出会いは突然
〜エフィタスを出発して1週間後〜
「はぁ。。はぁ。。アカン。。死ぬ。。季節、冬なのに何故暑いんだよ。。。」
セツナとネオの2人は息切れをおこしながら砂漠のど真ん中に倒れ込む。
「お前ら元気なさすぎるで?」
グレンは汗一つかかず平気な顔で倒れ込んだ2人を見下ろす。
「はぁはぁ、はぁ。。うぇ。。絶対、飛竜に乗るべきだったんすよ。姉御。。」
ネオの足がピクピク痙攣を起こして限界を迎える中で師匠に愚痴を溢す。
「めっちゃ、きもちいい、天気よ。にぃに?」
トワは尻尾フリフリしながら25℃と季節ハズレの暑さの中元気良くデカい荷物を背負って走り回る。
「バケモンが2人おる。。おぇ。。」
1週間呑まず食わずのぶっ通しで砂漠を突っ走ってきた代償があまりにも大きく、肉体の限界を打破するためにセツナは無意識に左手首に刻んだ神格の封印を解きそうになっていた。
「あっ。。にぃに。次はにぃにの番ね?ドサッ。」
トワはにいちゃんが封印と解きそうになっていたのでダッシュで詰め寄りでっかいカバンを左手の上に置く。
「ありがとうとは言わないで?妹よ。でも助かった。はぁ、こっちの方が楽やな。」
セツナはデカい荷物を背負うために上体だけを起こす。そして重量感溢れるリュックを背もたれがわりにして体重を荷物に委ねて寝そべる。
「グレンねぇ、さっきのもっかい教えて!!」
身軽になった身体で背筋を軽く伸ばして教えをこう。
「よし、ええで!もう一回やるかトワちゃん!!ガイヤワームの釣りの仕方教えたるわ。」
グレンは大きく右太ももを腰まで上げて一気に地面を踏み締めた。
その瞬間寝そべっているネオとセツナがフワッと地面から浮き上がる。
物凄い衝撃波が砂漠に広がると同時にゴゴゴッと低い低音が地中深くから鳴り響く。
「グァぁ。」
突然、体長が400mあろうかという巨大なワームが地面から飛び上がり弧を描いてまた地中に潜り込む。
獲物を捕食する口は地中を掘り進む時はドリルの様に形状を変えて獲物を捉える時だけ大きく拡げて丸呑みにする。
口の内側には無数の鋭い棘が生えており飲み込まれたら一貫の終わり。
そして先端にに生えてる108本のドリルにもなる顎は1本が2m近くあり釣り針のように刃先にカエシが内向きについており見た目から獰猛な事が良くわかる。
こんな獰猛なモンスターを呼び寄せて、地中から飛び上がった瞬間を狙いグレンの鋭い飛び蹴りがガイアワームの柔らかい腹部に突き刺さる。
400mを超える巨体の怪物は悶え苦しむ声を出して地上に墜落する。
「おねえさま、このでかい怪物をどうしゅる?」
落ちてきた怪物の近くに駆け寄りトワはグレンに問う。
「よし。まぁ、見てなよ。」
空に飛びあがった勢いそのまま豪快に着地したグレンは砂埃が舞い散る中、片手で突風を吹き起こし砂を振り払う。
「よいしょっと、この辺かな?」
グレンは巨体の腹部を触りながら、突き刺す様に指先を5本揃えて腹部に当てると優しくその一点目掛けて拳を作る。
その軽いインパクト一つで怪物の口から噴水の如く水が噴き出す。
その量なんと300KL、乾いた砂漠に小さな池が生まれた。
「すご。」
セツナは目の前の風景に顔が引きつっていた。
「うめ。」
その反対にネオは池に飛び込み水をガブのみして幸せそうな顔をしている。
「なんでみずこんなに?」
トワは?マークをつけた顔で頭を傾ける。
「簡単よ。ガイアワームは基本土の中にいて地下水脈から直接大量の水を補給する。その時に備蓄も兼ねた水タンクを複数もっているの。その水タンクに衝撃を与えて吐き出させた訳。しかもこいつの凄い所は体内に濾過機能がついてるから中に取り込んだ水は綺麗なんだ!」
