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神に献げし歌 1

9世紀。

その頃はまだ全員で同じ音を歌う、楽器もない「グレゴリオ聖歌」の時代。

グレゴリオ聖歌は、イエス・キリストを信仰するローマ・カトリック教会で歌われていた。

所謂、宗教音楽と呼ばれるものだ。

教会では修道士(ブラザー)に、修道院では修道僧《モンク》、修道女(シスター)に歌われていた。


このグレゴリオ聖歌は8世紀後半に始まり、9世紀から11世紀にかけて全盛期を迎えた音楽だ。

グレゴリオ聖歌は主にラテン語で歌われるものだ。

しかし、有名な「アーメン」や「ハレルヤ」といったものはヘブライ語※、ミサ曲では定番の「キリエ」や「エレイソン」はギリシャ語、というように実は違う言語も混ざっていたりする。



この後は絵画共に有名な「ルネサンス音楽」へと進化してゆくのだが、今からの物語は9世紀、グレゴリオ聖歌が発展していった時代が舞台である。






「リーベル、リーベル!!」

「ん…?」

「起きて!ミサが始まってしまうわ!!」

「…あれ、ディシプリーナ?もうそんな時間なの?」

「おはよう。早くしないとシスターに怒られてしまうわよ!!」


ディシプリーナが目をこするリーベルを急かす。

リーベルとディシプリーナは修道院に住んでいる子供だ。

この辺りの子供たちのほとんどはここの修道院に入っている。

修道院に子供が渡される理由は様々だが、信仰や経済的な側面が大きい。

ちなみにこの修道院に子供を預けるオブレートという文化は、12世紀から13世紀頃には見られなくなった。


「そうだ、今日のミサはシスター・クララも出るんですって!なんでも、モンクが1人出られないみたいなの」

「そうなの?確かにシスター・クララはいつも聖歌を楽しみにしていたから適任だわ!それにしても、流行病かしら?」

「うーん…さあ……?」


─────────

小走りで走りながら聖堂に駆け込む。


「良かった、間に合った」


聖堂に入るともう人がほとんど集まっていた。


「2人とも、遅いですよ。早く席に着きなさい」

「すみません、気をつけます」


この注意しているのはシスター・ヘレナ。

シスター・ヘレナはとても聡明で勉強熱心なことで有名だ。

そのため、修道院の子供たちに勉強も教えている。


「もう、リーベルが寝坊するからよ」

「ごめんなさい、でも間に合って良かったわ」

「そういうのは遅刻しそうになった人が言うもんじゃないわ」

「それはそうね」

「自覚があるなら直しなさいよ…」

「善処するわ」

「善処って、全く……」



「始まるわ」


祈りを捧げ、聖書を朗読する。

そして遂に。


『アヴェマリア』


グレゴリオ聖歌のアヴェマリアといえばグレゴリオ聖歌を代表するような1曲だが、作曲者は不明だ。

歌詞は医師ルカによって書かれたルカによる福音書(ふくいんしょ)が元になっている。



(シスター・クララの歌声、とっても澄んでいて綺麗だわ…!)



「ねえディシプリーナ、シスター・クララの歌声、とっても綺麗ね!!」


リーベルが小声で話しかける。


「ええ、本当に…。なんだか今日限りなのがもったいないわ」



(ああ、この感動を誰かに話せたら良いのに。だってこんなに素敵な歌なんだもの)





シスター・クララが参加したアヴェマリアは2人を音楽の世界に魅力させた。

何度も聴いてきたはずの曲。


だがこの出会いは運命をも揺るがした。

※ヘブライ語

ヘブライ語は現在のイスラエルの公用語です。

一度は言語が衰退して話されなくなりましたが、奇跡的に復活して公用語にまでなった良い意味でやべぇ言語です。


もし文章中の説明が多かったら今後はなるべくこちらの後書きに書くようにします。

なのでコメントにて教えていただけると嬉しいです。

それくらいは知ってます!って方は読み飛ばしちゃってください。

感想もお待ちしております!

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