1/100 庭の草刈りから(3)
作者:不定期投稿です
加持:異世界転移です
ふむ。
レベル1か。年齢とレベルは無関係なんだな。『転移』って資格扱いなのか?性別とか書いてないけどそれはいいのか?状態が混乱ってなってるけど、割かしはっきりしてる。。あれ?この感覚が混乱になるのか?あれ?あ。混乱してきた?
なんて一人で悶々としているとさっきの看護師さんと一緒にお医者さんが目の前にきた。おっさんだ。
「目が覚めましたか、私はこの町で医者をやってます、ヤタガマ・アキといいます。ステータスを見させてもらいますが。。。うん、状態異常やらHPは回復してるみたいですね。」
HPの概念もあるのか。健康を管理する上ではいいのかもな。最近は文明も発展してきてるから日本もそういうデジタル表示になってきたのか。あ、また混乱してきたぞ。
「とりあえず、体で痛いところはないみたいです。このステータスって他人のを見られるんですか?」
「そうですか、それはよかった。もう退院しても大丈夫そうですね。ステータスは基本的には自分のものしか見ることはできませんが、私は医者ですからね。医療にかかわる部分なら能力を使ってみることができますよ。」
「退院おめでとうございます。怪我をしたらまた入院してね。」
いつの間にか入院しててあっという間に退院する流れになってた。なにか大事なこと忘れてる気がするような気がするけど、なんだっけ?ひとまず他人のステータスを覗くことができないのがわかった。人のを見れないのは気になるが、自分のを見られることを思うとまぁプライバシーとかもあるし、仕方ないかな。医者が健康にかかわるステータスを見ることができるってのは把握した。てことは看護師も同じかな?ある程度制限かかるけどある程度見れそうだな。
「それで、入院費のことだけど・・・」
「!」
そうだ!さっき追剥に襲われたって。今無一文なのか?なにか忘れてるって思ったけどこれか。衣服は病院着だし、3話目にして詰んだか?3話ってなんだ?
「持ち合わせがないみたいだし、誰かに届けてもらうか、何かしら対策があるといいんだが?」
「すみません。身内はいないので。また後で持ってくる形でもいいですか?」
「それはすまないことを聞いたね。こっちはしっかり払ってもらえればいいんだよ、後ででも構わないからね。」
「ありがとうございます。えっと、そういえばここはどこですか?というかそもそもステータス魔法って初めてなんですが」
そう。当然のように会話してるけど、無一文以上に気になっていたことを思い出した。いままで生きてきて『ステータス魔法』なんて聞いたこともなかったぞ?聞き流してたけどさっき医者も『能力』とかいってなかった?そして『転移』の文字。
「ん、まだ混乱があるのかな?ここはヤマト。ツキアカの国のヤマトだよ。」
あー、なるほど。つまりあれだ。俺はどうやら最近流行りの『異世界転移』に陥ってしまったんだな。これは困ったな。ここが日本ではないならそもそも家に帰ってお金を取りに帰ることもできないぞ。やっぱり詰んだか。これは、正直に話すべきか、否か。話せば取りに行くお金もないことを理解してくれるかもしれないが、そもそも異世界転移が一般でなければ不審者か踏み倒しかのレッテルを張られることになる。それは今後のここでの生活にかかわるな。実際異世界転移した場合、お金はともかく戸籍やら住処やらどうするものなんだ?いや、今は目の前の問題だ。この窮地、どう乗り切るか。しばらく悩んでいると看護師さんが医者のおっさんにコソっと漏らす声が聞こえた。
「もしかして、お金ないんじゃないですか?」
「でもさっき持ってくるって言ってたよ?」
「んー、じゃあまだ記憶が戻ってないのかな?」
「でもステータスには【忘却】も【喪失】もついてないんだよね。」
医者って怖いなー、嘘もつけないのか?でもまだ迷ってるならこっちから仕掛けるか。
「いや、実は地名を聞いてもぱっとしなくて、自分のうちもわからなくなってしまったみたいで。良ければここで働かせていただいて、それでお返しするっていうことはできないですか?」
ちょっと自分でも条件を絞りすぎたかとも思う。だが、今までの世界では、医者はそれなりに稼げて地位も高い。診察を受けに色んな人が訪ねてくるのである程度情報も回ってきやすい。というのが俺の考えだ。
「ふむ。丁度男手が必要な時期だったから少し面倒をみようかな、見た感じ悪い人ではないだろうしね。空いてる病室でいいかな?」
「先生がそういうなら仕方ないね。これから頑張りましょうね。」
「しばらくお世話になります。よろしくお願いします。」
・・・まだ転移者ということを漏らさないほうが得策かもしれない。オレ以外に転移者がいるのか、どういった扱いを受けているのかがわからない。異世界の病院だし下手したらその場で解剖とかありそうだ。何かわかるまでは隠していてもよいだろう。ばれたらその時に考えよう。とにかく今は情報収集が先決だ。
「それじゃ早速、庭の草むしりからお願いしようかな。これからの時期は草むしりをした次の日にもすぐ伸びてくるからねー。」
「わかりました。得意なので、任せてください!」
まさか、ここにきてまた草むしりか。笑うしかないな。
だ、これでしばらくは生活する拠点ができた。いきなりの異世界転移だけど。なんとかしていくしかないな。
「そういえばオレの服はどこに?ってゆうかいつの間に着替えてたんですかね?」
「うふっ」
そういって看護師さんが目を細めて笑ったのだった。。。え?