グレンも両手いっぱいに水をすくって飲む。
水を飲みきると、気絶しているガイアワームの尻尾をつかんで遠くに投げ飛ばした。
「ありがとうね!」
投げ飛ばす直前に感謝を伝えて地平線の彼方へ投げ飛ばした。
「グレンさん。あんだけ痛めつけたらまた戻ってきませんか?」
セツナは少し心配そうに水を鞄から取り出したコップで掬いながら聞く。
「来ないよ。水タンク一つ空にしたから補給しに地中深くまで戻っていくだけよ。よし、水飲んだし行くか!」
「いや、ここで一泊しましょう。せっかくの大量の水、手持ちの水袋に入れたいですし、何よりまず我ら二人が動けません。」
セツナは冷たい水を味わいながら深い溜息を漏らす。
「姉御、尻尾付きの意見に賛成です。」
「しゃーない。一泊するか。男2人、テント張る元気位はあるよな?女二人で晩御飯のおかず探してくるで。」
トワに手招きしてグレンは狩りに誘う。
「いくいく!お肉がいいな!」
トワは嬉しそうに小走りで狩りに出ていく。
「お二人さん、いってらっしゃい。」
セツナは両手を振り狩りに出る二人の背中を見送る。
「ふわぁー」
ネオは眠たそうに両手で目をこすりながら大きな欠伸がこぼれる。
「ネオ、寝袋で寝ときな、テント2つ位一人で作れるしさ。」
親指で寝やすそうな砂丘の天辺の場所をクイクイと指差す。
「ありがぁ・・と・・ねぅ。」
ネオは寝袋に入る手前で寝落ちしてしまい。
ぎゅっと寝袋を抱きしめて
「むにゃ、むにゃ。」
気持ち良さげに眠りにつく。
「さて、サクっと作るか。」
セツナは、テント道具を一式空に投げると、法術であっという間に組み立て終える。
その様子はまるで、道具一つ一つに意思があるかのように無駄の無い順序立てた動きで、全てのパーツが空中に浮いたまま仕上がり、最後に固定ピンとともに綺麗な形で砂漠の上に固定されて出来上がる。
これは、法術の基礎の一つである念動力である。
*念動力とは、大気中に漂う真気(清らかな大地の力)を体内で練りそれを目標物に飛ばして遠隔で自分の意志通りに操作する基礎法術。
「時間が余るなー。」
セツナはテントを張り終えた余った時間に焚火の種火を法術に頼らず火打ち石で近くに落ちていた枯れ枝に灯す。
小さな種火が、パチパチと乾いた音を立てながらゆっくりと徐々に大きくなる。
重い鞄の上に縛り付けていた少し太い薪を6本程取り出し火にくべる。
真っ赤な綺麗な灯が夕日が傾く砂漠の陰と陽の境で煌々と温もりを周りに届ける。
気が付けば日が傾く砂漠は、昼の温もりは旅立ち、冷たい夜の風がテントを揺らす。
「ネオ、テントに入りなよ。風邪ひくよ?」
セツナは、すっかり意識の失せた動く気配の無い猫を抱き上げて、テントに放り込む。
「たっだいまー!にいたん。」
大きなサンドウルフを1匹ずつ、その尻尾を両手で引きずってトワが駆け寄る。
「おおー、これは、これは、危険獣指定ランクAの化け物ですか。ご馳走に違いないが、コルウサギでよかったのに。。大変だったんじゃない?こんな大物狩りしてさ。トワ、お疲れ様。」
「意外と、デコピン一つで簡単だったよ?」
グレンはシレっとした顔で報告する。
「ガイアワームみたあとは、みんな、あかたん。」
サンドウルフを倒したデコピンを両手で繰り返し弾く。
「あっしが、捌きますで。」
寝起きのネオがテントからウトウトした歩きで出てくる。
突然ズン、急に空が漆黒に染まる。
セツナとトワの手首が燃えるように熱くなる。
「イタっ。」
セツナは直接火で炙ったような焼け付く痛みに頬がゆがむ。
グレンも左手の甲を右手で撫でる。
「こんばんわ。」
