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ライナーの案内で城の中へと私たちは入った。実家である王宮の煌びやかな雰囲気とは違い、インテリアや装飾は豪華なものの少し時代遅れな気がする。これは内装から色々と手を加えた方が住みやすく明るい城になりそうだ。まだ会うことのできていない私の黒髪の旦那様がこういった雰囲気が好きであえて放置しているならまだしも、そうでないのならば私の商会から色々と取り寄せた方が良いだろう。


「皆様長旅でお疲れでしょうから、城の内部のご案内は明日以降でいかがでしょうか?」

「えぇ、構わないわ。そうしましょう」

「それでは姫殿下のお使いいただく部屋へとご案内させていただきますね」


ライナーに案内されて自室にたどり着いた。


「姫殿下のお部屋はこちらになります。隣は我が主の部屋となります」

「案内ありがとう、ライナー」

「とんでもございません。他の皆様のお部屋もご案内させていただいてよろしいでしょうか?」

「えぇ、よろしくね」

「かしこまりました。それでは失礼致します」


私と一緒に来ているレオやヴィヴィたちの部屋へ彼らを案内してくれるようだ。


「じゃあ姫さん、行ってくるわ」

「私も行ってきますね〜」

「えぇ、いってらっしゃい。少ししたらこちらへ戻ってきてくれるかしら?相談もあるし」

「あぁ、わかってる。また後で」

「行ってきます〜」


レオとヴィヴィはライナーの後に続いて出ていった。残ったアンドレアは、入った時点で私の部屋を隅々まで確認しにいっていたようで、終わったのか私のところに戻ってきていた。


「姫様、お部屋は全て確認致しましたが特に問題なさそうです」

「えぇ、ありがとう」

「この後はどうされますか?」

「そうねぇ、レオとヴィヴィが戻ってきたら作戦会議も兼ねてお茶にしましょうか」

「承知いたしました」


二人が戻ってきたら、今後の動き方の相談をしよう。前夫人の面倒な置き土産である侍女たちやその他の使用人たちの把握もしなければならないし、そもそもの辺境伯やその周辺の情報も集めなければならない。色々とやるべきことは山積みだ。



◇ ◇ ◇


ライナーに自分たちの部屋を案内されていたレオとヴィヴィが戻ってきたところで、私の部屋でお茶をしながら作戦会議を始めた。


「二人とも部屋はどうだった?」

「ん〜?特に問題はないな?」

「私も大丈夫だったわ〜」

「そう、それならよかった」


私たちの前に紅茶を用意していたアンドレアも席につき、私たちは今後の動き方を相談することにした。


「とりあえず、情報が圧倒的に足りないのよね」

「姫さんの旦那についての情報としては、噂通り漆黒の黒髪の人物ってことと、王宮では滅多に人前に現れないことで有名だったな。実際に会ったことのある貴族や使用人たちの話を聞いてみたが、性格は悪くなさそうで礼儀正しい親切な人物という印象が多かった」

「軍部の方で聞いた話としては、剣の腕も結構いいらしいわね〜。お父様やお兄様はいつか模擬戦でもしてみたいとおっしゃっていたから〜」

「ヴィヴィのお父上と兄君は、強さ命って感じだからなぁ」

「そうなのよ〜。だからあの二人の評価が良いってことは結構強いお方のようね〜」

「この城内で収集した情報ですと、前夫人の子飼いの侍女たちは輿入れと同時に一緒にきたらしく、先ほど会ったオリビエという侍女を含め子爵家や男爵家の子女が多いみたいでしたわ。辺境伯と前夫人の関係はあまりよろしくなかったようでして、会話も前夫人がお亡くなりになられるまで本当に必要最低限だったとか」

「こっちにきてからはほぼ前夫人はこの城の裏手にある別館で、辺境伯はここで生活をしていて、別居みたいなもんだったみたいだな?」

「えぇ、前夫人は辺境伯閣下の例の黒髪に大層怯えており、ヒステリックな精神面が弱い女性だったようですね。ご子息がお生まれになってからは役割を果たしたと言わんばかりに別館へと移動され、ここ数年はお二人がお会いになることもなかったみたいですわね」

「そう!旦那様のご子息!!つまりは私の子供なわけよね?黒髪なのかしら??」

「姫さん…食いつくところはそこなのかよ…」

「ご子息のノエル様は現在3歳で前夫人が養育していたようなのですが、あまり城の人間たちから情報は得られませんでした。黒髪であることは確かなようですが…」


(よかった〜!黒髪で!!)


別に黒髪じゃなければ邪険にするとかではない。そもそも子供は好きだから。でも黒髪だとより愛せるじゃない?早くあってみたいんだけれど、私の立場としては継母になるわけで。お母様でいらっしゃる前夫人が亡くなっていることを含めても子供の精神状況としてよくないかもしれない。あまり突っ走って今後の関係が悪くならないようにしなくちゃいけないわよね。まだ3歳ならば、子供向けのおもちゃとかお洋服とか色々考えて、うちの商会で新しい事業やブランドの立ち上げを始めるのもいいかもしれない。


「その旦那様のご子息は今どこにいるのかしら」

私の問いにアンドレアが答える。


「別館にそのままいるらしいですわ。前夫人が辺境伯を別館へ寄せ付けなかったため、ご子息と辺境伯閣下も関わり合いは薄いとここの使用人が言っておりましたわね」

「どちらにしろ前夫人はもういないんだ。どこかで会う機会を設けないといけないよな?」

確かにライナーの言う通り、どこかで機会を設けてもらわないといけない。


「そうね!明日から城を案内してもらう予定だし、ライナーにも相談しましょうか」

「明日のことだが、俺は領地の方も情報を集めておきたいし、ここのことはヴィヴィとアンドレアに任せて城を出てもいいか?それとアンドレア、あいつら借りてもいいか?」

「そうですね、彼らにもレオにつくように言っておきますので、いいように使ってください」

「そうさせてもらうよ」

「私は城内をもう少し探っておきたいと思うのですが、姫様から離れても大丈夫でしょうか?」

「えぇ、ヴィヴィがいるし大丈夫よ」

「そうしたら、俺は城外で領地についての情報収集、ついでに姫さんの旦那が今何してんのかも探ってくるよ。アンドレアは引き続き城内を探ってくれ。姫さんが会いたがってる辺境伯の息子に使用人たちの状況把握と城の構造とかも知っておいた方がいいだろうからよろしく頼む。姫さんとヴィヴィはライナーに城内の案内をされてきてくれ」

「そうね、わかったわ。みんなよろしくね」

「かしこまりました」

「は〜い」


これで明日の動き方が決まった。まだ黒髪の旦那様には会えなさそうだし、願わくば旦那様の息子に会えたらいいんだけど。もっと欲をいうなら仲良くなりたい。どんな子だろうか?楽しみだ。


レオは城の外、アンドレアは城の中の情報収集を。

アイリスとヴィヴィはライナーの案内を受けて城を巡ることになりました。


そろそろアイリス念願の黒髪親子のうち息子の方には会えそうな予感…

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