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プロローグ 歴史の澱(おり)


 その男は、一秒間に百回の「人生」をシミュレートしていた。

 指先一つで株価を操作し、邪魔な人間が横断歩道を渡る瞬間にトラックを差し向ける。

 男の名は佐藤幸造。違法デバイスによって『神の視点』を手に入れた、ただの小悪党。

 だが、代償はすぐに訪れた。

 「やり直し」の負荷に耐えきれなくなった佐藤の肉体が、新宿のど真ん中で醜く膨張を始める。

「あ、ぎ、ぎギギッ……! まだだ、まだ最高の結果が出ていないッ!」

 皮膚を突き破り、錆びた歯車が肉を裂いて突き出す。

 悲鳴を上げる群衆。携帯のカメラを向ける野次馬。

 だが、彼らには見えていなかった。

 佐藤の背後に立つ、空気が「熱を帯びて歪んでいる」一点を。

『駆さん、因果率が臨界点を突破しました。……もう、人間ホモ・サピエンスとしての形状は維持できません』

 無機質な少女の通信が響くと同時に、歪みの中心から一人の男が歩み出た。

「欲に目が眩んで、自分の時間まで腐らせたか。……救えねえな」

 男の名は、時尾 駆。

 彼が左腕のデバイスを叩きつけた瞬間、新宿の喧騒は一瞬で「消失」した。

 いや、彼が周囲の時間を一万分の一へと減速させたのだ。

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