第一幕ーⅢ 家を探そう
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冒険者はまず拠点を探す為に家を借りるそうです。
家を借りるには初期費用がとっても多く必要なんだそうです―――
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病に罹った大切な友を災害で失い、至らなかった自分の経験と知識、力を身につけて最高の魔王になることを決意した魔族と竜人の血を持つ青年、デーガ。
彼は冒険者となり立派に成長して戻ってくることを誓って、お供のアルーラと共に旅に出る。
セントラルのギルドに辿り着いたデーガたちは受付のマリーとリリー、そしてギルドマスターのエアルドに出会う。
冒険者登録を行うがアルーラのいつもの生真面目な癖が出てしまい待たされることになったデーガ。
そんななか、デーガはアルーラが時間を使いすぎていて他の冒険者たちの受付が滞っていることを、橙色の新米冒険者の竜人、グラドから聞き、アルーラの話を終わらせる。
そして、デーガたちはようやくギルドカードを受け取り、正式に冒険者として登録されることになったのであった。
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一幕 第3話
~家を探そう~
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「ふーん、なるほどな…つまり、依頼を達成して報告するとそれが記録として残ってって…あの機械で確認出来るってことか…」
デーガは掲示板の更に奥の方にある端末を見る。10台ほど並んでおり、そこで冒険者としての記録を見ることが出来るようだ。
「機械もふんだんに利用してんだな…」
「比較的新しい文明ですから馴染みがないかと思いますが、先進的な町では導入されつつあるようです。」
「ふ~ん…機械のことはよく分かんねぇけど…便利そうだな。」
機械はここ数十年で出来上がったばかりの新しい生活の文明だ。
まだまだ世界中には浸透していないが、本来かなり手間のかかることを簡単に終わらせたり出来るようで、注目が集まっているらしい。
「で、ランクはDからで…生業は書かれてないが…?」
「あぁ…私たちは特に拘るものは何もないと進言しておきました。その証が空白なのだそうです。」
「なるほどな…で、あっちの端末で複製が出来て…それを他の冒険者と交換出来ると…」
「はい、おっしゃる通りでございます。」
「よしよし、大体システムは分かったな。よしアルーラ!拠点探しだッ。物件屋行くぞ!」
「かしこまりました。」
デーガとアルーラはギルドカードを何枚か複製したあと、外に出た。
アルーラから聞いた内容の1つに、このセントラルでの拠点、つまり寝泊まりする部屋の確保だ。
このセントラルには多くの住居から集合住宅まであり、エアルド曰く、空き部屋はわりと多いようなのでわりと自由な場所に住めると思うとのことだ。
このギルドから少し歩いたところに物件屋があるため、デーガとアルーラはそこへ向かうことにした。
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「物件は冒険者であれば3割負担の家賃で住めるそうです。中には節約をするために複数の冒険者で1つの物件を借りてシェアハウスをする冒険者も珍しくないそうです。」
「なるほどな、しかし!節約なんぞ必要ねぇ!こんなこともあろうかと!」
デーガは魔蔵庫から金袋を取り出した。
そこには結構な金額の金が入っていたが…
「デーガ様、そのお金…もしかして…」
「オヤジのへそくりを拝借した!」
「―――…」
アルーラは言葉を失ってしまった。
今頃カンカンだろう。アルーラは今度会った時にちゃんと謝っておこうと肝に銘じるのであった。
「つ、つきました。こちらが物件屋です…」
アルーラはとりあえずさっきのことは忘れて物件屋の扉を開ける。
するとその先には見覚えのある者が話を聞いていた。
「あっ。あいつは。」
――
「ウム、どうにかならないだろうか…」
「ウーン、あんた持ってる金が少なすぎるよ。いくつか依頼をこなして金を溜めてからにしたらどうだい?」
「そ、そうか…よく調べるべきだった…ウーム…困った。」
何やら困っている様子の、橙色の竜人、グラドがそこに居た。
「グラド、何してんだ?」
デーガはグラドに声をかける。
「あぁ…君たちか。いや…恥ずかしい話なのだが…」
