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ンゴフフ
第1話 いつもの日常と夢の中で出会う神と
朝だ。
俺が目を覚ましたのは、ちょうど6時30分
いつも起きてる時間だ。
「学校だるい……」
平日の毎朝言ってる気がするが、正直そんなこと気にすることはなかった。
部屋を出て階段を降りリビングに行くと、
テーブルには、母が作ってくれていた朝食と昼に食べる弁当が置いてあった。
俺は、椅子に座りテーブルの上の朝食のラップを取って丸くグシャグシャにすると床に置いてあるゴミ箱に向けて投げ捨てた。
ゴミは、見事に入るが気にすることもなく、箸置きに置いてある箸を取って朝食を食べる。
特に変わらない朝だ。
朝食を食べ終わると、食器を洗って片付けた。
その後は、歯を磨き、顔を洗い、寝癖を取る、そして制服に着替えてバックを背負い、いつも通りの時間に外に出て学校へ向かかった。
俺にとって特に何もなく変わらない日常だ。
それがこれからも続く人生だとも思った。
正直言って退屈でしかない、つまらない
学校へ着くと、唯一の友達?と言っていいのか微妙だが、山本拓也に話しかけられる。
「おい、誠!昨日の異世界転生で無双3話見たか?」
山本拓也は、アニオタであり、俺と同じく友達がいない。
『異世界転生で無双』とは、最近流行りのアニメらしく、暇つぶしに見ている程度だ。
「ああ、見たよ」
見ていないが話を合わせる。
実は、昨日夜眠たかったので録画して後で見ようと思っていた。
拓也は、嬉しそうに俺に色々と話をしてきたが、俺は適当にうなずいたり、おもしろかったよ、よかったなー、を繰り返し言ってなんとか誤魔化した。
「あの主人公やっぱかっけええよな!俺も異世界とか転生されねえかなぁ〜」
正直1話2話と見た俺にとってこれっぽちも面白い作品だと思わなかった。
なぜならあれは、アニメだ、だからこそ現実ではありえない。
いつもそうやって見てしまう癖があり、アニメもドラマも楽しめない。
「お前、もう少し現実見ろよ」
俺は、笑いながら言うと
拓也は、うるせーと笑いながら返してきた。
チャイムの音が鳴り、いつも通りの席に座りホームルームが始まる。
先生の話など聞くこともなく俺は、窓の外の景色を見ていた。
つまらない
この言葉のことしか俺は心に思いつかなかった。
それから特に何事もなくいつも通りの授業を受け昼休みに入る。
周りのやつらは、友達と集まって昼飯を食べながらワイワイ楽しんでいる。
そんな中俺は1人で母が作った弁当を取り出して食べている。
特に周りの奴のことなんて気にしてない。
昼になると朝話しかけた拓也は、いつもいない。
周りの噂だが不良に絡まれているらしい。
正直学生の中だけの付き合いでしかなかった俺は山本拓也がどうなってようが気にする事はなかった。
昼飯を食べ終わると特にやることがないので、スマホを取り出してくだらないネタがないかを調べる。
これがいつもの昼の過ごし方だ。
昼休みが、終わる時間になると山本拓也は帰ってきた。
顔の頬が少し腫れてる気がしたが、特に何もせずに見ていた。
(不良に絡まれてるって噂も本当なのか)
可愛そうだとは、思っていない。
ただアイツの立場が俺ならどうしてただろうか…?
今のように誰にも言わずに耐えるだけなのか、それとも…
そんなくだらない事を考えていると次の授業が始まった。
あれから全ての授業が終わり、帰る時間が近づくと俺は、帰る準備をする。
いつも通りのホームルームが始まり、そして終わる。
先生のさよならで教室を出て家へと帰った。
帰ってる最中俺は、1つ心に思ったことがあった。
(今日、1人としかしゃべってねえなぁ…)
少し悲しくなったが、ふと思い返すといつもそうかと頷いてしまった。
俺は家に向かって歩く。
家に着いた、鍵でロックを解除してドアを開け家の中に入った。
そのまま二階に上がり自分の部屋に進む。
自分の部屋に入るとバッグをまず自分の机に置き、ネクタイを外して制服のポケットにそのまま突っ込んだ。
「あー、疲れたぁー」
俺は、一人で呟きテーブルの前に座る。
無趣味な俺にとってここから何をやるかなんて決めてもいない。
くたくたになった体を休めるかのようにテーブルに上体を伏せた。
眠くなってきた。正直このまま寝てもいいと思ったが、心のどこかで勿体ないと感じてしまっている。
そこで拓也との会話を思い出した。
(……そういえば、録画したアニメ見るか)
そう言ってリモコンでテレビの電源をオンにする。そして録画用のリモコンをとって録画機の電源もオンにして録画した動画を探す。
探すと一番下に録画したアニメがあった。
タイトルは、『異世界転生で無双 第3話』
正直言ってとても酷いタイトルだと思った。こんなタイトルでも絶大な人気を誇るらしい。
世の中何が流行るのか不思議なものだ。
今日は、このアニメについて拓也が話をしていたから多少ネタバレを聞いてしまったが、気にしてはいない
俺は、録画用のリモコンで再生ボタンを押してこのアニメを見る。
それから24分後
アニメは、終わり
俺は茫然としていた。
内容に関してだが、1話で転生した時にもらった能力を味方に隠しながら敵を倒すのが2話までの内容だったが、3話では味方にそのチート能力がバレてしまうと言う回だった。
バレてしまうまでは、いいのかもしれない。
だがバレた後に女の子達からいきなりモテだすのはどうかと思った。
「なんだこれ…」
正直何が流行りの原因なのかわからない
でも、流行ってる以上は今後の展開がおもしろいのだろう…
