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弥生と夢石  作者: Runa
第六話
13/16

弥生とシャルロットからの招待状

 

 

       *

 

 

 一方、その頃弥生はというと……。

 

 弥生はチェリーが泡になって消えた場面をじかに見てから三十分も経過していたが、その場から離れようとはしなかった。いや、離れられなかった。

 はぁ……。これからどうしよう……。

 チェリーが泡になったということは、私が対決に勝った? ということなんだろうが、問題はここからだ。睦月をたすけようにも睦月の場所が分からないんじゃ、どうしようもない。すこしでもいいからなにか手がかりかなにかあればいいんだけれど……。

 はぁと十三度目のため息をついた時だった。

 弥生の目の前に忽然こつぜんと白い封筒が現れた。

「何……?」

 きょとんと首をかしげ、その白い封筒を手に取る。

 一度、封筒の宛名などを確認する。

 

 

 そこには、

『 春野 弥生へ

 

 シャルロットより』

 と書かれているだけだった。

 

 シャルロットが……?

 

 弥生は、まさかシャルロットが自分に手紙を送ってくるなんて目を疑う光景だが、送ってくるからにはなにかあるのだろう。一度開けて見る価値はありそうだ。

 そう考えると手紙の封を開けた。

 中には折りたたまれた白いカードとペンダントが入っているだけだった。

 

 これだけ……?

 

 手紙に不信感を覚える弥生。

 どういうつもり? ペンダントまで入ってるなんて。絶対怪しい。一体何のつもり?

 かなり怪しいが、今はカードを見るのが先。怖いけど。

 カードをおそるおそる開けていく。

 そこには驚くべき事実が書かれていた。

 

『春野弥生よ。

 

 この手紙を見てるということは、チェリーとの対決に勝ったようだな。

 一応おめでとうというべきだろうが、そんな無駄話は置いといて、

 君にプレゼントがある。

 

 この手紙の中にペンダントがあるだろう。

 そのペンダントとこのカードを持って、俺の城まで招待してあげよう。

 もちろん、君が想う睦月も一緒だ。

 まぁ、ペンダントはもともと君が持つべきものだから、返しただけなのだが。

 

 

 だが、この俺に勝てるかな? 俺の力は君の夢石よりも強い。

 睦月を操れるほどだからな。

 

 

 それでも、睦月を助けたくば、北の海の中にある俺の城まで来い。

 まぁ、来れたらの話だが』

 

 と、ここまで書かれていたが、後は何も書かれていなかった。

 

 招待する? あのシャルロットが? 自分の城に? どういう風の吹き回し?

 弥生の頭の中は疑問と混乱でいっぱいになっていた。

 それに、睦月さんも一緒?

 しかも、シャルロットは自分の力は強いって書いてあるし。

 睦月さんを操れるほどだって言ってるし……。

 弥生はその瞬間はっとする。

 まさか……睦月さんを操ってるのは、シャルロット!? じゃあ、チェリーはどうして自分がやったかのように言ったんだろう? あ! もしかして、そう言って本当はシャルロットだっていうの知らせたかったんじゃ……。

 弥生はしばらく考え込む。

 シャルロットとの戦いは激しい戦いになるかもしれない。チェリーと戦ったときよりもさらに厳しいものになるだろう。生半可なものではない。

 もしかすると最悪の場合、命を落とす危険も高まる。

 

 

 でも……。

 でも、約束したんだ。絶対睦月さんの力になるって。生まれ変わってもう一度会ってお礼を言うんだって。それまで、あきらめないって。

 厳しい戦いになるだろうけど、睦月さんをたすけられるならば、本望だわ!

 

 弥生はシャルロットの城に向かうことを決意すると、ペンダントを自ら首にかけ、海をめざして走っていった。

 

 待ってて、睦月さん。絶対、絶対、あなたを助けてみせるから!

 

 

       *

 

 

 シャルロット城の中

 

「ついに、意に決めたか」

 シャルロットはおかしそうな顔をしながら椅子にもたれかかっていた。

「いよいよだ……。ついに、夢石がこの俺の手にやってくる日が来たか……。どれほど待っていたか……」

 興奮するように笑みをこぼすシャルロット。

「この俺が勝つことは目に見えているが、念のためだ。あいつらを呼んでおこう。なにかの役には立つだろう」

 ふぅとシャルロットは一息つく。

「もうすぐだ……。もうすぐですべてが、終わろうとはしている……。まぁ、終わればの話……」

 シャルロットは意味ありげに笑うのだった。

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