表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/16

第3話 似るんだね

私はこの一週間、大阪で写真集の撮影があった。パパも一緒。パパは高校野球の実況で甲子園。私は仕事終わりに、パパが実況中の甲子園に行った。甲子園のことを弘喜くんにメールした。

“今、甲子園。すごい良い所だよ。”

“本当だ。今度行ってみたいな。”

“お土産買ってくるよ。帰ってきたら会えない?”

“良いよ。楽しみにしてる。”

私の方が楽しみ。(笑)



その日の夜、ホテルでパパと一緒になり野球のことを話していた。...はずだったんだけど…。

「お前、好きな人いるだろ?」

「いきなり何?」

「ドンピシャリ。んで、片思い中で告白できずにいる。違う?」

正解。

「だとしてもパパには関係ないでしょ。家訓守ってるし。」

「当然。恋愛はしても良いが、変な男には引っ掛かるなよ。」

「それはパパのため?」

「真子のため。それと半分は原田家のため。」

やっぱりね。

「今、やっぱりとか思わなかった?」

「何でわかるの?」

「俺と考えが同じなんだよ。真子は。」

パパには敵わないな。



仕事から戻り、プライベートで弘喜くんと会うことになった。待ち合わせの20分前に来てた。駅のホームから弘喜くんが来た。

「真子ちゃん、待った?」

「今来た所だよ。」

と言ってお土産を渡した。

「はい。」

「ありがとう。」

「どういたしまして。」

すごく喜んでいる。この後の予定は決まっていないからデートだろうと思っていたら…。

「俺、帰るね。じゃあ。」

あれ?帰っちゃった…。プルルルル...プルルルル...。電話が鳴った。舞だった。

「もしもし?どうした?」

「今ね、真子をリアルタイムで観察してるの。悪気はないよ。偶然通りかかっただけ。それよりあの男の子って東江弘喜だよね?」

「そうだよ。てかいい加減出てきてよ。」

舞は電話を切って私の所に来た。私の背中越しに見ていたのだ。

「真子さ、彼のこと好きなんだ。」

「うん…。」

「告白したの?」

「まだだけど…。」

「後悔しないように気持ち伝えるべきだよ。何しろモデル同士なんだから大丈夫だよ。」

私は告白に対して躊躇いがあった。モデル仲間としての関係が崩れるのが嫌だから。



舞の後押しもあり、私は次の撮影の時に告白することを決意した。ママが、実はパパが同じ経験をしていることを話してくれた。

「パパってね、意外と不器用なの。小学校の時から好きだった女の子に20歳の時まで告白できずにいてね。」

「………。」

パパもパパで苦労してきたんだ。

「20歳の時に告白して結婚したまでは良かったんだけど、その彼女が自殺してね。」

「何があったの?」

「立場が逆になったの。その彼女が尽くして、パパが尽くされる側になったの。」

「その時ママは何してたの?」

「パパを見守ってた。小学校の時からずっとね。」

なるほど。

「でもパパは、今まで苦労してきたから立場が逆になれたと思ってたの。」

怖いなー。

「自分から行かないと幸せになれないよ。真子。」

「うん。頑張る。」

明日、弘喜くんに思いをすべて伝える。必ず。   続く

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