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意思を継ぐ者4

神術。

『付与。聖火。焼け付く炎。』

グレンの陽炎に聖火が付与される。

白黒仮面に一瞬で距離を詰めて殴り付ける。

「鬼の目から逃れられるのかい?」

グレンは白黒仮面を打ち砕く。

素顔が現れた。

偽装魔術がかけられた仮面を破壊する事で、敵の出立が変わり始める。

一般的な170cm程度だった身長から、230cm程の巨体に変化した。

2本の太い角に分厚い紫色の皮膚、鋭い目つきの龍魔族顔立ちで、目は黒く澱み、両手には鋭い爪が備わっている。

法術。

『溢れる水。堅牢なる牢獄。座標指定。圧密。球体。』

発動、水牢。

セツナは、グレンの縮地に隙を見せた黒白仮面を閉じ込める。

両手を折り合い強く握り潰して黒白を白黒へサポートを行かせない様に阻害する。

「手助けさせないですよ?」

セツナは、ほんの一瞬でも足止めさせれば良いと思い牢獄を作り出した。

そのサポートを無駄にする事無く、鬼の目に捕まった魔神へ鋭い一撃が仮面越しに入った。

鰐の様に飛び出した魔神の口がグレンの陽炎により歪む。

「いってぇ。。なっ。」

白黒の仮面は思わず後ろに下り距離を取る。

避けれた筈の一撃が避けれなかった。

鬼の目による束縛を直ぐに振り解いて後ろに下がった筈なのに棍棒が顔面を粉砕したのだ。

「くそっ。伸びるのかそれ。くそっ。しかも聖火まで、下品な技だな。」

歪んだ口を魔術で元に戻す。

魔術。

『龍言。闇の癒し。』

発動、ヒール。

回復してもヒリヒリと焼け付く痛みが顔面に残っている。

「お前が下品なんて言葉を使うなよ。吐き気がする。」

グレンは見下す様に更なる追撃を何発も行う。

「あっ。すいません。もう1人そっちに行きます。」

水牢の構成する法術を濃い魔気で一瞬で溶かした魔神がグレンの背後から襲いかかる。

それを、察したセツナは叫ぶと同時に、

法術

『時。遅延。ゆっくり。』

発動、スロー。

セツナは黒白仮面動きを鈍化させる。

魔術。

『毒は薬。身体強化。全身。速度。加速。』

発動、速度強化、閃光。

黒白は自分へとかけられたデバフを消し去りさらにそこから強化をかけた。

「竜人如きに、止められるかよ。」

嘲笑うかのようにグレンの背後ならナイフを突き刺す。

ところがナイフが刺さらない。

法術。二重詠唱。

『時空。断裂。座標固定。入』『時空。断裂。座標固定。出』

発動、時空断裂。

グレンの背中の次元を歪ませて、魔気を帯びたナイフの切先が黒白の胸に突き刺さる。

二つのゲートを生み出して物体の軌道に干渉した。

グレンの背中の空間の歪みが黒白の胸の前に現れた歪みに繋がっており鋭いナイフが魔神に突き刺さった。

「どうよ!魔気を真気で防ぐのは不可能に近いけどそらせるのは簡単だろ?」

セツナは嬉しそうに解説する。

「小賢しい真似を。ぐはぁ。」

黒白は痛そうに胸を触る。

かなり本気で刺したのもあるが、刃先に仕込んだ魔毒が強烈に痛かったのだ。

怯んだ隙をグレンは逃す筈も無く、陽炎で振り向き様に横から魔族を振り払う。

砕けた仮面の素顔は黒髪の肌が真っ黒にやけた身長170cmただの人魔だった。

「人魔が、そこまで強くなれるの?」

グレンは驚く。

大体、魔神クラスは龍魔等の上位種のイメージがあったので、シンプルに驚きを隠せなかった。

ただ見た事の無い人種だったので、古代人かな?と仮説を立てた。

「女の恨みは怖いって知らないの?」

黒に近いグレー掛かった肌の色が美しい女性は口から溜まった血を吐き出す。

吐き出した血からは焼けた煙が立ち腐った匂いがする。

「知らないね。あんたら、ナンバー教えてくれないか?」

グレンは棍棒に付いた血を一振りで振り落とす。

「えっ?顔を見て、ナンバー解らないの?」

その問いにセツナが一番驚く。

魔神の称号を与えられた魔族は666(魔火のスリーシックス)3(呪われの翼)4(死を司る者)8(永遠を彷徨う亡霊)13(断罪の龍王)1(始まりの魔族)のナンバーが割り振られており神族なら基礎教養の一つなのだ。

