意思を継ぐ者6
「ぐはぁ。」
水煙が晴れたそこには、666に首を掴まれたグレンがいた。
立っていたように見えてたのは、666に持ち上げあれたグレンの姿だったのだ。
「くそ、いてぇな。おい、鬼如きがボコボコ殴りやがって。」
真っ赤な炎に変化した666がグレンを片手でメキメキと締め上げる。
グレンは、両手で一生懸命に手を振りほどこうと足掻く。
陽炎は何故か宙に舞ってグレンから少し離れた場所へゆっくりと落ちる。
「一番最後に、殺してやろうと思ったが、予定変更だわ。先に死ねよ。」
落ち着いた口調が消えた666が怒りに任せて右手に魔力を溜める。
魔術。
『滅びの燈火。付与。業火。獄火。圧縮。』
発動、滅びの賛歌。
「これ使うの久々だわ。鬼、本体がここまで激痛なの、二人目だよ。光栄に思えよ、俺の手で死ねるなんてさ。オリジナルシリーズまで使うとは思わなかった。さようなら、鬼姫。」
グレンの腹部へ拳を突き出す。
「666、その手離せ。我は問う、時は有限なれど我らの知恵は永遠なり。水を司り我が此処に宣言する。刹那に時よ止まれ、龍が来たる。」
神術。
『水龍の刻。封陣解除。空間支配。時の雫。』
発動、降臨、水龍のセツナ。
「んっ?」
殺す立場だった筈が立場が入れ替わっている。
「お前、調子乗りすぎな。」
龍神セツナは666の炎が揺らめく喉元を締め上げる。
真理の目で離脱しようする666の魔術を全て読み解き解除する。
「姉さん、大丈夫ですか?」
セツナは神術でグレン姉さんに結界を張り、後方に逃がす。
「ゴホゴホ、せつな、なの?」
グレンはチカチカと目がかすむ中、澄んだ神聖な神気を纏ったセツナの姿に驚く。
ショートヘヤだった青い髪がコバルトブルーの長い髪に変化しており、耳も少し細長く龍の耳へと変わっていた。
「ごめんなさい。黙っていて。私も神族です。」
ここもでボロボロの姿になるまで助けに入れなっかた自分を呪う。
「さっさと片付けますね。」
神術。
『水龍の刻。凍てつく空。凍てつく大地。凍てつく空気。』
発動、永久凍土。
「何も感じないだろ?お前に死をプレゼントしてやるよ。」
カチカチに凍った666を拳で砕く。
「パリン。」
暗黒の空が割れる。
ハキムが作り出した空間にひびが入り砕ける。
明るい空が砂漠に帰ってきた。
冬の砂漠に666本合った蝋燭が20本だけ残っていた。
20本の蝋燭も溶けて666が再び現れた。
「全て使いきってしまったか。」
残念そうな顔で、666が首を回す。
「何で生きてるの?」
セツナが驚く。
真理の目で間違え無く666を逃がす事無く凍らせて砕いたのだ。
「んっ?間違えなく殺されたよ。見なよ、666本が今では0本だよ?お前、ただの龍神じゃないだろ。」
666は、考え込む口調でぽつりと答える。
「いや、その蝋燭ただの魔力の塊なだけじゃん。魔術の刻印も無かったで?」
セツナは、抜け目なく敵の情報分析をしっかり行っていた。
だからこそ、何回見てもただの魔蝋燭でしか無かったのだ。
「ふふっ。そう簡単に解る訳ないでしょ。」
セツナが理解出来ない事に少し嬉しそうになる666。
ネオとトワがいる方向に目をやる。
~ネオとトワ~
「ネオ、それは自分の力じゃないよ?」
トワは魔気に染まったネオを悲しそうな目で見つめる。
「えっ?わての力よ?ほら?」
瞬歩でトワに詰め寄りトワの脇腹を振り蹴る。
「性格まで変わるの?魔族になると。」
トワは少し痛そうに横腹をさする。
「バキバキっ」
隣の戦場から大きな地鳴りが響く。
魔気が籠った冷気が此方まで押し寄せる。
「いらいらするな。ネオ、そんなしょうもない力で酔いしれてさ。年上のプライドないの?」
ネオの態度にトワがイラつき始める。
全身についた砂を軽く振り払う。
「トワ、わからないの?この力、凄いよ。尻尾付きじゃ、わからないか、一生かかってもさ。」
トロンとした目で自分から溢れる魔気を眺める。
「ふっ。分かりたくないね。そんな腐った力。不幸でしか無いやん。人の不幸を餌にして満足するの?」
トワは両腕を組人差し指でトントントントンと早く自分の腕を叩く。
「ふーん。理解出来ないなら、さようならだわ。」
トワが大きく呼吸する。
魔術。
『愛すべきモノ。永遠。稲光。切り裂く。空間指定。』
発動、迅雷の嵐。
トワの周囲にイナヅマが無数にはしり、バチっバチバチ、電光が激しく瞬く。
縦横無尽に雷が生まれてトワの周囲10mは近寄れ無い死の空間へと変貌した。
「知覚すら出来ないやろ?トワ、もう聞こえてないやろうがな。」
隣の戦場からドスンとデカい衝撃派が広がる。
そっちに一瞬目をやるネオ。
「心に太陽を、暗闇に太陽を。絶望は刹那、希望は永遠に。希望が宿し龍が来たれり。」
神術。
『炎龍の日。封陣解除。太陽を宿し者。龍が来たれり。』
発動、降臨、炎龍のトワ。
トワを縛っていた封陣がほつれて熱い熱気が噴き出す。
「ハくいしばれよ?ネコ。」
神術。
『炎龍の日。付与。灼熱の業火。魔気融解。一撃必中。次元を切り裂く波動。』
発動、太陽の拳
目を逸らしたネオの頬っぺたに強烈な一撃が入る。
トワがその場にて、拳を宙にきると、音速の波動が生まれて雷を全て消し去りその衝撃波はそのまま目線を外したネオの顔面にぶつかる。
ネオは音速で吹き飛ばされると地獄の扉に激しくぶつかる。
地獄の扉が大きく歪む。
空が急に明るくなる。
「あっ。にぃにもしたんだ!」
トワは扉にぶつかり意識が吹き飛んだネオを目視すると、にぃにの神気を感じ取る。
「・・・」
ネオは完璧に意識が吹き飛んでいる。
「ネオ?」
魔気が空間から消え去るとシュティムは走ってネオに駆け寄る。
「くぅーるる。」
ヴォルケはトワの神気を感じて全速力で体当たりを繰り出す。
「よしよし。ヴォルケ。いい子いい子。ありがとうね。シュティムねぇ守ってくれて。」
トワとヴォルケの二つの尻尾がシンクロして揺れる。
「くぅぅ。」
リヴァは少し心配そうにシュティムに付き添う。
「リヴァ、行っといで!トワが見てる!」
トワはセツナのそばに行きたそうなリヴァに気付いて促す。
666とセツナが激しくぶつかり合う戦場に助太刀を送る。
その間にトワは、ネオに対して封魔の陣をかける。
残すは、にぃにの戦いだけとなっていたのだ。
土曜日更新遅くなりすいません。おやすみなさい。




