157日目:「白痴」読み始めたという話
更新。ドストエフスキー、ロシアと文豪のダブルパンチでずっと避けてたんですけど(何故か流行のものとか避けがち)、ちゃんと読んでおいてよかったですね。これ知らずに死ぬとかありえない、ってレベルで感銘を受けました。ヤバいよこの作品…言い回しと名前の覚えにくささえどうにかできれば本当にみんなに勧めたい…
こんばんは。今日は、昨日出来なかったことをやってました。具体的にいえばドストエフスキーの「白痴」を読みふけっていました。この本、4冊版のやつを借りたんですけど、1.2を先に借りているせいで先に返却期限が来てしまうんですね。だからさっさと読まないと行けないな、と昨日辺りに思っていたんですが、どうにも手が出なかったんですね。どうにも億劫になっちまっていたようで。
しかしまあ、読み始めてみるとみるみるその世界に引きずり込まれてしまいました。この物語の主格となるのは、癲癇を患っていて、そのために周囲から「白痴」と呼ばれる公爵です。当然いい呼び名じゃないですから陰で呼んだり濁して読んだりするわけですけど、問題はそこじゃなくって、別に公爵が全くのバカだとは言い得ないところにあるんですよ。
この公爵は、どことなく憎めないところがあります。概ね子供っぽいんですね。自らも子供のことを「小鳥」なんて呼んで可愛がっているんですが、当然貴族社会の中では変わり者です。そもそも彼は病気の療養で長らく国を空けていて、やっと五年ぶりに祖国に帰るところから物語が始まるんですね。だから別に貴族っぽい上品ぶった物言いをしたり、えばったりなんかは全然しない訳です(その代わり、喋り始めるとなかなかに長いセリフを発したりするんですけどね!)。
というか、この小説全般に登場人物が無茶苦茶長いセリフを喋るケースが多い気がします。そもそも公爵が喋る機会がそこそこ多いというのもあるんですが、それでもまぁ話の長いこと!平気で見開き1ページ分ほどの(文庫本ですよ)分量を一遍に喋りきってしまうことだって1度や2度じゃ済まないです。しかも、ここが1番驚くべき場所だと僕は思うんですが、そのセリフの長さで全然中だるみしないんですね!
通常あまりに長い話をしていると、途中で目が滑ってきて「今何の話をしていたっけ……?」となることがあるんですが、それが一切ない。むしろ、その長台詞によってより引き込まれていくように感じます。公爵が初めて長台詞を喋った章で、僕は一気に公爵のことを好きになっちゃいましたもの。彼の純朴さがとてもよく垣間見れるのが彼の台詞だと思います。
実際まだ読んでいる途中で、午後からどうなるかは分からないんでストーリーに関しては触れないんですが、本筋だってとても面白いし、なんたってとても胸打たれる話です。というかなんか文体が似てきているような気がするくらい、この小説に心酔しちまってるかもしれません。今日変な場所で所々に括弧なんかが入ってきているのがその最たる証拠で(台詞途中でこういう付け足しの括弧が結構入ってくるんですね、丁度こんな風に!)、それくらい僕はこの小説に虜にされてしまっているようです。丁度、この物語の主人公の1人であるナスターシヤが多くの男性を惹き付け、人生を狂わせ、破滅させてしまうように!
ああ、なんて罪深い女なのだろう!しかも彼女は、しっかりとそれを自覚しているって話ですよ!でも、こいつがどうもいけない。ナスターシヤは公爵に好意があるだろうに、自分のそんな気質を知り尽くしているが故に、自身が公爵と一緒にいると破滅を招いてしまうとわかっている!だから、彼女は自分の意思で公爵から離れ!別の男とくっつこうとするんです!これほど悲劇的で、報われない恋があるでしょうか!いや僕はそんな経験はミジンコほどもないんですけどね。
と素に戻ったところで今日はここまでです。テンションは実際死ぬほど高いですね。なんかもう舞いあがっちゃってます。すっかり熱に浮かされてしまってますね……でも仕方がないんですよ。あんなに凄い小説を読んで、正気じゃいられませんもの。




