純粋な愛は人を狂わせる-Ⅵ
§-§-§
「綾さんは何を食べますか?」
「うーん。」
綾は、メニュー表を見て悩んでいた。
そんな、綾の姿を見た廉太郎はクスクスと笑い
「このゴマ団子は美味しいですよ。後、これが期間限定の桜とヨモギの団子ですね」
と、言った。
綾は、ニコリと廉太郎に笑い
「じゃぁ、それにします」
と、言った。
「すみません、注文いいでしょうか?」
「はいはい。少し、お待ちくださいね」
廉太郎は、接待している店員を呼んだ。
「はい、お待ち。どれになさいますか?」
「この、ごま団子と、期間限定を一つずつお願いします。」
店員は、サラサラとメモを取り
「ごま団子と期間限定団子ですね。少々お待ちください」
と、言って、厨房の方へと行ったのである。
「ここは、本当に人気なんですね」
綾は、店の中をキョロキョロしながら言った。
「そうだね。と言っても、今日はまだ少ないけどね」
「そうなんですか?」
「うん。ここから見える景色も、人気の一つなんだよ」
そう言って、廉太郎は入り口とは反対の外の方を指した。
そこには、河辺があり河辺の側には沢山の桜の木が咲いていた。
「まぁ~綺麗」
「でしょ?皆、ここの景色を見たくて来るのさ」
「そうなんですかぁ。ふふふ、本当に綺麗」
「今度は、お店からじゃなく、実際にあそこに行って花見でもしようか」
綾は、少し頬を染めながら嬉しそうに
「はい」と言った。
……………
あれから、綾と廉太郎は色んな話をして盛り上がっていた。
廉太郎は、お茶をテーブルに置いて「それじゃ、そろそろ行こうか」
と言った。
「あ、そうですね。お母さんに、また怒られるわ」
と、綾は苦笑した。
そして、綾と廉太郎は、接待をしている人にお礼を言って外に出たのだった。
「!!」
綾は外に出た途端に、人とぶつかり転びそうになった。
しかし、転ぶ前に廉太郎が体を支えてくれたので、転ばずに済んだのだった。
綾は、廉太郎との距離の近さにドキリとした。
「綾さん、大丈夫?」
「あ、はい…」
綾は、少し恥ずかしくて下を俯いた。
「そう、よかった…」
そう言って、綾の頬を撫でたのだった。
「!!」
「あ、ごめん!つい……嫌、だったよよね?」
「…あ。………いえ、嫌じゃ…ないです…」
「綾さん……」