青い稲妻が縦横無尽に漆黒の空をかける。
一歩一歩を踏みしめながら空を歩く男性が一人。
青光りに照らされ浮かび上がる、ダーク色のスーツを身に纏い。
右手にステッキをコツンコツンと鳴らしながらそこに階段があるかのように空から降りてくるその男性の顔に輪郭は無かった。
恐らく顔なのだろう、ユラユラよ揺れる空色の炎に細長い線が3つ。
その2つは目で1つは口なのだろう。
不気味な出で立ちに4人はただ固まって彼の動向を見守る事しか出来なかった。
圧倒的な絶望を空に映し出してその男性は四人の前に降り立った。
左手で炎の上に浮かぶ帽子を取り挨拶する。
右手と左手の黒い手袋には赤く6の数字が刻まれ、真っ赤なネクタイの先っぽに黒色の6が刺繍されている。
「666。ありえない。」
グレンは首を横に振りながら、御朱印を解く。
「お嬢ちゃん、およしなさい。」
優しい口調で魔族はグレンに語り掛ける。
「そっちの3人もね。」
さっきまで茜色に燃えていた焚火が青く燃え滾る。
「立ったままで話すのも不躾だし、座りませんか?」
魔族が指を鳴らすと焚火から真っ赤な大きな真ん丸な机と椅子が飛びだして5人の真ん中セットされる。
「さぁ、どうぞ。」
敵意は無いのは4人とも感じ取れたが、魔族から立ち込める死臭に顔が強張る。
魔族の手招きでも座る気になれない4人。
実力の差があり過ぎるのだ。
「13魔王より上、8魔帝よりさらに高みに君臨する、六魔神の一人。コードネーム666《スリーシックス》。ギルド公認ブック、危険度ランク測定不可。人類史4万年で一度だけ受肉して降臨した際、大陸から文明の全てを破壊、聖域に唯一足を踏み入れた魔族。彼が歩いた足跡は消える事無く今でも聖域でくすぶっている。名前は正直知らない。伝説の魔族だよ。そうですよね?」
グレンは、臨戦態勢を崩さず全身の神経を研ぎ澄まして問いかける。
「はい、そうですね!あの頃は私も若かったからやんちゃしちゃいましたね。私の本名は、レツです。誰もこの名前で呼んでくれないですけどね!同族からも666なので私はとても悲しいのです。なので、レツと呼んでいただけませんか?」
魔族は、左手で炎の上部を恥ずかしそうに撫でる。
炎の色が、空色から薄ピンクに変化する。
どうやら感情で炎の色が変化するらしい。
すぐ空色に戻った。
「れつ、、さん?」
トワが握りこぶしを作ってファイティングポーズをとりながら一発本気で殴ってみたい衝動に駆られていた。
さん付けを一瞬忘れて呼び捨てで魔族の名を呼ぶ。
「はぁ、なんて素敵な響きなんでしょう、ありがとうございます。」
魔族は嬉しそうに赤くなる。
「恐らく敵意が無いのはわかるのですが、あまりに魔気が強く気持ちが悪いです。」
セツナが手で顔を仰ぎ反吐が出そうな顔でレツに魔気を下げるようにお願いをする。
「あれ?そんなに酷いですか?これ本体じゃなくてただの依り代ですが。」
レツがぱちくり大きく瞬きをする。
「キモイです。」
4人は揃って頷く。
「褒めていただけるなんて。。」
炎がピンクとなる。
「褒めてません。」
セツナがレツの一言に突っ込む。
「そうなのですか?」
レツは少し残念そうに魔気を抑える。
「ほら、皆様座って下さいよ。」
さっきまで立ち込めていた濃い魔気が消え去り稲光も何処かへ消え去った。
「では。」
グレンが一番先に座り、それをみて後の3人が続く。
「改めて、自己紹介を6魔神のレツです。良かったら手を組みませんか?」
レツが涼しい色で問う。
「。。。」
返す言葉が見つからず沈黙が続く。
「あれ?言語間違えてます?+‘*}}<>}}*+」
聞きなれない新しい言語が飛びだす。
