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「‥‥二人はそう言った関係だったんですね」


ノクス様が少し驚いたようにそう言った。

それにうなずいて、私は笑顔のまま続けた。


「ね?だから心配しないでって言ったでしょう?」


ノクス様はちょっと気まずそうにしながらもうなずいた。


「イチャイチャされすぎると流石に俺も居た堪れないですが、ぜひお二人はこれからも仲良くしていてください」


そんな二人の様子をみて、誤解が解けたようでよかったと明るく笑うレオ。



その後、ノクス様は少し考えるようにしてから、言葉を続けた。


「その……なぜ最近アイリスとレオンハルト殿はよく二人で模擬戦をしていたんでしょう?」


(あら、先日の模擬戦をどこかで聞いたか見たかしたようね……)


私は困ったように頰に手を当て、その問いに答える。


「実は、ヴィヴィの家の方で少し問題があって…」


ヴィヴィの家は、王家と懇意にしている代々騎士団長を輩出する家柄であり、現在の騎士団団長はヴィヴィのお父様。そして長男が次期団長となるだろうと言われている。

そしてそんな家に、久しぶりに待望の娘が誕生した。それがヴィヴィである。


(あの家は、ヴィヴィの上の子供たちはは皆、長男含めて男だものねぇ……)


私が辺境伯家へ嫁入りするにあたって、ちょうどいい機会かとレオとヴィヴィは自分たちの家に自分たちの関係を伝えた。すると、それを聞いたヴィヴィの家族が、「我が家は代々武力で勝負を決める家系」などと言い出して、レオに無茶振りをしてきたのだ。


「つまり、この俺を倒さない限り可愛い娘はやらん!!」


そう言ったのはヴィヴィのお父様。つまり現在の騎士団長。

その結果、早くて夏中、もしくは秋以降の社交シーズンにて、ヴィヴィの父とレオは対決する事になってしまった。


(代々ってあの家にそんなしきたりなんてなかったんだけどね……娘を持つ父親の暴走というか)


今までレオは外部の仕事が多かったため練習をつけることが難しかったが、それも落ち着いた今、なるべく早くヴィヴィの父との戦いに備えて自己の力を磨かねばならなかった。


(それもあって、私が仕事の合間を見て模擬戦とかしていたのよねぇ)


なお、ヴィヴィは今回のこの件には一切関わってはいけないと言われており、レオの力になることはできない。



私のざっくりとした説明に「なるほど、そういうことだったのですね」とノクス様は深く納得した様子で言った。


私はその反応を見て少し安心した気持ちになりつつも、呟いた。


「魔法での戦いに関しては私が何とかしているけれど、剣術の方がいまいち相手がいなくて強化できていないのよねぇ」


それに同意するようにレオは軽く頷きながらも、少し苦笑して言った。


「俺はあんまりそっちの方はやってきてないからな…」


その言葉に、私は少し肩をすくめてから、「まぁ、仕方ないわよ」と言った。



ノクス様は黙って私たち二人をじっと見つめてから、「あ!」と思いついたように口を開いた。


「じゃあ、私が力を貸しましょうか」


私とレオは、その言葉に目を丸くして驚いた。


(ノクス様が……?)


少し考えて、確かにと頷きつつ両手をパチンと叩いた。


「そうじゃない! ここにはあの騎士団長も一目置くような強い人がいるじゃない!」


目を輝かせながら、私はノクス様を見上げた。


しかし、レオはその提案に少し恐れを感じた様子で「えぇ、恐れ多いです」と言う。でもその目には期待の色がちらりと見え隠れしていた。


(でも、普段から忙しいのに大丈夫かしら……)


そう思った私はノクス様に言った。


「手伝ってくれることはもちろん嬉しいですが、仕事も忙しいのに大丈夫ですか?」


ノクス様はそれに穏やかに微笑んで答える。


「問題ないです。体を動かすのは、ある意味で私の趣味、と言えるので。多分。もちろん辺境伯として重要な力でもありますから、妥協せずに精進してきたつもりですが、実際やりたくてやってきたところもあるんだと思います」


そして、ノクス様はレオを見やり、さらに続けた。


「辺境伯家の騎士たちとも手合わせをすることが多いから、そこに参加してはどうだろうか?」


レオは、まだ遠慮がちに「いいんですか?」と問いかけると、ノクス様は頷きながら答えた。


「もちろん、大丈夫だ。我が騎士団の騎士たちもある程度鍛錬を重ねているから相手にはなるだろうし、アイリスの助けになるのであれば、私としてはどんなことでも嬉しいのだから」


その言葉に私は、嬉しくなる。そして、こうも思うのだった。


(まって、ということはノクス様の素敵なかっこいい姿がこれからさらに見れるってことじゃない?レオ、なんて素晴らしいの!最高だわ!!ナイス!!)


私はそんな感じに、何だか別の意味でワクワクしていた。


そんな私の表情を見つめていたノクス様は少し不思議そうに私を見つめてきた。

その視線に気づいた私は、にっこりと微笑みながら言う。


「レオを手伝ってくれることは本当に嬉しいんですけれど、何より、私はノクス様のかっこいい素敵な姿をこれからたくさん目にすることができそうで嬉しいですわ!」


ノクス様の顔がほんのりと赤くなり、少し嬉しそうな表情を見せた。


それを見守っていたレオは、苦笑しながら言った。


「あの〜、イチャイチャの大量摂取は流石にしんどいんで…二人の時にしてもらっていいですか…?」



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