こんにちは、さようなら
おはよう、こんにちは、へーそうなんだ、わかった、さようなら
おはよう、こんにちは、え、なんで?、あーそうか、たしかに、さようなら
おはよう、こんにちは、は?ありえない、さようなら
こんにちは、あっそう、さようなら
こんにちは、さようなら
なかったことにしようか?
目を薄めても見える白くて強い光、遠くても太い光、オレンジの光、暖かくて小さい光、あそこの優しい星もほんとは強くて太い光。
コンクリート尽くめの道に光る誰かの目の痛みに立ち止まって、もはや誰の力を借りて生きてるのか分からない夜だけトボトボ歩くけど、なかったことにしたいな。ぜんぶ。できないのは、残酷な世の中のせいだ。硬い地面も鉄の棒も電気の線もぜんぶ、間違ってたのは、いつも人間のほうだ。
この短い足も腕も首も、細い血管の先から奥まで掴めるよ。
こうやって、例えば腕を伸ばして静脈を図るように、強く、もっと強く握れば、針みたいな金属でこの柔らかい頭を突き破って脳の細胞を蹴散らしてしまえば、星も光も今も小さい私も君も、なかったことにできるよ。なかったことに。
朝がきて夜がきて、また朝がくる。はじまっておわるのは当たり前だから、今すぐ部屋の鍵を開けて明日を迎えよう、目を開ければ朝になる。きっと欲しかった靴のことを忘れられる。聞きたかった音楽も、見たかった顔も、知りたかった勉強も、君とやりたかった新曲も、君と作った世界も、過ごしたかった時間も、行きたかった場所も、君と、君と、君と君と君とぜんぶ、
なかったことに、
なんて、
できないね。
こんにちは、さようなら
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