「いや、合ってます。合ってますが、聞き間違えたのかと。」
グレンが険しい顔でレツからの問に答える。
「南大陸での集団失踪事件を一緒に解決しませんかと言っているんですよ。」
レツは焚火から透明なグラスとポットを取り出飲み物を注ぎながら話を続ける。
「私と同じ6魔神の内二人がどうやら動いてるみたいでね。私としては気に食わないのですよ。裏でこそこそ動くの。魔神の風上におけない屑は殺したくなりましてね。一緒に殺しませんか?」
レツは親指を立てて首を掻っ切る素振りを見せる。
「えっ。」
ネオが思わず驚く。
魔神同士は仲が悪いと神話で語られているので良く知っている。
知ってはいるが目の前の会話と現実がリンクしない。
理解が追い付かずただ驚きだけが感情を支配する。
「あまりに弱いのに魔神と名乗るので私が魔界で二人を纏めてボコボコの半殺しにしたら、姿消して消息不明なんです。私とした事が、殺しそこねの逃げられました。」
この話を聞いてグレンは納得した。
正直、グレン自身も魔神クラスに強いのだが666が別次元に強いのだ。
「仲間といっていいのか分かりませんが、仲間殺しに全力でいくのに違和感があるんですよ。受肉して降臨するのが魔神の悲願と聞いてましたが、レツさんは興味ないのですか?」
セツナはふと気になった疑問をレツにぶつける。
「少なくとも5人は受肉したいんでしょうね。でもね、私は興味が無いのですよ。それより、もっと、もっと、魔界を楽しい場所にしたいのです。だめですか?」
最後の言葉を口にした時にさっきまで消えてた魔気が雪崩の如く周囲の空間に流れ込む。
「うぇ。」
あまりにも強烈な魔気に当てられてグレン以外の3人は机に倒れ込む。
抗えない抑圧的なプレッシャーで全身が潰されていく。
グレンすらも両手を組んで歯を食いしばり倒れまいと必死に抗う。
纏わりつくねっとりとした魔気は呼吸する事すら許さない圧迫感で初めて死を隣に感じた瞬間だった。
「あっ。申し訳ありません。不快な思いにさせてしまいましたね。これはお詫びです。」
レツは無意識に吐き出した魔気に気付いて軽く振り払う。
机の上にいつの間にか調理されたサンドウルフのステーキが綺麗に盛り付けられいる。
「いや、食欲無いです。ほら、トワ食いな。」
セツナは親父にぶん殴られた夜をフラッシュバックするほど強烈な体験に食欲などゼロになっていた。
そっと皿をトワに渡す。
「えっ??」
流石のトワもゲッソリした顔にはなっていたが、あまりにも美味しそうなサンドウルフの香りに段々と目に輝きが戻る。
「では、この出会いに乾杯。」
レツは、グラスを持ち上げて1人乾杯をする。
「まだ、貴方のお願いについて承諾したわけではありませんよ?せっかく作って頂いたのでご馳走になります。」
背をきっちり伸ばして両手を合わせてから肉に手をつける。
「そう致しましょう。細かい話は食事をしながらしましょう。せっかくのウルフ肉美味しく食べませんと。」
にっこり微笑んでいるのだろうが、不気味でしかない顔でレツがステーキを上品に切り分ける。
グラスに注がれた血のように赤い飲み物がよく似合うレツであった。
「あっしも、ちょっと無理ですわ。姉御どうぞ。」
ネオもセツナがトワに皿を譲るのを見て、姉御に渡す。
「お前は食え。」
グレンに無理矢理詰め込まれるネオであった。
「んっ?ゴックン。」
ネオは口いっぱいに肉を詰め込まれる苦しみで思わず真っ赤飲み物を全部飲み干す。
さっきまで疲れていた肉体が元気になる。
「えっ?この液体は何ですか?姉御。」
ネオはまたまたビックリして姉御に問う。
「尻尾付、ポーションですよ。しかも最上級のね。」
