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弥生と夢石  作者: Runa
第七話
14/16

弥生とシャルロット城

 

 

 

 海堂町 海岸

 

 弥生は海堂町にある海岸にやってきていた。シャルロットの招待状にあった城に行くためだ。

 いよいよだ……!

 おもわず生唾を飲み込む。

 いよいよ、シャルロットとの対決が始まる。シャルロットの力がどれほどのものかは知らないが、素人の私が勝てる相手ではないだろう。でも、それでも睦月さんを助けられるのならそれでいい。

 睦月さん……。待っててください……。

 弥生は意を決めて海へと駆け込んでいった。

 

 

       *

 

 

 北の海 ノール・メールの中

 

 正午の太陽が海を照らす中、海の中ではラリアに姿を変えた弥生が泳いでいた。操られた睦月を助けるために、シャルロットの招待状に書かれてある城に向かっている最中だ。ある程度記憶を取り戻した弥生は元の本来の姿に変わる事ができるため、夢石の力も借りて姿を変えているのである。

 こんな使い方があるんだ。

 弥生は泳ぎながらへぇ~と感心する。

 夢石が自分の中にあるとうすうす分かってはいたが、どう使うのかは全く想像はしていなかった。だって、魔法なんて興味なかったから。

 

 

 でも、

 


 睦月さんと出会って、一日が楽しく感じれるようになった。

 

 

 だから……。

 

 だから…………。

 

 



 睦月さんは私が助ける。

 ううん、助けてみせる!

 



 

 そう思っているうちに、塔のようにそびえ立つどす黒い城が目の前に現れる。

 



 これが……シャルロットの城?





 弥生は愕然とした。

 こんな城に睦月さんがいるの? こんな見た事もない、怪しい城に? 怖いというか、怖いというか、怖いというか……。

 怖いとしかいいようがない弥生。

 でも……、睦月さんを助けるって誓ったんだ! ここで逃げてどうする、弥生!

 怖いという感情を押し殺すと城の中へと進んでいった。

 

 

       *

 

 

 シャルロット城 城の中

 

 へぇ~。お城の中ってこんな風になっているんだ~!

 弥生は関心を抱く。

 お城が好きな人の気持ちがわかる気がする。

 前を進みながら微笑する弥生。

 だが、その瞬間はっと我に返る。

 いやいや、そんなこと思っている場合じゃない。私は睦月さんを助けるために、この城に来たのよ? 別にお城観光じゃないのよ? 分かってんの? 私。

 ……ん? あれは?

 前に進んでいくと二つの影が見えてくる。

 シャルロットにより操られている睦月と、その睦月を操った張本人シャルロットの二人だ。周りを見ると、どうやらシャルロットたち二人だけのようだ。


 弥生は二人の前に立ち止まった。

「来たわよ、シャルロット」

「ほぉ。ほんとに来るとはね。付き合いは浅いのに大切に思っているんだね、君は」

 感心したように弥生をまじまじと見るシャルロット。

「シャルロット。睦月さんを返して」

「残念だが、それはできない。大事な夢石をいただくのに役立ってもらわないと。じゃなきゃ、わざわざ操った意味が無くなる」

 馬鹿にしたように鼻で笑う。

 弥生はそれにかちんと頭に来ると、水で出来た弓を取り出す。

「睦月さんを返さないというのなら、力づくでも返してもらう!」

 いつの間にか取り出した水の矢をつがえる。

 そして、矢をシャルロットに向かって解き放つ。

 水の矢は水の中でもなお、スピードをあげ、シャルロットに向かう。

 だが、シャルロットは一言唱えただけで、水の矢はあっという間に散ってしまった。

「そんな……」

 それを見ていた弥生は驚愕きょうがくしてしまう。

 自分の精一杯の攻撃がいとも簡単にあっさりと消されると勝てる気がしない。いや、今の自分じゃ絶対勝てない。シャルロットは想像以上に強い。勝てないで終わるかもしれない。

 でも、誓ったんだ。睦月さんを助けると。


 そう決めると今度は睦月に方へ向かう弥生。

「睦月さん!」

 睦月に声をかけようとする弥生だが、レーザーのような黒い衝撃が弥生の動きを止める。

 きゃっ。な、何?

「おおっと。馬鹿な真似はよしてくれよ。俺の手駒がパーになるなんてこと嫌だからな」

「睦月さんを手駒だなんて……」

 弥生は悔しそうに歯軋りをする。

 睦月さんは最初からそんなこと望んではいない。付き合いが浅いのは確か。でも、これだけは分かる。

 


 束縛されることは好きじゃないって。

 

 

 表情見ればすぐに分かるもの。

 だから、睦月さんを助けて苦しみから解き放ってあげなきゃ。

 それから、数分間シャルロットと弥生のにらみ合いが続いた。

 

 

 

 一方、南北のある場所

 南北にある場所では、二匹の魔物がそれぞれ、自分達の出番を待っているかのように、密かに眠っていた。


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