのだけれども。」

666は、一瞬で2人の魔神を業火で焼いて灰にする。

「協力してくれた君達に黙って処理するより、目の前で見せた方が説得力あるでしょ?砂漠での敵意は、実はグレンを捕まえて人質に使えないかなって思ったのよ。この忌々しい境界を無くすためにね。聖域でこの境界を支えている君の父親に対してさ。何処が、君が私の前に来てくれたんだ。その時、私は一縷の希望が出来たのだよ。神魔統一への。」

666はセツナを指差す。

ここに招待したのは君達を人質にするためだと意味を込めて人差し指で指し示す。

君と言う存在が本当に希望なのだと666は思っていたのだ。

「えっ?神魔統一?無理やろ。」

思わずセツナは否定する。

あまりにも、あり得ない望みだった。

彼の箱庭にいる時点で彼からの提案の拒否は死を覚悟すべきものだったのだが、それでも首を横に振ってしまう提案であった。

「にぃに?なんのはなし?」

トワはイマイチ話のポイントが見えていなかった。

統一は解るのだが、666が何故そこまで渇望するのか理解ができなかった。

「大昔の時代に戻りたいんだとよ。彼がもう死ぬ0のために、0が見たい世界を見せてやりたいって話よ。」

セツナは改めて話を纏める。

「死にそうな人のためにそこまでリスクを取る666の気持ちが解らないのよ。」

トワが珍しく難しい言葉を並べる。

「だって666も0も他人でしょ?」

さらに付け足す。

「確かに、それはそうやわ。」

ネオがトワの気付きに同調する。

魔族とは個人主義なのだ。

「魔族が見せる感情では無いよな。」

セツナはトワから出た言葉に一番驚く。

「そんなに不思議ですか?」

と666。

「不思議というか不気味です。」

とセツナ。

「ふむ。実は私も古魔族と言えば納得して貰えますか?」

と666。

「んっ?」

一瞬理解が追い付かないセツナ。

「だから、古魔族なんですよ!厳密には少し違いますが。彼は私にとって最後の一人なんです。これは誰にも話した事が無いし、誰も知らない事ですがね。今、初めて口にしました。」

と666。

「意味が解りません。」

セツナは当然の疑問を持つ。

少なくとも666は2万年位しか生きていない筈なのだ。

最初に確認された年代が確かその辺だった筈なのだ。

ぐるぐると頭を巡らすセツナ。

ある真実にたどり着く。

「精霊?」

セツナから零れたその一言に666は大きく目を開く。

「なんで?」

今度は、666が大きく驚く。

「何となく、666の生まれは、もしかして魔火に宿りし精霊?」

最早、セツナの中で確信に変わっていた。

精霊なら受肉しなくても地上で実態を持てるのだ。

精霊は物体に宿る精神体であり母体となるものがあれば永遠に生きていける。

魔界のそこら中にある魔火の一つに精霊が生まれていても別に不思議では無いのだ。

精霊が魔族になる話は聞いた事が無く、精霊は精霊でありそれは、聖域でもアルーマでも魔界でも一緒なのだ。

精霊は存在するが、精霊に実態は無く感情も無い。

ただそこにある強力な力の塊であり、そこに思考は無く、本能が息づく精神体なのだ。

だから、我々はこの強力な力を活用すために精霊と契約する。

契約で縛り付ける事で、初めてその力に意思を持たせて行使が可能となるのだ。

しかし、目の前に精霊の魔族がいる。

「セツナ君、君はその目で何処まで見えるのかい?」

666は少し恐怖した。

ここまで明かすつもりは無かったのだ。

「この目は何も見えていませんよ。ただの推測です。私の目には貴方から溢れ出る恐ろしい程の魔気の洪水に溺れています。」

セツナは自分の頬っぺたを触る。

全ての点が線となったのだ。

「私は、彼が最初に契約した魔火の精霊です。」

666は自分の正体を明かした。

「精霊が魔族にどうやって?」

ネオも話の中身に思考が追い付く。

「それは、私も解りません。ただある時に実体を持ったんです。それも突然ね。()がその瞬間一番喜んでくれた瞬間でもありました。もうすでに自分の同族は滅んだのですから、私だけ遥か昔のユートピアの話が出来る友となれる存在なのです。今、彼はもう死をまつ老人ですがね。」