グラドは事情を説明してくれた。
どうやら、家を借りるにはまず初期費用が必要らしい。
それが結構な金額のようで、グラドの持っているお金では足りないらしい。
そのため、しばらくは野宿をしながら依頼をこなしてお金を貯めなければならないらしいのだ。
「マジかよ!大変じゃねぇか!」
「だが、仕方がないことだ。俺は諦めてそうすることにするさ。」
グラドはきっぱりと現実を受け入れて物件屋を出ようとするが…
「なぁグラド。ちょっと待ってろ。なぁおっちゃん。ちょっと大きめの家紹介してくれよ。」
「え?あぁ分かった。」
デーガは物件屋に大きめの家を探すように依頼する。
「デーガ様、まさか…?」
「そのまさかだよ。」
「…?」
アルーラはデーガの様子で察したようだが、グラドは首をかしげている。
「これなんてどうだ?少し古い家だが安価で部屋も4部屋あるぞ。」
「ウ~ン…広すぎる気もするけど…けど他の家よりは安価だなぁ。見学なんて出来たりすんのか?」
「えぇ、出来ますよ。」
「よし、じゃぁ案内してくれよ。」
「了解、じゃ従業員を派遣するからで入り口で待ってな。」
一通りの話をつけたデーガ。
グラドに「待たせたな」と声をかける。
「一体どうしたと言うんだ…?」
「もし良かったらだけどよ。ルームシェアってやつをやってみねぇか?って思ってな。」
「…!」
「デーガ様…正気ですか…?」
アルーラは驚き、デーガに問うが…
「だって困ってるじゃねぇか、何とかしてやりてぇ。」
「デーガ様…お言葉ですが…まだ知り合って間もない者と共同生活ということがどういうことかお分かりですか…?」
「それは俺も思う。」
アルーラもグラドもあまり乗り気では無いようだ。
グラドもデーガたちを信用していないわけではないのだが、出会って間も無いというのにいきなり共同生活というのもいかがなものなのだろうかと思ったのだ。
「そうか?だってよ、グラドは良い奴だぜ。俺には分かる。」
「…それだけの理由でか…?なんというか…君はお人よし過ぎるのではないか?」
グラドはそう言うが、デーガは首を横に振る。
「“冒険者は困ってる者の味方”なんだろ。だったら俺は手を差し伸べる。言ったろ?俺は良い奴と悪い奴の判断がなんとなく出来るって。で、俺はグラドを良い奴だと判断した。それだけだぜ。」
デーガは笑顔で言う。
「…そこまで言うなら…分かった。なんというか…君の顔を見ていたら疑っている自分が惨めになりそうだ。」
グラドはギルドカードの複製したものをデーガとアルーラに渡す。
「ありがとう。改めてだが俺はグラド・マディルグ。君たちと同じ新人だ。」
デーガとアルーラはグラドのギルドカードを見る。生業は空白となっていたため、特に拘りはないようだ。
「じゃぁ俺たちも。」
デーガとアルーラはグラドにギルドカードを渡す。
「デーガ・カタストロフ、そしてアルーラ・ポット…よし、ありがとう。よろしく頼む。」
「おう、こちらこそだ。」
「仕方ありません…デーガ様が決めたことですから。」
デーガたちは握手を交わす。
「準備が整いましたのでご案内しまーす!」
「行こうぜ。」
デーガたちはグラドとルームシェアをする家を探しにいくことになった。
「デーガ、ところでお金はあるのか?」
「あるある。わりと小金持ちだ。」
「そうなのか。」
「……ラドウ様に後で怒られても知りませんからね…?」
アルーラはボソッと呟きつつ、金を使う気満々のデーガを見つめ、ついていくのであった。
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物件屋から少し歩いたところ。
特にお店も無く住宅が集中している中にその建物はあった。
「あ、こちらですよ~」
「「おお~…」」
住宅の中でもひときわ大きめの2階建ての木造住宅。
大分古めの家ではあるが、広さは勿論申し分ない。
「どうぞどうぞ~」
庭もあり、家は石壁で囲まれている。
玄関を開ける物件者の職員に続いてデーガたちは家に入る。
「お~…木の匂いだ。」
「年季を感じますね。」
しばらく誰も暮らしていなかったのか、少し埃っぽい感じがするが、きちんとリビングがあり、台所、風呂場もトイレもしっかりあり、私室が4部屋分2階に集中している。
「広いですね。3人で暮らすにはむしろ大きすぎるぐらいですが。」
アルーラはそう言いながら部屋を見て回る。
「デーガ様が安全に暮らせるようにしなければなりませんな。」
「あのなぁ…あくまで借家なんだから勝手に改造はダメだぞ。」
「ムム、そうでしたか…それは残念。」
