弥生と最終決戦
「…………さて、そろそろ茶番は終わりだ」
シャルロットは不敵な笑みで答えると指笛を鳴らす。
まるで、なにかを目覚めさせるかのように……。
シャルロットが指笛を鳴らしたとたん、闇を喜ぶかのような地鳴りが城中に響き渡る。
「な、なに!?」
弥生は体勢を崩しその場に倒れこむ。
地鳴りの揺れは尋常じゃない。今にでも城が崩れ落ちそうなほどの揺れだ。だが……。
弥生はちらりとシャルロットを見上げる。
シャルロットは妙に笑っている。どうして?
妙な違和感を感じながらも、何かが近づいてくるのが聞こえてくる。
何だろう?
じっと動かず耳を澄ます弥生。
シャルロットが大声をあげた。
「さぁ! 楽しいショーの始まりだ!!」
シャルロットが叫んだとたん、二匹の魔物が左右の壁から突き破ってきた。
一匹は竜のような生き物。あれ、どこかで……。
もう一匹はトドのような生き物。あれは以前、図書館で会った……。
二匹の魔物はほぼ同時に弥生に向かって突進してくる。
えぇ!? ど、どうしてこっちに向かってくるの!?
その時、竜のような魔物を見たとたんすべてを、思い出す。
あぁ……。そうだ……あの日、あの恐ろしい魔物が夢石を求めて国を襲ってきて……けど、私が夢石を持って逃げた。だから、シャルロットが奪いに来た。魔物が夢石を奪うのに失敗したから。
でも、それでも失敗した。だから…………。
ある気配に気づき我を取り戻す。
そうだ! 魔物が!
弥生はとっさに後ろにバックし、突進をかわす。
二匹の魔物は互いにぶつかり合いその場に倒れる。
ほっと全身で息をする弥生。
すべての元凶はシャルロットだ。魔物を使って国を襲わせたのも、わざと私を襲い夢石を壊させ、私の命と引き換えに夢石を作らせたのも全部。でも、それで、睦月さんには多く迷惑をかけてしまった。だから、罪滅ぼしってわけじゃないけど、私が助けなきゃ。
睦月さんは、睦月さんは、私にとって大切な人だから…………。
その時、弥生の胸の奥が金色に輝き始めた。そして、徐々にその光は外へ出てくる。
「こ、これは…………?」
弥生はぽかんと口を開けている。
「ついに!! 夢石が目覚めた!!」
シャルロットはうれしそうに拳を握る。
夢石は二匹の魔物を照らし、光へと変えていき消滅させた。
「すごい…………」
こんなものがずっと自分の中にあったなんて……。
ただじっと見つめている。
その時、本能であることに気づく。
まずい! このままでは、シャルロットに奪われてしまう!! こんな無防備な夢石があったら…………。
ばっと手を伸ばすが、時既に遅し。
「わっははは!! ついに、夢石を手に入れた!! これで、俺の願いが叶う!!」
シャルロットの手には光輝く宝玉があった。
しまった!
弥生の手は届かなかった。
一方、シャルロットが夢石を手に入れたことにより、外の海では嵐が吹き荒れていた。