純粋な愛は人を狂わせる。Ⅺ
§-§-§
「ん?楓、その紙は何?」
チリンチリンと、ロロは鈴を鳴らしながら首を傾げた。
楓は、ふふっと笑って
「これは、チラシだよ」と、言って、ロロにチラシを見せた。
ロロは、文机の上に飛び乗り楓が手にするチラシを見た。
「えーと……だれかを、のろいたいかた。
そんなひとは、う……うしみつどき?に、じんじゃのとりいを、もぐりませ?」
「もぐる、じゃなくて、くぐる、ね」
「わ、わかってるよ、そんなこと!」
ふんっ、と言ってロロはソッポを向いた。
「で、そのチラシ、どうやって配るのさ」
ロロはソッポをを向きながら、窄めた口調で言った。
「こんなの世に配ったら、そりゃ客が増えるだろーけどさ、死人もかなり増えるよね」
「そこは問題ないよ。」
そう言って、楓はチラシを置き、少し冷めた紅茶を一口飲んだ。
「このチラシには今まで通り、本当に呪いたい人間と…まぁ、上から来る資料通りだよね。その人の元へと来るようにしてある」
「へぇ~」
「変に資料にない人間が死んだら、上は忙しくなるし煩いからね」
「あ~…確かに。特に、アルとか」
「彼は…まぁ、独特な持ち主だからね」
「うん、確かに。アルって、変に…こう、楓に執着……」
―カランカラン
ロロが最後まで言う前に、誰かが店の扉を入った音がした。
「おやおや。やっと来たね」
「お客様だね」
そう言って、ロロは文机から降り、楓は眼鏡を掛け、文机に合った資料とペンを持って、客を迎え入れたのだった。
「ようこそ、呪い屋へ」