「グラドはどうだ?」
「あぁ、懐かしい感じがして悪くない。新しすぎるのもどうにも落ち着かないからな。これぐらいがちょうどいいかもしれん。」
グラドは少しだけ懐かしそうにしていた。冒険者になる前もこういう場所に暮らしていたのだろうか。
「よし、ここに決めたぜ!」
一発で決まってしまった。
他の物件の検討も薦められたが、デーガたちは迷わずに一発で選択した。
「では私が取引を進めて参ります。デーガ様とグラド殿はここでくつろいでいてください。」
「では戻りましょうか。」
「はい。」
アルーラは購入手続きをするため、デーガからお金…もといラドウのへそくりを貰い、物件屋に1人戻って行った。
―――
「さーてグラド!軽く掃除しようぜ!」
「そ、そうだな。随分と長い間誰も住んでいないようだからな…いっそのこと軽くではなく、本格的に掃除してはどうだろう。」
「それもそうか…よし、ならまずは道具の調達だな。」
デーガとグラドはまずは家の大掃除から始めることにした。
「あ、でもお金全部アルーラに預けちまったよ。」
「ではそれは俺が出そう。掃除道具を買えるぐらいの金はある。」
「おお、ワリィな!助かるぜ。」
デーガとグラドは外に出る準備を整えるが…
「そういえば、アルーラはここで待つように言っていなかったか?」
「あー…そういやそんなこと言ってたな……ま、良いだろ!」
「…良いのか。」
「良いの。ホラ、行こうぜ!」
デーガはグラドの手を引き、家を飛び出した。
「お、おい鍵!鍵!」
「おお~そうだ!ワリィワリィ!普段鍵とか閉めないから習慣がねぇや!」
「君はどんなところに住んでいたんだ…」
ぼそっと呟くグラド。
鍵を閉め、2人は掃除道具を買いに商店街に出る。
「道中で物件屋を通るな…よし、俺がアルーラにこれからのことを伝えておくからデーガは先に行っておいてくれるか?確か商店街には大広場がある。そこで待ち合わせよう。」
「あぁ、良いぜ。」
物件屋からギルドに向かう道中から少しだけ逸れて歩いた先に商店街はある。
物件屋の前でグラドと別れたデーガは商店街へと歩く。
「へぇ…盛り上がってるなぁ。」
商店街は多くの冒険者で溢れていた。
武器や防具、旅の役に立つ道具から、食料品、日用品まで幅広く売られているだけでなく、雑貨などの小物やアクセサリーも販売されていて、とても幅広かった。
「みんな冒険行く前はここで準備していくんだろうな。へへ。楽しみだな。」
掃除道具は日用品店だろう。
ご丁寧にあちこちに掲示板が置いてあり、そこには地図が貼られている。それを見れば何処に何があるのかが分かるようになっているのだ。
「へぇ~…便利にしてんだなぁ。冒険者たちが集まる大広場…ここだな。」
デーガはグラドを待つため、大広場のベンチに座り、大きく深呼吸した。
「はぁ~…俺、マジで冒険者になったんだなぁ…」
ついこの間まで魔王城で日々勉強に追われていたというのに、信じられない気持ちはまだデーガの中に残っていた。
そしてこれから始まる冒険者ライフにデーガはワクワクが止まらなかった。
「…ん?」
デーガは広場の奥から楽器の音がすることに気が付いた。
「こいつは…!」
デーガはベンチから立ち上がり、音のする方に向かう。
「おお~…!」
そこには多くの冒険者たちが集まっており、そこでは吟遊詩人の人間の男性と、ギターを弾く竜人の男性が演奏をしていたのだ。
人間は歌を歌い、竜人はそれに合わせてギターをゆっくりと奏でる。美しいバラードの旋律に、ギターをかじっているデーガは気持ちを高めた。
「良い音だ…ここではこうやって音楽を奏でることもできんのか。」
演奏が終わり、見ていた冒険者たちはお金を目の前に箱に入れていく。
「わー!!」
「上手かったぞ~!」
観客の完成にお辞儀をして、微笑む2人。
そして冒険者たちが解散していくなかで、デーガはボーッとその光景を眺めていた。
「どうしたデーガ?」
「うおっ!なんだグラドか…!」
後ろから肩を叩かれて慌てるデーガ。
「すまない。驚かせたか。」
「あぁ、いや、俺もボーッとしてたわ。」
「…あぁ、演奏を聞いていたのか。」
「おう。一応俺も音楽かじってるからよ。ここで演奏出来るんだなって驚いちまって。」
デーガはハハハと笑う。
「そうなのか。俺は音楽の事はよく分からないが…その、知り合い?がよく演奏をしていたのを聞いたことがある。」
「へぇ~!良いなそれ!俺はさ、大事な…ダチがさ。ギターやっててよ。」
デーガは魔蔵庫からギターケースを取り出す。