666は寂しそうな口調で語り掛ける。

「トワとヴォルケみたいな関係だったの?レツは。」

トワが落ち込んでいる666を慰める。

「トワ、ちょっと違う気がするが、仲良しだったのは正解かな。」

セツナは666に代わって答える。

「だから、協力して貰えませんか?神魔の一体を。協力して貰えないなら、覚悟して下さいね。脅しでも無く全力で潰します。」

666は、冷静な目で全員を見つめる。

「ごめん。無理な相談ですよ。」

セツナは死を覚悟して答える。

無理なモノは無理なのだ。

昔は、一つの世界だったのかも知れないが、こうして現在分断されて存在する二つの世界の価値観が違い過ぎるのだ。

そもそも、一つに出来るなら古代人達も、現在の世界になって無かったに違いない。

分断された世界の姿が、一つの答えを示している。

この境界があるが故に我々は生きているのだ。

「そうですか。」

666は物凄く残念そうな顔で、

魔術、二重詠唱。

『滅びの燈火。座標指定。空間固定。認識阻害。獄炎。業火。圧縮』

『滅びの燈火。絶望の恐怖。死への手招き。』

発動、|滅びの賛歌《死者の讃美歌1番と2番》。

全員の気力を急激に奪う殺意が襲いかかる。

硬直した体にあの漆黒の炎球が高速でとんで来る。

「えぐ。」

セツナは美しい魔術に見惚れる。

666の魔術は美しかった。

神術。

『凍てつく氷。時を止まれ。空間指定。防壁。』

発動、氷が降る夜。

分厚い氷の障壁が炎球を消し去る。

「それは、もう効かないかな。見てるし。」

セツナは666からの殺意に全力で応える。

「はいはい。おしゃべりより、殺し合いに集中しよ。にぃに。」

神術。

「燃え盛る太陽。付与。息吹き。龍火。太陽フレア。」

発動、龍の業火。

トワは大きく空気を吸い込み業火を吐き出す。

氷と炎がぶつかり霧が発生して視覚が悪い中から666へ向けて業火のカウンターが辺り一面を覆いつくす。

広範囲のブレスが広がる。

堪らず、666は瞬間移動で逃げる。

少し、焦げた匂いが漂う。

「ガキのくせにほんと強いな。神気の補充が出来ない中で良く練れるな。こっちはほぼ無限に魔気を回復出来るから遠慮無く貴様らを再起不能になるまで追い込むね。」

666は、再度、

魔術、3重詠唱。

『滅びの燈火。座標指定。空間固定。認識阻害。獄炎。業火。圧縮。』

『滅びの燈火。纏わり。粘着。業火。圧縮。』

『滅びの燈火。獄炎。業火。拡散。』

トリプル発動、滅びの賛歌(死者の讃美歌1番)

「さぁ、これでお別れですね。」

666は最後の魔言をゆっくりと締めくくる。

絶対的で圧倒的な高魔力の球体が三つセツナ達の目の前に現れて宙に浮かぶ。

「全部、術式が微妙に違うのか。一人一つ担当な。」

セツナはそう言い残すと全力で神気をぶつける。

神術、二重詠唱とおまけ。

『圧縮。空気。水。一点集中。』

『次元の穴。転移。アルーマ。』

発動、水龍の一閃、次元転移それとこれはおまけ。

「はっ?病み上がりに何をさすの?」

魔術。

『魔気。球体。錬成。』

発動、魔弾。

神術。

『神気。球体。錬成。』

発動、神弾。

「ネオたん、弾くの!」

トワのアドバイスが飛ぶ。

ネオは直感で出来上がった弾道を反発させてさらに加速させる。

二つの球体をこすり合わせて反発力を生み出してそのままぶつけさす。

神気に覆いかぶさる様に形態を変化して纏わりつく炎球を少し遅れてきた魔気がはぎ取る。

それを見届けると、トワは、

神術。

『太陽の息吹き。灼熱の大地。燃え盛る大地。吹き出るマグマ。』

発動、炎龍の大地。

大地が高温の火山口に変化して強烈なマグマが噴き出して666の火球と激しくぶつかる。

粘り気がどちらも強く溶ける。

666は驚く、予想以上の実力でガキだからと手加減したつもりは無かったのだが、生け捕りにしたい欲望が裏目に出てしまった。

大技を出した反動ですぐに魔術展開が出来ない隙に目の前から三人の姿が消えていた。

去り際にセツナが、展開した神術に気をとられてカウンターに身構えたのだが、ただの神々の遊戯だったのだ。

「くっそ。なめやがって。これは、やられたわ。ここで使うか?」

666はセツナの戦闘センスに脱帽する。

トワの直感的な破壊力ではなく、裏を取る計画性にほれぼれした。

戦いの衝撃で吹き飛んだ帽子を取り666は夢を語る。

「さぁ、仕切り直して始めようか。私の悲願を叶えるために。」

両手を合わせて、一言一言丁寧に魔言を唱える。

魔術。

『滅びの燈火。遡れ。時の融解。ほつれろ。次元の網。崩れろ。空間の壁。我は願う。世界を一つに。』

発動、神魔一体。

この瞬間、7万年続いた二つの世界の境界が溶け始めた。

ひっそりとゆっくりとアイスが溶ける様に柔らかく。

音も無く、崩壊が始まったのだ。

崩壊の序章を見届けて満足そうに踵を返す。

「諸君、止めれるのなら止めてみな。世界を一つに。」

666は闇へと姿を消した。

一本だけ小さな蝋燭を残して。

地獄に揺らぐ滅びの燈火。

残された時間は蝋燭だけがしっている。




















投稿が不規則で申し訳ございません。体調が悪くて、お待たせした分頑張って書きました!ちょっと長いですが、、、すいません。

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