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二十一話 デートをしよう……どっちと?

 カララドの町にやってきて、領主の庇護下に入ってからというもの、俺の生活は安定してる。

 よくも悪くも、だ。


 日中は冒険者ギルドの仕事。夜はクートと訓練。

 毎日、この繰り返し。休日どころか、休憩時間すらほとんどなしに働きづめなのを、安定って言えればな。


 日本のブラック企業も真っ青じゃね?

 無茶ができるせいで、余計にやらされるってのもある。

 しかも、こんだけ働いていながら、ZPの増加は微々たるもんだ。


 ZP=-999999999825


 泣けてくるぜ……

 久々に、あれ言ってもいいか?


 ふざけんなああああああああああああああああああああああああああああああっ!


 はい、ノルマ終了!

「あ」がだんだん増えてるが、それだけ文句があるってことだ。

 日に日に心がささくれてく俺に、救世主が登場した。


「サズマ君も、たまには休めばどうだ? 屋敷にきて以降、休んでいないだろう?」


 領主様! アテニルザ・カララド様!

 豚で紳士(ロリコン)だけど、今の俺にとっては天使でございます!


 クートは、毎晩毎晩、訓練と称して俺を叩きのめすし。

 カラさんは、毎日毎日、雑用をやらせるし。

 リュエや透歌とは、まともに話もできないし。


 俺に味方はいないって思ってたが、領主様だけが味方だった。

 ありがたや、ありがたや。


 領主が言ってくれれば、旦那様至上主義のクートは反対しない。


「しょうがないのぉ……サズマよ、旦那様に感謝するがよい」

「ありがとうございます!」


 俺が領主にお礼を言ったら、さらにご褒美が。


「リュエと透歌も、今日は一日休みとしよう。三人で好きに過ごすといい」


 俺だけじゃなくて、リュエと透歌まで! この人、マジで神様じゃんか!

 こうして俺は、思いがけない休暇を手に入れたのだ。





 三人とも休みをもらえて、好きに過ごせばいいって言われたんだが、何する?

 屋敷でゴロゴロするってのも手だが、なんかもったいないよな。町の散策でもするか。

 ちょっとしたデートだな。前世も含めて、何気に初めての体験だ。


 俺、彼女いなかったからなあ。超欲しかったのに。

 大学生になって、サークル活動とか合コンとかにも積極的に参加して、これから彼女作るぜ! って時に転生だ。

 異世界でデートできるなら、転生してよかったって思える。


 んで、問題は、だ。

 リュエと透歌、どっちとデートする?


 俺が前世でプレイしてたギャルゲーやエロゲーなら、選択肢が出る場面だな。

 リュエと透歌に加えて、「屋敷で過ごす」と「冒険者ギルドに行く」の選択肢があってもいい。

 屋敷で過ごせばクートルート、冒険者ギルドに行けばカラさんルート、とか。


 やれやれ、迷うぜ。モテる男は辛いな。

 俺の体は一つしかないってのに。はっはっは。


 嘘です、ごめんなさい。ちょっと、モテる男気分に浸ってみたかっただけです。


 まあ、クートとカラさんはない。

 俺としちゃ、どっちも大歓迎なんだが、二人とも心に決めた相手がいるからな。

 寝取るのはさすがにダメだ。


 リュエか、もしくは透歌か。

 ここはいっそ、二人同時もあり?

 日本で二股かけたら軽蔑されるが、異世界なら一夫多妻は普通だし、二人とデートしても許される。


 美少女二人を同時に攻略。いいね。男の夢だね。

 童貞の俺には、ハードルが高くはあるが、一人に絞るのは無理だ。


 だって、どっちも可愛いんだよ! 一人なんて選べない!

 決めた! 俺は、二人とデートするぜ!


