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第9話 戦闘指南

「今日は食事に付き合ってくれてありがとう。よくわからないから教えてもらいたいのだが、皆スキルを持って生まれてくるのか?」


4人は顔を見合わせて何を今更といった表情をしている。


「スキルには16歳で受ける洗礼の儀で授かるスキルと、努力や討伐によって得られるスキルがあります。授受スキルは皆似たスキルがほとんどですよ。たまにユニークスキルと言われるものもあります」


「なるほど、君たちはどんな授受スキルを持っているのかな?」


聞いてみると、エミリィは魔力とMP10%増、アンナは回復術、セージは攻撃力10%アップ、リョータは腕力10%アップだった。


「俺は剣術スキルがあるがこれは努力や討伐で上がるのか?」

「やっぱり剣術スキル持ちでしたか。剣術スキルは長年剣を振り続けて授かるスキルです。スキルレベルが上がる毎に威力、速度、技量が上がります」


剣道と素振り続けてよかった。となると闘い続けて剣技スキルを上げる必要があるか。


「あとレベルアップによる補正値なのだが、HPとMPは画面で確認できるのだが身体能力はどれくらいアップするのだ?」

「俺達まだレベル1なので分かりませんが、レベル10で1割程度と聞いたことがあります。」


「レベル100なら身体能力が2倍ってことだね。俺が聞きたいことは以上だ。今度は君達の戦闘方法について聞きたい。アンナさんがホーンラビットを4人で狩っても上手くいかないと言っていたが、何か対策して戦っていたのか?」

「4人のうち誰かがホーンラビットを見つけたら、そこを囲んで皆で攻撃って感じですね」


うーん、推測どおりの解答、原因は明らかにそれだ。


「失敗の原因は4人で囲むこと、ホーンラビットは臆病な性格だから正面からの敵に対して真後ろに逃げる特徴がある。囲むとパニックになって不規則な動きを行ったのだろう。一人脅かし役が正面から向かい、3人がウサギの逃亡方向を見極めて投擲で倒すほうが確立は高いはずだ。投擲が得意なのは誰?」

