帰還
眠りに落ちたと思ったら森の中に立っていた。
またこの夢だ。
今回は最初から夢だと気づける。
ゲームに再度ログインした感じだ。
だけど少し様子が違う。
着ている服は枝で破られたと思われる箇所が複数あり、朝見た夢からは少し時間が経っているみたいだ。
ひどい空腹感に襲われるのも時間経過の証拠だろう。
体の疲れなんかもあるし…でも今回もさっきと同じ夜みたいだ。
何日経ったのかもわからないがオレが夢を見ていない間も時間は進んでいるみたいだ。
とにかく食料を手に入れないとこの空腹は辛い。
サバイバルは一度して見たかったけど虫とかを食べる気にはならない。
例のごとく意識を介入させて食べ物でも出すか
カツ丼やラーメンを思いついたがサバイバル感がない。
よし。とりあえず果物でも出そう。
「なにがいいかな…南国っぽいしパイナップルにしとくか」
そう言うとパイナップルの木が目の前に現れる。ほんとゲームみたいだ。
皮を剥くためのナイフも用意して、、、
あ、オレがいない間も食べれるようにパイナップルはたくさん出そう。
これでキースは何日も食うに困らないだろう。
自分の夢だがどこか人助けをした感覚になり満足感を得られる。
そうだ夢なら魔法の1つも使ってみるか?
んーでもオレはゲームでは武闘派だしどっかの漫画で読んだ遠当てでも使ってみるか。
「いくぞ!!」
パンチをすると瞬く間に遠くの木が倒れる。
イメージ通りだ。
遠当てとは、パンチの作用点を変える技術。
力点、すなわちパンチを当てた場所が
作用点、つまり衝撃を受ける場所という概念を変えて作用点を遠くにづらすものだ。
任意の場所に衝撃を与えられるこのスキルなら動物を狩る時も危険がないし気づかれないで済む。
次は容姿を決めよう。
とりあえずイケメンを思い浮かべてその顔に変更。
身長とかはあんまり大きくない方がいいな。舐められといて本当は強い方がかっこいい。
見た目の筋肉も同じだ。細マッチョにしよう。
次々と意識介入をして少し小さめの細マッチョのイケメンが完成。
理想的だ(笑)
この意識介入って言葉がカッコ悪いな。
技名っぽくメイクとしよう。
他に英語も知らないし(笑)
「おはよう!今日も一日頑張ろうね!」
ん?
「おはよう!今日も一日頑張ろうね!」
これはスマホの目覚まし機能に設定しているアイドルの声だ!
もう朝か?キャラ設定しか進んでない…けどもう起きなきゃいけない。