俺は、その後テレビと録画機の電源を切って、バッグから弁当を取り出し、下のリビングに行く。
下のリビングで今日食べた弁当箱をを洗い朝に洗った食器をかたずける。
(暇だなぁ)
俺は、そんな事を思いながらリビングのソファに横になる。
勉強なんてものは、やる気がでない、何もしないでいるのももったいない感じは、あるがやる気が起きない。
「明日なんかあったっけなー」
なんて事を一人でつぶやくが特に何もない。
そんなこんなで、時間が経ち、気づけば18時30分だ
(そろそろ夕食でも食べるか)
母が作ってくれた夕飯をレンジで温めて食べる。
(はぁ……食べ飽きたような味だなぁ)
作ってもらっといて不満を心の中でつぶやくが食べ続ける。そして米一粒残す事なく完食する。
食べ終わると食器を洗い始める。
洗い終わったら食器をまた片付けた。
その後は、特に何もなかった。
時間が経てば風呂に入り、別に見たいと思ってもいないテレビをつける。
テレビをつける理由としては、面白くないが孤独感が薄くなるからだ。
それだけの理由で電気代を消費させていく。
そしてだらだらしながら、時間が経てば歯を磨き、明日の学校の準備をする。
(もう寝るか…)
そう思い俺は、自分のベッドに横たわる。
部屋の明かりをリモコンを使って、真っ暗にした。
いきなり真っ暗になると何も見えないが、だんだんと目が慣れてくにつれ周りが見えてきた。
(明日も同じ一日が、始まるのか…)
俺は、そう思い目を閉じる。
そして心の中で1つ祈った。
非日常な事が起きないかなぁ
どうでもよかったはずだったが、毎日があまりにも退屈で、いつしか何か起きる事を願うようになっていた。
そんなこんなで俺は、眠りに入った。
2
「起きてください…」
その一言で俺は、目を開けた。
そこで俺は驚いた。
眼に映る景色は、真っ白な空間だった。
それに寝ているのではなくて立っている。
「え………」
思わず口からこぼれてしまった。
すると後ろから女性の声がする。
「こちらですよ」
俺は、後ろを振り向いた。
そこには、白いドレスのような衣装を着た美人の女性がいた。
「やっと目覚めましたか」
その女は、俺を見ながら笑みを浮かべた。
ただ俺は、それどころじゃなかった。
「お前は誰だ!?ここはどこだよ!この白い部屋なんだ!」
起きた時と自分のいた場所と違い、俺は、誰かにどっかの組織に寝てる間に何かされたのか
「まあ落ち着いてください。貴方に何もしません。ただお願いしたいだけです。」
「え…?」
俺は、自分の思ってた事と違い拍子抜けしたような声が出てしまった。
「私は、貴方に世界を救ってほしいんです。そのために私は、貴方をここに呼ばせてもらいました。」
は?
俺は全然理解できなかった。
こいつは、何言ってるんだ?
ここに呼んだ?世界を救ってほしい?
意味がわからん…
とこんなこと思っていたがふと俺の頭の中にあることが浮かんだ。
「俺は、世界を救うために呼んだってことでいいの?」
「はい、そうです」
そう女は答えた。
やはり、
これは夢だ。
最近人生に退屈していたから、こんな夢を見ているのか。
「はぁ……もう目覚めていいわ」
一言俺は、言った。
女は、首を傾げたが、気にせず話を続けた。
「まあ、そういうことなので貴方は、私たちの世界に後に来てもらいます。」
え?もしかして今日見た『異世界転生で無双』の影響がでていたのか…?
あんな見下して見てたアニメに俺は、影響を受けてたのに悲しくなった。
「じゃあ、何か力が貰えたりしないんですか…?」
俺は、アニメを思い出しながらこの言葉を発していた。
「ええ、もちろんです。私たちの国が敵から奪った能力を貴方に与えます。その能力は、『リジェクト』です。」
なんだその能力?敵から奪ったってなんだよ…
俺は、英語のrejectの意味を思い出したながら考えた。
「リジェクトって、何か拒絶でもするのか?」
女は、頷くとこの能力について話した。
「ええ、これは全てを拒絶する能力です。
貴方が消したいものその全てを無にすることができます。」
なるほど、と俺は頷く。
すると女は、続けて話した。
「ただその能力は、完全ではありません。
一日3回しか使えないです。それに今の力では、拒絶する事が出来ない場合があります。」
と女は、申し訳なさそうな感じで答えた。
「え…じゃあ欠品能力ってことなの?」
すると、女は、「ええ……すみません…」
と一言謝った。
俺は、ガッカリした。
それを察した女は、フォローするかのように続けた。
「ただ、身体能力のほうは、今よりも向上させておきます。まあこの世界だけでしか使えませんが…」
「この世界だけ…?」
夢だとわかっているが不思議に思った。
「そうですよ…」
「つまり、俺の世界には戻れるってこと?」
女は、ええと一言入れると続けて話した。
「心配しないでください。現実世界の貴方の邪魔になるようなことはしません。」
それはそれでガッカリだったが、まあ夢に期待しても意味ないか。
「すみません…この場所に留めることがもう限界のようです。
次は、私たちの世界で目覚めると思いますので、そこから状況を把握してください…」
そう言って女の後ろに振り向き姿は消えてしまった。
俺は、ただ棒立ちになっていた。
正直まだ理解してない事も多かったのに、話が終わってしまった。
「え…?これで終わり?俺まだよくわかってないんだけど!!」
俺は、そう叫んだ。
途端にあたりが真っ暗になった。
すると
「はっ…」
そこは、自分の部屋の天井だった。
「本当に夢だったのか…」
俺は、少しガッカリした。
うけけけめけ