「私です。ナイフや石なら得意です」


 アンナが手挙げて言った。


「明日はそのやり方で試してみることだな。エミリィさんが使える魔術は?」

「火魔術のファイアーボールが使えます。一度、おおねずみに放ったら危うくボヤ騒ぎになったので森では使わないようにしています」


 虫のカブトは火に弱いだろうな、保険もかけておくか。


「ファイアーボールは一日にどれくらい放てる?」

「15発、休憩を挟むと20発は放てます」

「リョータ君、君は盾を持っていたね」

「小型ですけど」

「俺に考えがあるので明日その盾を持ってきてくれ。明日一緒に魔物退治しないか?」

「よろしくお願いします」


4人が喜色満面で答えた。

それにしても女の子2人優秀、投擲に回復術のアンナ、魔術士のエミリィ、男2人は悪いがポンコツ、あの2人は剣の稽古が必要だ。


「また明日って行く前に、稽古の話あったな。セージとリョータ、食後の運動だ。剣の稽古をつけてやるから庭へ行くぞ!」

「はい、よろしくお願いします」


2人とも軽く捻り潰されたのがトラウマなのか、言葉遣いも敬語に変化していた。


「アンナさんとエミリィさん、俺が払うから投擲用のナイフを何本か買ってくるのだ。ナイフはアンナさんが扱いやすいものでいい」


2人は驚き、銀貨の受け取りを渋ったが、


「明日、君達が劇的に変わると確信しているから出世払いでいい」


と言って強引に買いに行かせ、その間に男2人の稽古をつける。


「何だ、その持ち方は!腕だけで振るな、足運びが雑すぎる。腰が引けているぞ―」


2人の稽古を遅くまで続けた。



翌朝ギルドを出ると、4人組が待っていた。


「お早うございます。コウさんにフーちゃん」

「コウさん、お釣りです。それから私達のこと呼び捨てでいいですよ」

「わかった。これから呼び捨てるよ」


アンナは投擲用ナイフを5本買っていた。皆でルーボの森に移動し、


「それじゃあ、フーはいつものように好きに狩ってくれ」

「ホッホー!」


フーが勢いよく羽ばたいた。頼みますよ、稼ぎ頭。


4人は茂みで魔物を探している。セージがホーンラビットを見つけ、アンナが両手に投擲用ナイフを構える。正面から威嚇するとウサギは後方に駆けたが、2本のナイフがドスッ、ドスッと突き刺さる。上手くいったようだ。


周囲にボトッ、ボトッ。ボトッ、ウサギとネズミを落とすフーさんも好調ですね。

4人は時折逃がすが、2時間で12匹狩ってまずまずだろう。次の案を試すので休憩する。


「次はビックビートルを狩るぞ」


女の子はえー虫と言い、男共はあいつ硬いぞと狼狽えている。


「今回は二手に別れて戦うぞ、アンナとエミリィ、リョータとセージだ。リョータは盾を装備すること。まずは俺が見本を見せる」


木に張り付いているカブトに石を投げて威嚇し、向かった奴を両断する。


「おー、さすがっ!」


4人とも拍手で出迎えてくれた。


「俺の退治方法だが、こいつの特性は煽ると向かってくる。アンナが石を投げて、向かってきたところをエミリィのファイアーボールでやっつける。もしもの時に俺が備えているから安心してくれ」

「とりあえずやってみます」


木に止まるカブトを見つけたアンナは、エミリィに合図をした後、石を投げた。煽られたカブトが真っ直ぐやってくるが、火球に包まれ地面に落ちて絶命している。明らかにオーバーキル、魔術凄いな。


「イエーイ!」


アンナとエミリィはハイタッチしている。


「2人はさっきの要領でカブトを退治だ。次はセージとリョータ、リョータが盾で攻撃を受け止めて、セージが攻撃するのだ。落ち着いて行動することが忘れるな」


カブトが角を突き立てて迫るのをリョータが盾で受け止め、セージが攻撃して地面に叩き落す。地に落ちたカブト虫を2人で突き刺した。うわー…アントンの言っていたとおり素人が狩るとグチャグチャだな。


「俺達でもやれるぞー」


アンナとエミリィは魔力尽きるまでカブト狩り、その後は2人でウサギ狩りを行った。セージとリョータは、カブト狩りに専念している。4人で銀貨5枚近い収入を得て、まずまずの成果であろう。ちなみにフーさんは、銀貨8枚以上さすがです。俺は…カブトを1匹斬っただけで何もしてないな、うん。


「うまーい。この肉」


宿屋リカバーで食事会となった。相変わらず支払いは俺持ちだが…正確にはフーさんですね。美味そうに肉を食べています。


「なかなかの成果だったな。明日はどうするか考えているか?」

「私達はMPが尽きるまでカブト狩り、その後はウサギ狩り。それが一番狩れそうだし」

「俺達は一日カブト狩りだな。まだ怖いけど向かってくるからウサギやネズミより狩りやすい」


「それが一番効率いいだろう。明日エミリィはレベルアップするはず、MPも増えてもっと狩れるぞ。今後を考えるとアンナは投擲の練習、リョータとセージは、剣の稽古の他に筋トレが必要だ。攻撃力アップを持つセージは、片手で剣を持つより両手持ちにすること、リョータは剣の素振りと腕力を中心とした筋トレがいいな。腕の筋肉がつくことで腕力アップが生きてくる」

「俺達も強くなれますか?コウの兄貴を信じますよ」


すっかり兄貴呼ばわり…。お前達変わりすぎ、昨日は盗賊まがいだっただろ。


読者のみなさまへ


いつも応援ありがとうございます!


フーも仲間に入りようやくコウの冒険が始まりました。

土日も頑張って投稿しますのでしばしコウの冒険にお付き合い下さい。





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