「ソイツ、死んじまったんだけどよ、そんときに俺はこのギターを譲り受けたんだぜ。」
「…そうか。形見…のようなものか。」
「そうだな。そんな感じだ。ソイツに演奏の基本を教えてもらったんだぜ。」
「そうか…君の演奏もいつか聞いてみたいものだ。」
グラドは微笑み、デーガも「また今度な!へへ!」と微笑んだ。
「さぁ、掃除道具を買いに行こう。雑貨屋はこっちだ。」
「詳しいんだな。」
「事前調査の賜物だ。ここにはしばらく大きく世話にありそうだからな。」
「そりゃそうだ!違いねぇや。」
雑貨屋に向かって歩くグラドとデーガ。
「なぁグラド。」
「ん?」
デーガはグラドを引き留める。
「なんつーか、半ば強引な気がしたけどよ。もうこれ一緒のパーティメンバーになったって感じじゃん。良かったか?俺たちとで。」
デーガは少し申し訳なさそうにしているが、グラドはすぐにデーガの気持ちを察した。
ここまで結構強引にグラドを引っ張ってきて、なんだかんだで同居することになり、それでいてその流れでお互いの了承もなくパーティメンバー同士になっていた。
だが、グラドはここまで行為に悪意は全く感じていないようだ。
「…あぁ、なるほど。気にしなくていい。君たちの厚意はとても嬉しい。嘘ではないぞ。俺も誰かと冒険者が出来れば良いと考えていたからな。」
グラドはデーガに笑顔で答える。
「そっか!ハハッ、なぁグラド!俺さ!こうやって対等に話せる人、初めてなんだよ!ギター譲り受けた奴も立場が違ったからな。だからよ、お前と知り合えてすっげー嬉しい!これからよろしくな!」
「そうか、魚人は魔族に仕える身であったな…で、あれば俺も似たようなものだ。」
「そうなのか?じゃぁ初めてのダチってやつだな!へへ。一緒に冒険すんの楽しみだな!」
「ダチ…友達か…フッ、そうだな。新人同士頑張ろう。」
照れ臭いが、握手を交わす2人。
新しい仲間、グラドを迎え入れたデーガたちは住居を確保することが出来た。
「荷物が多くなりそうなら俺に任せてくれ。魔蔵庫を持っている。」
「おっ!奇遇だな。俺も持ってる!」
「君も持っているのか。」
「へへっ、これ結構高いらしいな。」
「みたいだな。しかし俺もこれを持ち始めたばかりだが、便利な代物だ。」
「全くな!お陰で手ぶらで買い物出来るから楽で良いぜ~」
高価な魔蔵庫を所有しているということはグラドは決して貧困であったとは考えにくい。
今お金をあまり持っていないのはきっと何か事情があるのだろう。
デーガはそんなことを心の中で思うが、今はそんなことは考える暇があればこれからの冒険に胸を躍らせるほうがいいと思った。
まだまだ未知なる冒険の世界。これからデーガたちの冒険は始まるのだ。
第一幕 完
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メインキャラクター紹介(一幕終了時点)
デーガ・カタストロフ
・性別…男性
・年齢…18歳
・身長…189.9cm
・体重…98.5kg
・種族…魔族(混血)割合…魔族:竜人=6:4)
・一人称…俺
・冒険者ランク…D(一幕終了時点)
現魔族の王であるラドウ・カタストロフの息子であり、最高の魔王になることを目指す青年。
幼い頃から冒険者に憧れており、いつか冒険者として世界を旅したいと思っていたが、魔王になるための勉学や修行に追われていたため諦めも感じていた。
幼い頃から世話をしてくれていたブレイブを病気と災害で亡くし、ただ引きこもって勉強や修行をしているだけでは駄目だ、もっと見聞を広げる必要があると感じ、家出する形で魔王城を飛び出して冒険者デビューした。
ブレイブから受け継いだギター“ブレイブハーツ”を形見として愛用しており、演奏したり歌を歌うのが好き。
基本的には活発で口が悪く大雑把なところが目立つが、後からしっかりフォローしたり気を配ることも出来るため、“意外と周りが見えている”と思われている。
情に厚く冒険者の代名詞である“冒険者は困っている者の味方”をポリシーとしているが、誰かを困らせるような相手にはかつての魔族のような冷酷な態度を見せることがある。
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・戦闘スタイル
近接、魔法共に使いこなすバランサー。
特に魔法に関しては、魔族という種族そのものが生み出したものだとされているため、魔法に対しての知識は豊富であり、自ら魔法を開発し使用することも出来る。
他にも魔族にしか知られていない希少で危険な魔法もあるとか…?
