表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/6

2/100 庭の草刈りから(4)

 病院着から作業着に着替える。自分の使っていた服でよかったんだが、先生が是非にと勧めてきた。まぁ自分の服が汚れるのも気になるからな。とゆうかまだ捜索中だ。あの看護師がとぼけたふりして返す素振りを見せない。そのうちひょっこり出てくるだろうから気にしないけど。

 「だが、なるほど。先生が着せたがる理由も少し分かった。こういうことか」

 

 年代を感じさせる作業着

 長年使用して所々擦りきれている。

  体力アップ(2%)

  土属性(3%)

  採取能力(初級)

  掘削能力(中級)(劣化)

  建築能力(初級)

  工作能力(中級)(劣化)

  飼育能力(初級)  


 そう、実はこの作業着には装備補正が付いていて着用者に対して効果を発揮するようだ。尤も、殆どが初級なんだがな。とゆうか(劣化)ってなんだよ。

 「やぁ、やっぱり若者が着ると様になるね。古いし安物だから効果が弱いけどないよりはましだと思うよ。」

 (劣化)は経年劣化って意味なのかな?新しいと効果が高いのか?色々調べてみよう。

 「とりあえず、ありがとうございます。無理しないようにやってみますよ。」

 「倒れても病院だから大丈夫よ。また入院しましょうね。」

 段々あの看護師がうざくなってきたな。気のせいか?

 その後、ついでにと言うことで手袋も貸してもらった。こっちは防御(+15)だった。

 

 そして、ここから。俺の本領発揮だ。転移前には不覚にもぶっ倒れてしまったけど、庭仕事は得意なのだ。草むしりの基本は草の根にある。草だけ毟って根っこを残してたらまたすぐに葉っぱが生えてくるからな。しっかり根っこごと引っこ抜いてやらないと。

 目の前にはいい感じて雑草が生い茂ってる庭がある。緑色と茶色の割合が3対7って所か。俺は前までの経験と知識を生かし、手近にある日本で言うオオバコのような幅広の草に手を掛ける。そして、葉っぱではなく葉と根の境目、地面との境界線を目印にしっかりと握り混み真っ直ぐに引き抜……あれ?

 なんだよ、めっちゃ固いな。動く気配もないぞ?根っこが深く張ってるのか?捻ってみたり、土を少し掘ったりしてみるが変わらない。これはどう言うことだ?やはり異世界か、似ているだけで全く違う根の張り方なのかもしれない。そもそも似ているからって別の植物なんだ。甘く見てはいけない。マンドラゴラとかもそうだが引き抜いて魔物だったりしたら手もつけられない。むしろレベル1の俺は死んでしまうかもしれない。

 ここで、俺はふと気がついた。

 「適正レベル、か?」

 俺は今レベル1だ。これが何を意味するかは今だよくわからないが、もしこれが原因でこの植物を引き抜けないのだとしたら。ゲームに例えて仮説を立ててみる。この植物がレベル5くらいあったとして、5倍のレベルに挑んだところで勝機はない。こいつを引き抜ける、倒せる適正レベルまであげなければいけないのでは?今挑んで倒せれば多くの経験値は手に入るかもしれないが、効率が悪い。ならば手頃な雑草を刈ってレベルを上げてから挑む方が良いかもしれない。

 俺はそう思い、その脇に生えている単葉の小さい植物を抜こうと手を伸ばす。普通の草むしりでは小さすぎて無視してしまうくらいの草だ。千切らないように慎重に力を加え引き抜いてみる。地面から指が持ち上がる感覚。草を抜くことができて安心したと言う感情とひとつ何かを為し得た興奮がある。

 「おぉ。」

 思わず声を漏らす。そして、目の前に薄い水色の数字を知覚する。経験値が入ったようだ。入手した経験値は僅かだが、このまま続けて行けばレベルが上がるという期待が小さな雑草を抜くための原動力になる。

 頭の奥で鐘がなったような気がした。すると、目の前にレベルが上がった事を知らせるアナウンスを知覚できた。どうやらレベルが上がったようだ。

 「ようやく1レベル上昇か…先は長いな。」

 目の前の庭を見ながら呟く。まだ全体の10分の1も終わっていない。小さい雑草しか抜いていないから当然だが、俺にできるのはその小さな雑草を抜くことだけだ。ならばこの庭の更地にするくらい、抜きまくってやるか。

 俺はほぼ無心に草を抜き始めるのだった。てゆうか、すごい絵面だな。黙々と草むしりしてるとか。あと何回「抜く」って言ってんだよって。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