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十話:ただの見守り役でございます

目の前に高身長の人が立っていたからだ。夕暮れの逆光により顔は見えないが、威圧感をすごく感じる。俺は反射的にハピーの手を取って逆方向に走ろうとした。しかし体が動かない。

「!?」

どうにか動かそうとするが、足が地面と一体化しているようにまったく動かない。どうすべきかと必死に考えていると男性がゆっくりとこちらに近づいてきた。こんな状況では何もできない。俺とハピーはただただその人の動きを見ていた。

緊張が走る。

「ここにいらっしゃいましたか」

その人は優しい、しわがれた男性の声でこちらに語りかけてきた。

「やれやれ。私としたことが…………やはりハピ様からは目を離してはいけませんね。久しぶりに汗をかきましたぞ」

その言葉にハピーは大きく反応した。

「もしかしておじい?」

ハピーは期待を含めた声で聞く。

「ええ…………最初から分かっておられなかったのですか?」

男性が言い終わらない内にハピーは俺の手からスルスル抜けて勢いよく男性に飛びついた。

「おじい。久しぶりだね」

男性は抱き着いているハピーを軽々支えると「よしよし」と頭を撫でた。二人の影が一体化しており、仲の良さを表しているようだった。

「ここまでよく来られました……………………おや?そちらの方は?」

男性がこちらを向いているのが分かる。

「そちらの方は、浪也(おうや)君。僕たんの初めての親友だよ」

ハピーがこちらにやってきて紹介してくれた。

というか、いつ親友まで昇格したんだろう。でも、うん。悪くない。

ドサッと大きな音がした。と思うと大声で泣く声が聞こえてきた。見ると男性のシルエットが膝をついていた。

「ついに……………ついにハピ様がぁぁ!お友達をぉぉ!」

男性は豪快に泣いている。これにはハピーも苦笑いを浮かべている。

「まあ、そんなに泣かなくてもいいじゃん。ほらおじい。ハンカチあげるからこっち来て」

少し困ったような言い方でハピーが言うとシルエットが膝をついたままゆっくりとこちらへ近づいてきた。

「ええ……………………ありがとうございます」

そう言うとシルエットは姿を現した。黒色のスーツのような、執事がよく着ているような服装に身にまっとた老人がハンカチでオヨオヨと流れてくる涙を拭いている。眼鏡を上にあげていているのだが、四角眼鏡のレンズの部分が暗く、サングラスのようになっている。皺がかなり多く、一見ただのおじいちゃん、ハピーと一緒にいればなおさらおじいちゃんに見えてくるのだが、目がただ者ではない雰囲気を醸し出している。常にこちらを威嚇しているようにも受け止めれてしまう。

「すみません。どうも最近涙もろくなってしましまして」

執事風の人はハンカチをポケットに入れるとスッと立ち上がった。そして気づいた。

身長たか………………。

頭一つ…………いや二つ分位高い。

「さて。まずはお名前をお聞きしてもよろしいですかな」

「え………あ………はい………」

俺は何を怯えているのだろうか。目の前にいるのは身長の高いおじいちゃん。そうだ。

「俺の名前は浪也っていいます。波木浪也」

そう言うと、「そうですか」と顎を撫で始めた。何かを考えているようだが、なんだろうか。

少しするとおじいちゃんは指を弾いた。綺麗な音が鳴る。

何を思いついたのかと思った瞬間、突然おじいちゃんの周りが怪しく光った、と思うと突然綺紅な炎がおじいちゃんの周りを舞い始め、俺の強風が顔に吹き付けてくる。一瞬目を離すとおじいちゃんはその炎に包まれる。俺は炎が出た瞬間おじいちゃんの容体が心配になり駆け寄ろうとしたが、ハピーの感嘆の声で留まることができた。

見ると炎の中から無傷のおじいちゃんが、優雅に出てきた。そしてこう言った。

「私の名前はグレマウス。ホテルチャップ、タスト郷の総責任者です」

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