グレンがもぐもぐタイムだったのでちびちび真っ赤なポーションを飲みながらセツナが答える。
セツナには、肉はいらないのである。
龍神族の体質的にこの純粋な気を精製したポーションさえあれば肉体を回復するのは簡単である。
地上に降臨する際の肉体全てが気で練り上げている事に起因する。
トワの尻尾は同化時のイメージが下手くそなためどうしても本来の姿を隠し切れない遺産と言うことになる。
降臨の基本的な流れは地上で動くための器を気で形作りそこに神格を抑える封印を刻みこむ。
その封印を刻んだ器と本体を同化させることで、初めて地上で動ける身体が手に入る。
器が完璧に破壊されれば本体は強制的に光の柱となり聖域に戻される。
逆に獣人族のネオはポーションと肉体を構成する物質を同時に取ることで飛躍的な回復が体に起きる。
ポーションはあくまでも治癒力を脅威的に高めるだけで回復に必要なエネルギーは体力を消耗してしまう。
なので、ポーションは万能では無いのである。
あまりにも飲み過ぎるとポーション酔いが発生してかえって体調が悪化するので使い方も大切なのだ。
グレンはそれを知っているからこそ無理矢理肉をネオに食わせた。
正直、グレンもポーションだけで事足りるのであるが、ここで出された物を食べないとなんか負けた気持ちになったのである。
つまらない意地といってしまえばそれまでなのだが、ここまで実力の差を見せつけられたからこそ、これ以上負けたくない負けん気が発動したグレンお姉ちゃんの気持ちなんてつゆしらず、バクバクとトワは遠慮なく肉を平らげた。
美味しそうに食べる妹をセツナは眺めながらあることに気がつく。
グレンやネオには気が付かれてはいないが恐らくレツには龍神族だとバレているのではないか。
グレンは封印を解き、臨戦体制をずっと維持してくれているのは恐らく私達が神格を持たないから守ってくれているのだろう。
ところが、セツナの封印を撫でる様に優しく魔気がチクチクと刺激して遊ばれているのだ。
お前はこれを解かないのか?解いてくれよ?と遊びに誘うような嫌な優しい刺激がずっと続いており、セツナは冷や汗が止まらなかった。
〜一時間後〜
「まぁ、というわけなのです。ですからこのマッチをお渡しします。これを擦って火を起こして下さればそれを依代に私が地上にこれるので差し上げます。是非ともクズ2人を見つけたら私を呼んで下さい。」
とても嬉しそうにレツはマッチ箱を手渡す。
「んー。。そう言う事なら信頼はしないけど手は組んでもいいかな?話を纏めると貴方がボコボコにして弱った二体の魔神が地上に中途半端な降魔を行い逃げ隠れてる。そんで、それを地上で狩って中途半端に消し去ると転生されるから魔界で完璧に殺したいというわけやね。」
グレンは普段使わない頭を使って話の主旨を掴む。
「その、手を組む相手間違えてませかんか?」
セツナはグレンとレツの両者に問い掛ける。
「私めは、同じ魔族に殺しそこねたから手伝ってなんて恥ずかしくて言えません。それに竜人の兄妹、鬼神の姫、獣人の猫ちゃんのこんな最強パーティ他にいませんよ。」
照れながらのレツ。
「2体の魔神やってから666狩れば一石二鳥じゃん。セツナ。」
腹を括ったグレンはレツに手を差し出す。
「私を殺してくれるんですか?はぁ、なんて素敵な言葉。」
グレンの挑発にレツは色をピンクに染める。
出会いは突然やってくる。
果たしてこれは必然なのか偶然なのか。
2人は手を結ぶ。
一瞬で風景が変わる。
何故かグラナダで一番美味しい酒屋の机を囲んで座っている4人。
グレンの手に握り締めたマッチ箱だけが夢では無いと知っている。