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虹時代 出来損ないの亡霊  作者: 小型旧人
昔話と墓暴き編
39/50

決戦

決戦

 八咫烏軍の声明から三十分、日本列島時間で二十一時二分

 予告された襲撃まで、残り三十分

 ア連は北米北部の戦線を全力で維持していた。

 財団の天照は事前にヴァージン諸島へ向かい、同時に太平洋連邦の「吾妻」率いる機動艦隊もヴァージン諸島へ進路を取った。

 北米北部の戦線はカナダの太平洋側海岸線付近に集中し、一進一退の攻防を三十分間続けている。

「美味しかったー……うわぁ、大変なことになってるね」

 暁音は最後の一切れのピザを食べ終わると、ほっとひと息をついてテレビに映る戦場を見た。

 暁音は言う。

「なんか不謹慎だけどさ、こういうのリアタイするんなんとなくワクワクするよね」

「わかる」

 暁斗は同意した。

「まぁ、分からなくもない」

 皐月は妥協的な同意をした。

 暁斗が自身の携帯端末に映る立体映像を眺めながら言う。

「すげぇ……結構大騒ぎになってるぜ、ネット。なんで攻めないんだーとか、これでこそ連邦ーとか」

「ま、俺たちは観戦するくらいしかすることねぇけどな」

 皐月はコップのジュースを飲み干して言った。

「それはさておき……俺ここでシーシャ吸っていいかな、折角だし」

「うーん、私はギリ許す。お兄ちゃんは?」

「俺も許可してやろう」

「ありがと」

 軽く感謝したのち、皐月は引き出しから青い管を取り出した。

 皐月はその電源を入れ、管を口につけて深呼吸をする。

「おっ、それぶどう?」

「そ、ぶどう風味」

 暁斗の質問に、皐月は答えた。

 テレビには、緊迫した戦線の様子が映され続けていた。

 ――――

 アメリカ北部には朝日とそれを遮る雲、そしてその上に戦場が広がっていた。

 ア連の艦隊司令官は空母の艦橋の中、叫び続ける。

「皆、ここで食い止めるぞ!絶対に祖国を守り抜くのだ!全艦、横腹を見せて最大火力をぶつけろ!」

 指示と共に、ア連の一列に並んだ艦艇が皆一斉に面舵回頭を始める。

 やがて艦隊は一本の線のようになった。

「全艦、撃てぇ!」

 その艦艇の線から、一斉に虹に揺らぐ熱線が放たれた。

 一斉に突き進む熱線たちは、まるで雲の上にかかる虹のように伸びてゆきつつ、徐々に収束する。

 平行線ではなく近づく半直線を描く虹たちは、日本艦隊の陣形に穴を開けた。

「天皇陛下、万歳!」

 その遺言を残して、日本艦艇たちは雲の中へ沈む。

 立体的な戦列を作り前進を続けていた日本艦隊に、ぽっかりと穴が開く。

「今だ!駆逐艦、突撃せよ!」

 ア連の艦隊が形成した線を乗り越えるようにして、高機動な小型艦艇たちがが大量の虹を噴かしながらその穴目掛けて突き進む。

 日本艦隊が回頭し、穴を塞ぎながら撤退しようとしている。

 塞がれる前の穴に、そのア連の小型艦艇たちは滑り込んだ。

 小型艦艇は穴を広げるように周囲の艦艇を撃沈しつつ、機動性を活かして攻撃をある程度回避し続けた。

 日本軍艦隊に混乱が生じる。

「全艦、突撃!」

 ア連艦隊の線が崩れて、全艦がその穴目掛けて急速に前進する。

 軌跡に虹が伸びてゆく。

 主砲から虹の熱線を時々放ちつつ、急速に前進してゆくア連艦隊。

 その艦隊がある程度日本艦隊の穴に接近した時、突如として突撃していた駆逐艦隊が一斉に撃沈された。

 同時に、急速に日本艦隊の穴が塞がり、穴から離れた艦艇が前進を始める。

 塞がった穴の部分の艦艇はゆっくりと後退する。

 船は急には止まれない。

 加速したことによる慣性のまま、ア連艦隊は日本艦隊の作った筒状の陣形に吸い込まれていった。


 日本列島時間で二十一時十五分、ア連北米艦隊は全滅した

 襲撃予告時刻まで、残り十二分

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