女性の人魔は4で、龍魔は13だと、すぐ分かりそうなものなのだが、グレンは全く知らないとみた。

「ほんとにおちょくるの得意なんですね!粉砕の姫は。」

『4』はゆっくり額に刻印された数字を浮かび上がらせる。

禍々しい紫色をした数字の4が綺麗に浮き出る。

「ほんとに知らないのか?」

『13』は右の拳に1を左の拳に3の紫色をした数字を浮かべて顔の前に拳を並べて13と見せつける。

「ごめん。数字だけ見ても分かんないや。名前教えて。」

グレンは数字を見て思った、ダメだ全く解らないと。

「ふっ。」

その内台詞をきいてセツナは吹き出す。

恐らく今まで魔族を簡単に屠ってきたからこそ、あまり魔神や魔帝なんてランク付けに興味が無かったのだろう。

魔族には変わりないし消し去るべき悪だと単純に処理してきた結果が今のグレンなのだとセツナは初めてグレンを恐ろしいと思った。

何が恐ろしいかと、具体的に言うならば、本当に恐ろしく馬鹿なのだと心から思ってしまったのだ。

「何よ?知らないとなんか悪いの?」

セツナに笑われたグレンは不機嫌になる。

「いや、悪くは無いですよ?ただ敵が可哀想に思っただけです。」

セツナは自尊心の塊の魔族がここまでプライドをズタボロにされているのを見て同情していたのだ。

それと同時に感謝した、今だに僕達の秘密に気付いてない事にも。

〜魔王ハキム側〜

「さて、誰から殺そうかな?」

ハキムは、身体を解しながら敵を値踏みする。

竜人と猫人が、前衛。

龍とただの人が恐らくサポート役なのだろう後衛に控えていた。

「邪魔な後ろからやるか。」

魔術。二重詠唱。

『永遠。闇。写し見。実態。』『永遠。闇。剣。』

発動、闇の劇場、闇の剣。

シュティムの背後に、いきなりハキムが現れて剣を上段から切り付ける。

「ぐるる。」

龍のリヴァが咄嗟に気が付き、尻尾でシュティムを弾き飛ばして、剣を弾く。

「くそっ、図体でかい癖に動きも機敏なのかよ。」

ハキムは殺す自信があった一撃を封殺され舌打ちをする。

一番弱い穴から消して遊ぶつもりが龍の尻尾が邪魔をする。

「すーっ。ぶぉぉぉお!!」

ヴォルケが剣を弾かれて宙に浮いたハキムに火炎のブレスを浴びせる。

「わぁ。」

尻尾でいきなり横に突き飛ばされたシュティムは咄嗟に受け身をとり、首筋にひんやりとした死を感じていた。

龍がいなかったら死んでいたのだ。

恐らく何も解らずに殺されていた。

騎士同士の稽古でも無双出来る程、武に対してプライドがあったのだが、次元が違うとたった一振りで悟った。

「ありがとう。」

弾かれた衝撃で脇腹が痛かったが、そりより先に感謝をシュティムは伝える。

「ごめん。姉さん。油断してた。」

ネオがレイピアを構えてブレスを躱すハキムに追撃を喰らわす。

「いてっぇぇな。」

レイピアの鋭い剣先がハキムの首に切り傷をつける。

魔術。

闇の劇場。

ブレスを躱すために、連続で瞬間移動を繰り返す。

崩れた体制に容赦なく急所を狙った一閃に首を捻って皮一枚で避ける。

ハキムは、距離を取り直して仕切り直す。

「ふーっ。」

トワがシュティムの隣に駆け寄り神経を研ぎ澄ます。

法術。

『付与。太陽の日。』

発動、太陽の拳。

トワの拳が白く濃密な光が発光する。

ネオとアイコンタクトを取り今度はコチラから仕掛けた。

「縮地。灼熱の一撃。」

ハキムの、みぞおちを狙って左拳のアッパーを繰り出す。

それを半歩後ろに下り躱すハキム。

死角となったトワの背後からトワの髪の毛が揺れる影からレイピアがハキムの顔面を穿つ。

「怖いわー。」

上体を全力て後ろに沿わす事でネオのレイピアがハキムの鼻先を突き抜ける。

「くそっ、今の躱すのか。」

金色の毛並みに変わったネオは悔しがる。

「ふん。」

上体を反らす事で無謀になった腹をトワが右拳で地面へと叩きつける。

「くそっ。お前、本当に真気か?」

あまりの隙の無い連撃に全力の一撃を喰らう。

ハキムのリスク処理の結果だった。

神気のダメより真気の方がマシとかんがえて咄嗟に避けれない攻撃の中で最弱の一手のみを受けきったのだ。

しかし、強烈に痛かった。

魔術。

闇の劇場。

直ぐに腹を抱えたまま距離を取る。

ハキムの顔が苦痛で顰めっ面になっていた。

「何よ!真気だよ?」

トワは逃げたハキムを目で追い振り返りながら答える。

実はレイピアの神気がかなり濃密なので、バレない程度にこっそり一瞬だけ自分の神気を拳に乗せて殴っていたのだ。

魔王すら感知出来ない、トワの極みの一撃を喰らったハキムは倒れ込む。

「はぁ、あんまりこれはしたく無かったんやけど。」

ハキムは苦痛に耐えながら、

魔術。

『永遠。闇。次元の境。常世の境界。魔界の門。夜が来れり。』

発動、常闇・魔界の扉。

前回の扉の様に装飾は何も無く、ただ真っ黒な巨大な門が現れた。

「やばいな。」

遠くで戦ってる魔神達の顔が強張る。

不気味な金属音が砂漠に木霊する。

「さぁ、虐殺の始まりだよ。」

ハキムは、そう小さく呟いた。








こんばんは。都会育ちの私には、夜空は月だけと思って長い事生活してきました。社会人となり仕事で、たまたま街明かりの無い、真っ暗な夜に満点の空を生まれて初めて見た時、少し泣いてしまいました。ネオンの夜景も綺麗なのですが、世界は本当に美しいんだと惚れた瞬間でした。カメラ越しでも写真越しでもない夜空をキラキラ光る星を見た景色を今でも忘れられません。次回、夜更かしは辛いよ。では、おやすみなさい。

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