表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
弥生と夢石  作者: Runa
第七話
15/16

弥生と最終決戦

「…………さて、そろそろ茶番は終わりだ」

 シャルロットは不敵な笑みで答えると指笛を鳴らす。

 まるで、なにかを目覚めさせるかのように……。

 シャルロットが指笛を鳴らしたとたん、闇を喜ぶかのような地鳴りが城中に響き渡る。

「な、なに!?」

 弥生は体勢を崩しその場に倒れこむ。

 地鳴りの揺れは尋常じゃない。今にでも城が崩れ落ちそうなほどの揺れだ。だが……。

 弥生はちらりとシャルロットを見上げる。

 シャルロットは妙に笑っている。どうして?

 妙な違和感を感じながらも、何かが近づいてくるのが聞こえてくる。

 何だろう?

 じっと動かず耳を澄ます弥生。

 シャルロットが大声をあげた。

「さぁ! 楽しいショーの始まりだ!!」

 シャルロットが叫んだとたん、二匹の魔物が左右の壁から突き破ってきた。

 一匹は竜のような生き物。あれ、どこかで……。

 もう一匹はトドのような生き物。あれは以前、図書館で会った……。

 二匹の魔物はほぼ同時に弥生に向かって突進してくる。

 

 えぇ!? ど、どうしてこっちに向かってくるの!?

 

 その時、竜のような魔物を見たとたんすべてを、思い出す。

 

 

 あぁ……。そうだ……あの日、あの恐ろしい魔物が夢石を求めて国を襲ってきて……けど、私が夢石を持って逃げた。だから、シャルロットが奪いに来た。魔物が夢石を奪うのに失敗したから。

 でも、それでも失敗した。だから…………。

 

 

 ある気配に気づき我を取り戻す。

 そうだ! 魔物が!

 弥生はとっさに後ろにバックし、突進をかわす。

 二匹の魔物は互いにぶつかり合いその場に倒れる。

 ほっと全身で息をする弥生。

 

 

 すべての元凶はシャルロットだ。魔物を使って国を襲わせたのも、わざと私を襲い夢石を壊させ、私の命と引き換えに夢石を作らせたのも全部。でも、それで、睦月さんには多く迷惑をかけてしまった。だから、罪滅ぼしってわけじゃないけど、私が助けなきゃ。

 

 睦月さんは、睦月さんは、私にとって大切な人だから…………。

 

 その時、弥生の胸の奥が金色に輝き始めた。そして、徐々にその光は外へ出てくる。

「こ、これは…………?」

 弥生はぽかんと口を開けている。

「ついに!! 夢石が目覚めた!!」

 シャルロットはうれしそうに拳を握る。

 

 夢石は二匹の魔物を照らし、光へと変えていき消滅させた。

「すごい…………」

 こんなものがずっと自分の中にあったなんて……。

 ただじっと見つめている。

 

 その時、本能であることに気づく。

 まずい! このままでは、シャルロットに奪われてしまう!! こんな無防備な夢石があったら…………。

 ばっと手を伸ばすが、時既に遅し。

 

「わっははは!! ついに、夢石を手に入れた!! これで、俺の願いが叶う!!」

 シャルロットの手には光輝く宝玉があった。

 しまった!

 弥生の手は届かなかった。

 一方、シャルロットが夢石を手に入れたことにより、外の海では嵐が吹き荒れていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