1/100 庭の草刈りから(2)
作者:連続投稿の仕方を学ぶ
加持:ステータス魔法を学ぶ
倒れてからどれくらいたったのだろうか。まだくらくらした頭で考え、時計を見ようと周りを見渡す。そして気づいた。
「ここはどこだ?」
見慣れない天井。真っ白なシーツが引かれているベッド。明らかに違うんじゃないか?ここは、家じゃない。俺はたしか、家の庭掃除をしていてそれで倒れて。
いや、ちょっとまて。普通に考えたら倒れたんだから誰かが救急車呼んでくれたんだろう、そう考えればここは何処かすぐ気づくはず。きっと病院だ。そうに違いない。ほら、点滴も刺されてるし、間違いないよね。何を混乱して阿保なこと考えていたんだ。倒れたからって気が動転しすぎだろ。あれかな?お隣のおばさんが救急車呼んでくれたのかな?それとも裏の爺さんかな?後でお礼を言いに行かなきゃな。なんて考えていると。
「あ、気が付いたみたいですね。具合いかがですか?」
と看護師さんが声をかけてくれる。年のころはまだ20にはなってないんじゃないかなって見た目だ。でも看護の学校が義務教育受けてから3年って考えると…ん?それよりなんか服装がすごいぞ?なんてゆうかギャルゲーとかマンガみたいな恰好のナース服だ。かなり攻めた切れ込みだとか、頑張れば見えるんじゃないか?いや、何がって何かだよ、言わせるなよ。まったく、こんな若くてかわいい感じの子になんてもん着せてるんだ。院長の趣味なのかな?羨ましいなー。ってぼーっと考えている。
「人が倒れてるって連絡があったんですよ。この時期は熱いから熱中症に気を付けないとですよね、若いからってこまめな水分補給は大事ですよ。」
「あー、いや。俺も気を付けてはいたんですがね。まさか自分がそうなるとは。」
「倒れて間もなかったのか、体に深刻な後遺症はないみたでよかったですね。それにこの時期は熊も出てくるので気を付けないと危ないですよ。幸い熊に襲われてはいないようですが、追剥に持ち去られてしまっていたのか所持品などは見つかりませんでした。でも意識が戻ったみたいなのでまずは名前から教えてもらっていいですか?」
…んん?なんだろう、なんか変な違和感があるぞ?まだ混乱してるのか、熊っていったか?うちは住宅街だし、山なんて車で30分はいかないとないから遭遇するどころか話も聞かないはずだが。
俺の沈黙を熱中症による記憶混濁と勘違いしているのか、さっきの看護師がつづけて
「あ、もしかして名前忘れちゃったのかな?ステータス画面から確認できると思うけど?」
んんん?今のは明らかにおかしいんじゃないか?さっきから色々違和感があったりしたけど、入院とか慣れてないし倒れたしで混乱してるだけだと思ったけど、そうじゃないんじゃないのか?
「えっと、すいません今なんて言いました?ステータス?ってなんです?」
「あら、思ったより症状が重たいのかな?ステータス魔法だよ。心の中で念じてみればわかると思うよ?」
真顔で言ってくる。まじかよ、まじかよ?さっきより断然混乱してくる。えっと、色々問いただしていくべきか?いやとりあえず、名前を答えなきゃいけないよな、訊かれてるもんな。うん。心にステータスを念じればいいんだよな?"ステータス"
『
名 前 : 増田 加持 (マスダ カジ)
レベル : 1
状 態 : 混乱 入院中
職 業 : 無職
資格等 : 転移者
』
…うわーぉ
「名前わかった?」
「…増田加持です。」
「それじゃマスダさん。先生を呼んでくるので少し待っててくださいね。」
そういって看護師さんが部屋から出て行った。振り向きざまに水色の何かが見えたのは、なんだったんだろう、と混乱した頭で考えていた。