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アルーラ・ポット
・性別…男性
・年齢…12歳
・身長…100.1cm
・体重…32.2kg
・種族…魚人(純血)
・一人称…私
・・冒険者ランク…D(一幕終了時点)
魔族に忠実である少数民族の魚人であり、ブレイブの息子。
ラドウとデーガの世話をしていたブレイブが亡くなったため、ラドウの新たな世話係として任命される予定だったが、デーガの旅立ちに同行することを決め、デーガと共に冒険者となった。
とにかく真面目で細かい部分まで気になるところがあったら理解するまで問い詰め、紙びっしりにメモを取るほどにドがつくほど真面目。
デーガに対しては非常に忠実であり、魔族に仕えるということを最高の喜びとしている。デーガ以外の人物に対しては少し苦手意識があるようだ。
背が低いことがコンプレックス。
デーガとしては友人のように対等に接して欲しいと思っているが、本人は善処はしようとしているもののなかなか割り切ることは出来ないらしい。
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・戦闘スタイル
主に防御方面と回避方面に特化している。
味方の防御力を高めたり、攻撃を防いだり、攻撃を先読みして回避したりなど、守りに特化したスペシャリスト。
多少の回復魔法も心得ている。
逆に攻撃方面は苦手で、攻撃方面ではあまり役に立てないと本人も自覚している。
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グラド・マディルグ
・性別…男性
・年齢…24歳
・身長…204.5cm
・体重…145.5kg
・種族…竜人(純血)
・一人称…俺
・冒険者ランク…D(一幕終了時点)
橙色の竜人。大柄で屈強な姿をしている為、怖い人だと勘違いされることが多い。
アルーラほどドがつくほどではないが、真面目で、誠実な性格でありかつ断れない性分。
冒険の拠点とする住居を資金不足で初期費用が払えずに困っているところでデーガたちに助けられ、デーガたちと同居することになり、パーティ入りを果たした。
冒険者になる前の素性はまだ分かっていないが、高価な魔蔵庫を所有していることや、同じ立場の友人は居なかったと言っていたことから、貧困というわけではないようで、何か事情があってお金を持っていなかったものだと思われる。
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・戦闘スタイル
主に近接戦闘を得意とする典型的な前衛型。物理に対する攻撃を請け負うタンク型としても動くことが出来る。
使用する武器は斧がメインだが、剣や短剣、鈍器や槍など幅広く近接武器を使用することが出来る。
竜人であるため魔法はほとんど使うことが出来ず、魔法に対しても打たれ弱いのがキズ。
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サブキャラクター紹介
ラドウ・カタストロフ
・性別…男性
・年齢…48歳
・身長…186.6cm
・体重…76.7kg
・種族…魔族(純血)
・一人称…私
デーガの父であり、純血の魔族。
竜人の妻、セーラと結婚したが、セーラはデーガを生んで間もなく命を落としている。
現在の魔族を統べる王、魔王として君臨しているが、争いは好まず現在は今までの歴代魔王たちの悪行の罪滅ぼしのために善行を積んでいる。
その体内に魔族の始祖の魂を宿しており、人格を入れ替えることが出来る。
人格を入れ替えた状態では姿も変わり、ラドウ自体の魂は内側へと眠ってしまうが、始祖の魔王カタストロフもラドウと同じく現在は争いを好まず、この世界に生きる者たちを知り、善行を積もうとしているため、ラドウとは協力関係にある。
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魔王・カタストロフ
・性別…男性
・年齢…???歳
・身長…魂のため肉体は存在しない
・体重…魂のため肉体は存在しない
・種族…魔族(純血)
・一人称…我
魔族の始祖であり、初代魔王として君臨していた者の魂。
名前はラドウからそう名乗るように言われている。同じ苗字になっているが、それは魔王・カタストロフもラドウたち家族の一員であることをラドウが望んだことによって決まったもの。
当時は心無き邪悪な悪魔として、魔族を従えていた。
敵対していた勇者と戦って敗北し、それが何世代にもわたって行われており、勇者に敗れる度にその魂を次世代の魔王に宿し生き延び続けていた。
