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11階層目からはちょっと厄介だ、魔物がゴブリンに変わって、数も増える。
20層まではゴブリンしか居ないけど、一箇所だけものすごい数が固まってる場所があるからそこは行かないようにしないとね。
数が増えたので僕も参戦、ゴブリン自体は大した戦闘力を持ってない。
だから一撃で決まるんだけど、数が多い。
一箇所に10匹は必ずいる。
ここはリサちゃんとの連携練習だと思って戦う。
思ったより戦いづらいね、リサちゃんの攻撃したい場所がわからないから穴の埋めようがない。
とりあえず、一先はリサちゃんの動きを見てから判断することにした。
左を攻撃したら右側を埋め、突撃したらバックステップで追従する。
そうやってくるくるくるくる踊るように戦ってたら、いつの間にかリサちゃんもこっちの動きを観察するようになってた。
おかげで2人とも動かないとかっていうこともあったけど、15層目に来てからあるスキルを取って譲渡した後、僕も取ったら解決した。
スキル名は連携。
そのままな名前だけど、気が付かなかったんだからしょうがない。
どうもエルは気がついていたみたいだけどね。
責める気はない、だって見過ごした僕が悪いんだし。
『マスターはもうちょっとわがままになってもいいと進言します』
うん、ありがとうエル。
でもそんなことしてたら僕が僕でなくなるから嫌だよ。
異世界の危険な場所でも日和った考えは捨てないのさ。
なぜなら僕は日本人、だからと言って、何かを残すつもりはないけれどね。
「ツカサちゃん、宝箱があるよー」
「それ触っちゃ駄目だよ、ミミックだから」
「それ、もうちょっと早く言って欲しかった」
触りかけたリサちゃんの手を噛み付こうとしてくるミミック。
ミミックのレベルは40、この迷宮でも一際レベルが高い。
今回は危険だから僕が排除することにする。
まず縮地でリサちゃんを救出、名剣を抜いてミミックの口に突き刺す。
それだけでミミックは蒸発した。
ミミックは蒸発するっと、中身は残ってるみたいだね。
中身はー魔法剣かあ、必要ないからアイテムボックスに入れておいて後で売ろう。
うーん、連携はうまくいくようになったけど、今回みたいなときのために情報共有と危機察知を覚えておこうか。
というわけでエル?
『ヒット、スキルを取得します』
何も言わずとも最大レベルで取ってくれるエルさん素敵すぎる。
あっ、リサちゃんがいきなり流れてきた情報に驚いてビクッってした。
ちょっと面白いかも。
「ツカサちゃんだよね。こんなことするの」
「お、怒ってらっしゃる?」
「ううん? 驚いただけ。一言くらい欲しかったかなあ」
「ごめんね。必要な物はどんどん取っていってるから、多分これからもやるよ」
リサちゃんが溜息ついた。
そんなに呆れるとこ? もしくは諦めたのかな。
それより武器も変えておこう、連携するのに、線で攻撃するタイプの武器は僕には合わない。
点の武器って言ったら、槍か刺突剣――いわゆるレイピア――だよね。
槍はまた別枠のスキルだから置いておいて、刺突剣系にしようか。
まあオーソドックスにレイピアだけどね。
エペは貴族用だし、他は知らないからねえ。
スキルに刺突剣って書いてあるってことは他にも何種類かあるんでしょう。
まあどうでもいいか、名剣と鋼鉄剣をスキルポイントに還元。
『了解しました』
後は創世で名剣レベルのレイピアを作って完成っと。
その後も潜り続けて、20層目の安全地帯で休むことにした。