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アリとアリクイの戦い

作者: シグルド

ここは南米の草原、点々と蟻塚が建っています。

蟻塚の中は、どうでしょう。


「ワッセ、ワッセ、餌運べ。」


働きアリ達が、餌を巣の奥へ運んでいます。


「母さん、今日は、ミミズを狩ってきたよ。」


「我が子供達、無事におかえりなさい。」


女王アリが働きアリ達を労う。


「今日ね、狩りの最中に、西の木の傍の蟻塚が、アリクイに襲われてたんだ。」


「まあ、貴方達は、見られなかった!?」


「うん、アリクイは、蟻塚に夢中だったから。」 


「そう…、引っ越しするべきかしら…。」


女王アリは、アリクイの動向を、観察してもらいながら、引っ越し先の検討をする。


__________


その頃、アリクイは、木の下で休んでいた。


「食った食った、アリはやっぱウメーな。」


ジュルッと、舌舐りをしながら、思い出す。


「あの慌て様は、良かった良かった。」


先程の光景を思い出していると、段々お腹が空いてきました。


「次の蟻塚はと…。」


アリクイはムクッと起きると、周りを見渡します。


「あれは、昨日壊した蟻塚だし、次は東側だな…。」


アリクイは、東を向くと、3つの蟻塚を見つけました。


「あれが近いな。」


アリクイは、蟻塚目掛けて走ります。


ドドドドッ!


__________


その頃アリ達は。


「母さん、アリクイが近づいてくるよ!」


「あらあら、どうしましょうどうしましょう…!」


女王アリはアタフタします。


「まっ、まだ2つ蟻塚があるから、大丈夫…。」


「そっ、そうなのね…、じゃあ、皆避難しましょう!」


女王アリの掛け声で、一斉に引っ越しの準備を始めた。


__________


1つ目の蟻塚へ来たアリクイは、早速穴に舌を入れます。


ベローン…。


「あれれ、アリがくっつかないぞぉー!」


アリクイは、次に蟻塚の側面を壊しだした。


ガリガリ、ガリガリ。


すると、奥に隠れていたアリ達が、一斉に飛び出した。


「うぉー、出た出た!」


ペロペロ、ゴクン、ペロペロ、ゴクン。


アリクイはどんどんアリを食べていく。


「この、卵が美味いんだよな。」


ペロペロ、ゴクン、ペロペロ、ゴクン。


アリクイは、蟻塚を破壊しつくし、アリ達を食べていく。


「おっ、大っきいの発見!」


アリクイは、女王アリを食べ、全て食べたが、まだお腹は満たされなかった。


「まだ、食べ足りない…。」


アリクイは、次の蟻塚へ向かった。


__________


「母さん、アリクイが、隣の蟻塚に来るよ!」


働きアリ達は、ブルブル震えだします。


「我が子達、アリクイを撃退しましょう。」


「母さん、どうやって撃退するの!?」


「それは、叔母さんと決めてくるわね。」


女王アリは、叔母を連れ、部屋を移動した。


__________


「女王、一体どうするつもりだ?」


「私、アリクイに食われようと思うの。」


「!!」


叔母達は、驚いた。


「それはダメだ、何を言っているんだ!」


「私は、口の中で、暴れようと思うの。」


「ダメだ、ダメだ!」


叔母達が首を横に振る。


「それなら、私が囮になろう。」


「姉さん、私も。」


叔母達が次々と名乗りを上げる。


「姉様に妹達まで…。」


「女王は、女王らしく、皆を守るのだぞ。」


「はい…。」


女王アリは、ポロポロと涙を流した。


__________


アリクイは2つ目の蟻塚にやって来た。


「アリよ、沢山出てこい!」


アリクイは、いきなり蟻塚を壊し出した。


ザクザク、ザクザク!


しかし、その蟻塚は蛻の殻でした。


「なんだ…、残念、食べられた跡か…。」


アリクイは地団駄を踏み悔しがった。


「食べたなら壊しとけよ!」


アリクイはプンプンしながら、3つ目の蟻塚へ向かうのだった。


__________


3つ目の蟻塚では、撃退の準備が整っていた。


「女王よ、巣は頼んだぞ。」


女王アリは頷き。


「姉妹達、頼みます。」


女王アリは、涙目になりながら、姉妹達100匹を見送った。


__________


蟻塚の入口付近では、叔母達が待ち構えている。


「さぁ、姪達を守るわよ!」


叔母達は気合を入れたその時。


ベローン!


「来たわ!」


アリクイが舌を挿し込むと、叔母達は舌にくっついた。


ニュルニュルニュル。


一瞬で20匹がアリクイに食べられた。


「ここには、アリが居るみたいだな。」


__________


アリクイの口の中では。


「皆、アリの顎の力をみせてやるわよ。」


食べられた叔母達は、散らばり、あちこちを挟みまくった。


ベローン!


「また、食べられてくるわよ!」


ニュルニュルニュル


次に40匹が来た。


「皆、頑張って!」


ベローン!


ニュルニュルニュル!


最後に40匹が来た。


「挟んで挟んで挟みまくるのよ。」


ギュッ!ギュッ!


「痛たたた!」


ガジガジ!


「口が痛い!」


アリクイは、100匹のアリに口中を挟まれ、転がり回る。


何匹かは、口の外に出ると、鼻の中に入り、鼻毛を引っ張る。


ハックション、ハックション!


「鼻も痛い!」


更に何匹かは、目まで上がり、目に入っていく。


「コラッ、目に入るな!」


アリクイは、瞬きをしますが、アリ達は、やめません。


「これはたまらん!」


アリクイは飛び跳ねると、蟻塚から、逃げて行きました。


「ヤッター!」


アリクイから落ち助かった20匹程の叔母達は、勝鬨を上げ、蟻塚へ帰ります。


__________


蟻塚では、女王アリ達が、巣の奥でアリクイが去るのを待っています。


「帰って来たぞ!」


入り口から声が近づいてきます。


「叔母さん達だ!」


姪達が駆け寄ります。


「犠牲は沢山出たが、アリクイは撃退したぞ。」


女王アリの元へ駆け寄り姉妹達が言います。


「良かった、良かった。」


女王アリは、涙を流して喜びました。


__________


日が暮れて、アリ達は、祝勝会を開きました。


「祝蜜だ、飲め飲め!」


アリ達は、して夜が明けるまで宴を開き、また、蜜集めの日々に戻りました。



◇おしまい◇

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― 新着の感想 ―
[良い点] アリがアリクイを撃退というのが面白かったです。 実際、軍隊アリとかならいけるのかなと思いました。
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