しかし、長い戦いの末に疲れ果ててしまったのと同時に、勇者の血筋は分からなくなるほど衰退してしまったこと、更には心優しい魔王、ラドウの登場により、徐々に戦う意志をなくし、現在はラドウと共に世界の為に善行を重ね続け、罪滅ぼしをしていこうとしている。
まだまだ世界についても、生物についても知らないことが多く、時々常人では考えられないようなことをしてしまったりする天然な部分がある。
デーガとも幼い頃から付き合いがあり、デーガが赤ん坊のころはラドウが忙しく、身体を休めている代わりに面倒を見ていて、現在のデーガとも、友好な関係を築いている。いつかラドウからデーガに魔王の座が移ると今度はデーガの中で生き続けることとなるため、カタストロフ自身もそれを楽しみにしているようだ。
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ブレイブ・ポット
・性別…男性
・年齢…享年39歳
・身長…157.0cm
・体重…51.4kg
・種族…魚人(純血)
・一人称…私
魚人の男性で、アルーラの父。妻は昔に亡くなっている。
ラドウと魔王カタストロフの世話係をしていた。
デーガが生まれてからは、仕事でなかなか世話が出来ないラドウの代わりにデーガの世話役をしており、魔王カタストロフにデーガの世話のやり方を教えたり、デーガに外の世界のことや、ギターを教えたり、デーガにとっては誰よりも信用できる友人であった。
アルーラと同じく生真面目な性格だった。
ある時から病気を患い、療養していたが自然災害で魚人の集落が壊滅してしまった際に命を落としてしまった。
災害からアルーラとギターを庇い命を落とした彼の思いはデーガに引き継がれ、アルーラはデーガの冒険者仲間として同行し、ギターもデーガの元へと渡ることとなった。
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エアルド・ウォーガン
・性別…男性
・年齢…52歳
・身長…191.4cm
・体重…83.8kg
・種族…人間(純血)
・一人称…俺
セントラルのギルドを仕切っているギルドマスター。褐色肌で高身長でスキンヘッドのガタイ良きおじさん。
ギルドの頂点に立っているとはいえ、後ろで座っているだけではなく、現場にも積極的に顔を出し、他の従業員たちと何ら変わらない形で仕事をしている上に、活発で元気いっぱいの働き者で、更にはおおらかで優しい性格であるため、従業員からも冒険者たちからも慕われている。
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マリー・エレクト
・性別…女性
・年齢…???歳
・身長…167.7cm
・体重…50.0kg
・種族…人間(純血)
・一人称…あたし
ギルドで働く受付嬢の1人で、リリーの姉。
男勝りな性格をしており、曲がったことが大嫌い。
しかし、妹のリリーには甘いようで、つい何かあってもリリーの前だとあまり強くは出られない模様。
高身長で腕力も強いため、男性人気の高いリリーに迫ってくる男どもは大体マリーの鉄拳を食らっている。
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リリー・エレクト
・性別…女性
・年齢…???歳
・身長…170.1cm
・体重…48.7kg
・種族…人間(純血)
・一人称…私
ギルドで働く受付嬢の1人で、マリーの妹。
マリーとは逆でおしとやかでのほほんとした喋り方が特徴。
いつも穏やかでふわふわしているが、とてもしっかりものでガサツな姉のサポートをすることが多い。
マリーのことが大好きで、尊敬できる姉として慕っている。
高身長で、豊胸であり、冒険者の男どもからは特に人気が高いが、大体迫ってくる前にマリーに鉄拳制裁されている。
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用語一覧
※この作品の世界観設定は、連載中の【Delighting World】とほぼ同じとなっておりますが、こちらしか見ていないという人のために載せています。予めご了承ください。
なお、一部はDelighting Worldには存在しない設定もありますで、こちらについては削除しています。
この世界について
世界名:レクシア
7つの世界に分かたれた世界の1つ。
剣と魔法の世界と呼ばれており、自然と文化が綺麗に共存している、比較的安定した世界の1つと言われている。
この世界を統べる神である、タイトース・レクシアが邪神ではなく、善の心を持つ神様であることが、安定の理由とされている。
かつての魔族と勇者の対立など、良くないことも起ってはいるがそれも世界の在り方であると考え、見守ると言う形で様子を見ていた。