 そうと決まれば、さっそく誘おう。

 二人とも、領主から休みを告げられてる頃だ。モタモタしてたら予定が入ってしまう。

 まずはリュエから。定位置である台所の隅で、ちょこんと体育座りしてる。


「リュエ、今日は俺と一緒に、町を見て回らないか? デートしよう」

「デートって何?」

「仲のいい男女が、一緒に遊びに行くことだ。もっと仲良くなれるんだぞ」

「行く! サズマとデートする!」


 リュエはオッケーしてくれたが、これはちょっと、罪悪感が……

 いたいけな子供を騙してるみたいで……


 しかも、これから透歌も誘うんだよな。どんだけ最低なんだよ、俺は。

 とか思ってたら、リュエがこんなことを言い出した。


「クートお姉ちゃんも一緒? 透歌も?」

「クートは誘わないが、透歌はこれから誘うつもりだったな……ところで、なんで二人の名前が出たんだ?」

「お姉ちゃんも透歌も、サズマと仲良し! もっと仲良くなる!」


 リュエは純粋なんだが……その純粋さが俺には痛いんだよ……

 透歌も一緒にデートすることを、リュエが許可してくれたから、そこにつけ込むみたいだ。

 リュエが純粋で優しいのを利用する、最低男ってな。


「……そうだな。俺も透歌と仲良くしたいし、三人で遊ぼう」

「うん!」


 最低男には、最低男なりのプライドがある。

 俺が望んでるから。美少女二人を同時攻略したいと思ってるから。

 だからこそ、透歌も誘うんだ。


 全ては、俺自身の欲望のため! リュエをだしにはしない!


 こうやって言い切ると、とことん最低だな。

 自覚はあるが、改善する気はさらさらない。


 俺のスケベは、今さら治らん! 不治の病だ!


 ……とりあえず、透歌も誘うか。部屋にいるかな。

 リュエは例外として台所にいるが、透歌は他の女性と同部屋になってる。


 男の俺が、女の子たちの部屋に足しげく通うのはよろしくないんで、普段はあまり近付かない。今日は特別だ。

 領主の妻たちの部屋が並ぶ場所まできて、透歌の部屋をノックする。

 中から透歌の声がして、ドアを開けてくれた。


「サズマさん? リュエさんも? どうしたんですか?」


「今日は休みだって、領主から聞いた?」


「聞きましたけど」


「俺とリュエは、町を見て回ろうかって思ってるんだ。透歌も、用事がないなら一緒にどうかなって」


「わ、私がご一緒してもいいんですか? その……サズマさんは、リュエさんと二人きりの方が……」


 屋敷で暮らすようになってからずっとなんだが、透歌は俺とリュエに遠慮してる節がある。自分が入り込んじゃいけないって思ってるんだ。

 だが、そうやって遠慮される方が悲しい。


「俺は、透歌とも一緒にいたいんだ。ナンパ男みたいな言い方になるが、リュエも透歌も大事だし、三人で遊びに行かないか?」

「サズマさん……はいっ、行きます! ちょ、ちょっと待ってくださいね。すぐにしたくしますから」


 ドアを閉めて、透歌は出かける準備をしている。

 俺とリュエは、部屋の前で待つ。

 しばらくして、部屋から出てきた透歌は、懐かしい服装になっていた。


「その服……」

「はい、サズマさんと出会った時の服です」

「旅の最中に、結構ほつれてただろ?」

「空いている時間を見つけて、少しずつ修繕しました。私の一張羅ですから」


 何着かの服は領主から与えられてるが、普段着や仕事着なのでオシャレとは言えない。

 今日の服装は、リュエは自前の白ワンピース。

 透歌はドレス……ドレスか? 俺の語彙じゃ、うまく表現できないな。


 えっとだな、ドレスって呼べるほどフォーマルじゃない。カジュアル寄りで、日本なら新宿とか渋谷とかにいる女子高生が着てそうな感じ。どうでもいいが、俺は地方在住だった田舎者で、新宿や渋谷の若者はオシャレってイメージがある。

 白を基調としたインナーの上から、レースのボレロ? カーディガン? を羽織ってて、ロングスカートと合わせてある。

 カララドにくるまでの道中は、ロングスカートが歩きにくいらしくて膝辺りでバッサリカットしたんだが、直したみたいだ。


 まあ、長々と説明しなくても、「可愛い。似合ってる」で十分だな。


 俺? 一般市民が着てるような、普通のシャツにズボンだよ。

 リュエや透歌と並ぶと見劣りするが、男の格好なんざどうでもいい。


 透歌の準備も終わったんで、三人で連れ立って屋敷を出る。

 行き先は時に決めてない。適当にブラブラすればいいかなって感じで、ノープランだ。


「リュエと透歌は、どっか行きたい場所ってあるか?」

「わたし、サズマと一緒なら、どこでもいいよ!」


 俺と腕を組んで歩くリュエは、笑顔でそう言った。()い奴め。


「私、冒険者ギルドに行ってみたいです。サズマさんがお仕事されてる場所に」


 腕は組んでないが、俺の隣を歩く透歌は、冒険者ギルドに行きたいと。


「冒険者ギルドに行って、楽しいか? 遊ぶ場所じゃないぞ?」

「見学してみたいんです。ダメでしょうか?」

「ダメじゃないよ」


 最初の行き先は、冒険者ギルドに決まった。

 よっしゃ、知り合いに、リュエと透歌の可愛さを見せつけてやるか。

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