表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/24

EP 8

ただの従者じゃない!神狼の真の力と、最強の証明

『グルルル……愚カナ。一度ハ我ノ呪イニ敗レタ欠陥品ガ、人ノ如キ姿デ何ガ出来ルカ』

三ツ首の神獣ケルベロスが、三つの口から同時に嘲笑を漏らす。

その全身から吹き出す紫色の瘴気は、空間そのものを腐らせるほどの猛毒だ。

だが、ルナは一歩も引かない。

彼女はまず、クロエから受け取った小瓶の栓を抜き、中の液体を一気に飲み干した。

「クロエさん、いただきます!」

『――フハハッ! 気休メノ強化薬バフナド、我ノ前デハ無意味――』

ケルベロスが嗤いかけた、その次の瞬間。

ドゴォォォォォォォォォォンッ!!!

ルナの体から、迷宮の天井を突き破るほどの凄まじい白銀のオーラが立ち昇った。

『ナッ……!? 何ダ、ソノ異常ナ魔力値ハ!? システムノ限界点リミットヲ超エテイルゾ!?』

「すごい……! わたくしの失敗作が、本当に……!」

背後でクロエが歓喜の声を上げる。

ルナが飲んだのは、クロエが調合した『失敗作(全能力100倍化・ただし1秒後に肉体崩壊)ポーション』。それを俺が【ステータス編集】で『肉体崩壊のデメリット(バグ)を完全削除』した、正真正銘の神薬だ。

さらに、ルナは両手に『神の爪飾り』を装着した。

ーーー

【名称】ルナ専用・神狼の爪

【耐久度】絶対破壊不可

【特性】あらゆる概念・結界・システム防御を貫通し、対象のデータを直接切断する。

ーーー

「いきます……ッ!」

トンッ、と。

ルナが軽く床を蹴った。ただそれだけで、足元の超硬度な迷宮の床がクレーターのように陥没する。

『消エロ、バグ目ッ!!』

焦りを見せたケルベロスが、三つの口から極大の『神殺しの呪い』のブレスを一斉に放つ。

以前のルナを死の淵まで追いやった、回避不能・防御不能の理不尽なシステム攻撃。

だが、今のルナは避けることすらしない。

彼女は正面からブレスに突っ込み、神の爪飾りを無造作に一閃した。

――パァァァンッ!!

「な……?」

『……バカ、ナ?』

ケルベロスが絶句する。

絶対であるはずの呪いのブレスが、ルナの爪が触れた瞬間に「ただの光の粒子」となって霧散してしまったのだ。

「遅すぎます。そして、弱すぎます」

ルナの声は、すでにケルベロスの懐、ゼロ距離から響いていた。

「ご主人様の『編集』に比べれば、あなたの呪いなど、止まって見える……!」

『ガッ、ギャアアアアアアアッ!?』

白銀の閃光が三度、空間を十字に切り裂く。

【概念貫通】を付与された爪の前に、ケルベロスの強靭な肉体も、システムによる絶対防御も、濡れた紙のように何の意味もなさなかった。

右の首が吹き飛び、左の首が両断され、そして中央の首が、ルナの容赦のない回し蹴りによって粉砕される。

『ア……リエナイ……。世界、ノ……ルール、ガ……』

崩れ落ちるケルベロスの残骸が、ノイズ混じりの紫色のデータへと変換され、そのまま空中に溶けて消えていく。

着地したルナの周囲には、チリ一つ残っていなかった。

完全なる、圧倒的な無傷での勝利。

「……ふぅ」

ルナは小さく息を吐くと、纏っていた白銀のオーラを収め、俺の方へと振り返った。

そして、照れくさそうに、ふさふさの尻尾をパタパタと振る。

「やりました、ご主人様! クロエさん! わたくし、これでご主人様の隣に立っても恥ずかしくありませんか!?」

「ああ。最高に強くて、かっこよかったぞ、ルナ」

俺が歩み寄り、その頭を撫でてやると、ルナは「えへへ……」と目を細めて嬉しそうに喉を鳴らした。

クロエも駆け寄ってきて、「ルナさん、すごかったですぅ!」と抱きついている。

「よし。これで邪魔者もいなくなったし、目的のものを回収するか」

俺は祭壇に浮かぶ『管理者権限の結晶』に手を伸ばした。

結晶は俺の手に触れた瞬間、光の帯となって体内に吸い込まれていく。

【システムメッセージ:管理者権限(セクター09)を完全掌握しました】

【スキル:ステータス編集が『世界編集ワールド・エディット』へと進化しました】

【新たなメニュー:『所有権の強制書き換え』『広域ルール変更』が解放されました】

「おお……スキルがさらにヤバいことになったな」

これで、世界を相手にしたスローライフ(反逆)も、より盤石なものになる。

目的を完遂し、俺たちは明るい足取りで迷宮を後にしようと、出口のゲートへと向かった。

――だが。

「……ん?」

迷宮の出口から、外の光が差し込むその場所。

そこに、『それ』は立っていた。

「ア……あア……見つけタ……見つけタゾォォォォォ、リクトォォォォッ!!」

禍々しい赤黒い瘴気を撒き散らしながら、瞳を黒く濁らせた異形の化け物が、俺を指差して絶叫している。

「嘘……あの鎧の意匠、まさか……アレス!?」

かつての俺を「無能」と見下し、森に置き去りにした勇者の、見る影もなく堕ち果てた姿だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