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・生物の種族分類
1.人間
知力に優れている種族。
手先が器用で頭の回転が速く、主に道具や機械を使って生活を豊かにしている。
他種族に比べ、身体能力が大きく劣るが魔法を使える者はそれを補うようにしている。
2.獣人
力に優れている種族。
どの種族よりも力と身のこなしの良さ、素早さが優秀。
血の気が多い種族であるため、現在でも原始的な暮らしをしている者、集落等も存在する。
3.竜人
力と知識に優れている種族。
竜の頭を持つ人型獣人であり、他種族に比べて大柄な容姿をしている者が多い。
魔力を保有できる魔限値が全種族で最も低いため、魔法を使って行える飛行能力が使えないため、竜人の背についている羽はただの飾りである。
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・生物の血関係
1.純血
1つの血のみが流れている純粋な生物。
レクシア全人口の8割弱程度と言われている。
混血と違い、比較的安定していて寿命も長く、魔力も非常に安定している。
2.混血
2つ以上の血が混ざり合っている者の総称。
レクシアの約2割強の生物がこれに分類される。
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・混血の更なる小分け
混血の場合、その血の混ざりっている割合によってさらに細かくカテゴリー分けされる。
1.亜血
混血ではあるが、1つの血の割合が80%を超えている。
ほぼ純血だが、わずかに他種族の血が流れている者を指し、寿命や魔力の安定さは純血とあまり変わらない。容姿の変化も特に無い。
混血の8割はここに当たる。
2.双血
1つの血の割合が79%以下である者がこのカテゴリーに当たる。
2つ以上の血の混ざりがハーフになるほど寿命が短くなる傾向になり、例えば2つの血があり、50%と50%だと非常に寿命が短く、混血病を発病する可能性も大幅に上昇する。
3.重血
3つ以上の血を持つ者は亜血であってもここに分類される。
そもそも3つ以上の種族の血を持っている者自体が非常に稀なケースであり、基本拒絶反応により生まれる前に死んでしまったりすることが大半なのだが、ごくわずかに重血は存在しているとされている。
生存率が相当低い分、生存した場合の生命力はその存在よりも高く、魔限値も魔力も一般以上という恩恵もある。
・混血者の扱い
レクシアの世界での混血者はあまり良い扱いを受けておらず、冒険者間ではそのしがらみは少ないが世間の評判はあまり良くない。
混血者は歪な姿をしている者も多く、それを嫌う者もいれば、混血者特有の力の強さを気味が悪いと思う者も珍しくはないようだ。
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・魔物
基本的に言語を発することは出来ず、基本的に本能のままに生きているので温厚な者から狂暴な者、容姿も様々である。
魔族によりその狂暴性を抑え、生態系を安定させている。
基本的にはラドウと魔王カタストロフが現在はその役割を担っているが、基本的には本能に任せる方針を取っている為、冒険者に倒されることもあれば、その逆も然りである。
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・魔族
絶滅したと言われていた種族であり、魔法の始まりを生み出したとされている種族。
絶滅寸前の少数民族であり、現在生存している者はあまり居ない。
魔王デーガは魔族と竜人の混血であるため純血の魔族ではない。
ラドウと魔王カタストロフは純血だが、魔王カタストロフは肉体が無く魂のみの存在であるため、生存とはまた異なる為、カウントはされない。
本来の生物とは異なる生態があり、魔限値【その個体が保有できる魔力量の限界値】を超える魔力が溜まった際は自然に魔力は身体から抜けていくのが基本で、生理現象のようなものなのだが、魔族の場合は魔限値を超えても身体に負担がかかってもお構いなしに溜まり続けてしまう欠陥のようなものを抱えている。
故に魔力を自分で使って魔限値を超えないようにしなければならない。
魔王城が世界の最北端の海の上に立ってる理由として、魔力の放出を行う時に可能な限り生物の居ない場所で行うようにするため。
現在は魔法の技術が良くなり、放った魔力を凝縮して消去し、被害をなくすなどの対策ができているため、放出の際に何かが巻き込まれてしまうという事態はない(Delighting Worldではこの技術は廃れており、修復不能であったため行使出来ず、瘴気の毒問題が発生した。)