旅は続く2
〜次の日〜
「よし!旅に出るか!また、次いつ会えるか分からんけど、さよなら言わないよ?」
セツナは支度を終えた大きな鞄を背負い新たな決意を持ってコリン達に別れを告げる。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん、ネオ、行ってくるよ!」
頭の毛を少し恥ずかしそうにとぐ。
魔族として魔気を宿しているネオは恐らくもう二度王宮には戻ってこれない。
魔王との戦いで戦死したと今朝のコル新聞に一番の見出しで書かれていたのだ。
少しウルウルとした瞳を隠す様に、深くフードを被る。
正直に国民に伝える可能性も考えたのだが、内戦の傷がまだ深い中に更なる混乱を持ち込みたくなかったのだ。
王族としてでは無く、一国民としてこの国が大好きだからこそ、この選択を自分の意思で決意した。
「泣かないって決めてたのになぁー。」
シュティムはポロりと涙を零す。
「ネオ、我が家の絆はずっと切れないよ!」
ジュリムは息子が隠したフードゆっくりと持ち上げて変わってしまった毛色の頬っぺたに口付けをする。
「かぁちゃん、もう大人だから、これは恥ずかしいってば。でも。。ぁ。。り。。"。。ぅ。」
ネオはすぐにフードを被り直すと小さく何かを呟いた。
「俺が何とかするし。心配するな、ネオ!」
コリンは力強い口調でネオのフードの上から撫でる。
「俺、絶対戻ってくるから!心配すんなよ!」
ネオは最後に母親に抱きつく。
「そうよ!わたしがいるから、任せない!」
トワの方が年下の筈なのに保護者の立場で皆んなに宣言する。
ネオの問題は私が解決するだと、ギラギラ燃えた目をしていた。
グレンは一足先にポータルへ向かって此処にはいなかった。
師匠と弟子の2人には別れなど必要ないのかも知れない。
「お前ら、俺の足を引っ張るなよ?」
ネオはにっこり笑顔を魅せる。
「それは俺の台詞な。」
セツナは右口角を引き攣り上げて苦笑いする。
「じゃあ。お世話になりました。」
姿勢を正して深くお辞儀をする、セツナ。
「あっ!私もありがとうございました。」
兄のお辞儀を見て素早く頭を下げるトワ。
「ほら、遅いでお前ら!」
いつの間にかはるか先に歩きを進めているネオ。
「本当は、照れてる顔見せたく無くて急足なんでしょ?」
セツナはわざとみんなに聞こえる位の大きな声でネオに呼び掛ける。
「はっ?違うし?早く666狩りたいだけだし?別に照れてないわ。」
顔を真っ赤にしてネオは王宮を後にする。
絶対この国を魔族如きに好き勝手にさせる訳には行かないと胸に刻んだ。
「おい!向き逆よ?」
トワが叫ぶ。
「えっ?わぁぁぁ。」
ネオはハテナマークが顔に浮かぶ。
トワはネオに瞬歩で近づいてそのまま空へ高く飛ぶ。
青い透き通った空と綺麗な街並みの城下町が下に広がる。
そこに現れた大きな影、ヴォルケとリヴァが大きな翼を広げて朝日を浴びながらこの3人を待っていたのだ。
龍に跨って3人は飛翔する。
「わぁぁわぁぁ。何処行くんだい?」
ネオは腰を抜かす。
『手掛かりすら何も無いから、初心に変えるんだよ!もう一度エフィタスに行く!』
セツナは念話でトワとネオのペアに話し掛ける。
『なんで?』
ネオは聞く。
『特に理由は無いよ!』
セツナは笑う。
『はっ?直感?当てずっぽう?』
ネオは呆れる。
『しゃーないでしょ。何にもこっちには手札が無いんやから。666の痕跡探しよ。』
セツナはリヴァの背中を撫でてもっと加速させる。
「えっ??」
そこからネオの記憶は無くなった。
何も覚えていない。
呼吸すら出来ない音速の世界への入り口を見たのだ。
そう、ネオは入り口に立ち、気を失った。
正しく表現をするなら、立たされたのだ、セツナとトワの2人によって。
〜廃墟と化した居酒屋〜
「にぃに、起きないよ?どうしよ?おーい。」
トワは激しくネオを前後上下左右に揺らす。
「おい、あんまり激しくするなよ。首もげるよ?」
ブンブン振り回されているネオを心配するセツナ。
「俺は死んだのか?世界が歪んでみえる。」
ネオは朦朧とした意識で目を覚ます。
「ネオー。やっと起きた!」
トワは嬉しくて大好きなぬいぐるみを抱く様にぎゅっと力を込める。
「ぎゃーー。」
ネオは、星を見た。
キラキラと輝くお星様を目の前で見た。
ぴよぴよ、ヒヨコが歌い踊る世界。
ネオは、思った。
そうか、これがあの世なのかと。
「全く。」
トワは拗ねる。
ちょっと抱きしめたい位で意識が飛ぶネオにぷんぷんに怒る。
にぃにが、ネオを抱き上げて取り上げてしまったのだ。
法術。
『血液循環。平衡感覚鈍化。雷撃小。付与。心臓。脳活性化。』
発動、緊急蘇生。
「んっ?セツナ、降ろせよ、俺を抱き上げるな。子供みたいに、ほんまに、失礼な奴やな。ここ何処や?」
キョロキョロとネオは辺りを見渡す。
「解らんか?一緒に来た居酒屋よ?」
セツナは、空中で手を離してストンとネオを落とす。
どうやら、記憶が飛んでるみたいだった。
また抱きつくトワの勢いを利用して全力で頭を押さえつけて地面へ叩きつける。
「いってぇー。にぃに、なにするの?」
少し涙目になるトワ。
なぜ、にぃにが邪魔をするのか解らなかった。
「いやっ。ダメやろ?妹よ。お前は仲良しさんに対してもっと加減をしなさい。その内死人出るわ。」
セツナは、キョトンとしたトワの顔を見て深いため息が出る。
「ほら、ネオ、何が見える?」
セツナはトワから仕返しのデコピンに頭を壁にめり込ませて問い掛ける。
「あぁー。見えるで!はっきりと、666がね。」
ネオはじっくりと店の中を見渡す。
ありとあらゆる備品から666の気配を感じ取る。
唯一、取り残された机には魔気で、
『ゲームだよ。この魔法陣を6分で解けるかな?解けなかったらあの扉がまた開くからね!』
机の文字が消えると魔法陣が現れる。
あの嫌な蝋燭が、手のひらサイズで魔法陣を取り囲む。
666からの旅立ちを祝福するプレゼントが贈られる。
自分の計画を邪魔する一同にささやかなプレゼントを666は準備していたのだ。
これから、本当の殺し合いを始めるフルコースの前菜を提供する。
彼からの強いメッセージを感じとる。
あくまで主導権は私だと、私の手の平で慌てふためく姿を楽しみにしているのだ。
こうして、我々の魔神狩りの旅が始まる。
不気味な蝋燭が青い炎に揺れて微睡む。
第一章書き終えた後に評価を残して下さりありがとうございます。私は間違えなくずっと忘れる事は無いと思います。身内から評価は貰っていますが、今回誰にも知らせずに書き始めたので、純粋な読者の皆様からの足跡は本当に胸がきゅんとします。こうして二章がいよいよ、動き始めました。さて、どうなるでしょうか?私にもわかりません!!ネオ、トワに負けるな!評価嬉しくて一気に話を書き終えてしまいました。単純な私笑。では、おやすみなさい♪




