88祭りの真実
そして外へ出たエレナとエレンと勇者、あとおまけの野次馬達。
【なによ~、やる気なの?】
呂律の回りきっていない口でそう言ってシュッシュッと手を動かすエレナ。
だが勇者は、そんなことはきにとめずに話し始めた。
「君、お店で暴れたらダメだよ。 いくら酔っていたからって限度というものがあるでしょ?」
勇者はエレナの顔を見つめると、大きなため息をついた。
理由は簡単だ、酔いすぎたエレナの姿は人じゃなくなりかけていたからだ。
背中を見ればドラゴンの尻尾が生え、腕を見れば赤い鱗が見える。
そして、よくよく思い返してみれば最初から変なところがあったことに勇者は気付いた。
そう、エレナの瞳はドラゴン特有の瞳である猫のような縦長の瞳孔だったのだ。
そして隣にいるエレンも勿論ドラゴン特有の瞳を持っていた。
「もしかしてだが、いやもしかしなくてもお前ら、ドラゴンだろ」
勇者は、エレナとエレンを指差しながらそう叫んだ。
その周りでは、野次馬達がざわざわと騒いでいる。
【ええい、うるさいわ。 我らがドラゴンだとしてなにか悪いことでもあるのか? なかろう?】
エレンは、キッと勇者を睨むとそう言った。
「ああ、問題はない。 だが、店を荒らされたことは問題だ」
勇者はそう言うと改めてエレナを見る。
そんな勇者にエレンは近寄ると、肩にぽんっと手を置きこう言った。
【お前もなかなかに苦労してるようだな。 エレナのことはお前に任せよう。 受けとれ、手間賃だ】
振り向いた勇者は、反射的に向かい合うと片手を掴まれた。
そして、手のひらになにかを握らされた。
手を開いて見てみるとそれは、ドラゴンの鱗だった。
【その鱗は昔抜けたものだ。 強い魔力が宿っている。 うまく使うんだぞ】
エレンはそう言うと、手をひらひらさせながら森の中へと帰っていった。
勇者と野次馬達はその後ろ姿を暫くの間見つめていたが、エレナが騒ぎ始めたのでやっと我に返ることが出来た。
【お兄ちゃん、置いてかないでよ~】
そう言って追いかけようとするエレナだが、酔っているので千鳥足になっている。
そこを勇者が引きとめると、エレナは文句を言いった。
「そんなに酔うまでもう飲むな。 そして、森の奥で静かに過ごしていなさい」
勇者はそう言いってため息をつきながらも、エレナを森の入り口まで連れていった。
森の入り口まで送って貰ったエレナは、ドラゴンの姿に戻ると森の奥へとふらふらしながらも飛んでいった。
***
【…と、いうことがあったんだ。 ちなみに、帰ってきたエレナのことはみっちり怒っておいたから安心しろ】
エレンは説明を終えると最後に大きなため息をついた。
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