第7話 クラスメイトの死
亡くなった高野友梨奈は今朝、部活動の朝練に来た生徒に遺体が見つけられたそうだ
なんでも部室棟として機能している旧校舎の裏手で倒れていたのだとか
病院に運ばれてから死亡が確認されたのだと
それで警察が来てたのだろう
先生方も大変だっただろうな
救急車呼んだり、死んだ生徒の家族とのやりとりもあっただろう
俺はその高野という生徒のことは知らないからか、クラスメイトと言っても、実感は全然ない
自己紹介はまた後日と言うことで、先生も早々に教室を去った。多分まだやる事が山ほどあるのだ
始業式も急遽無しになったことで少し時間も出来た
後日担任から色々話をすることで始業式の代用とするらしい
日角先生も最低限だけ話をした後は、何かあったら直ぐに先生に相談して欲しいと言って、少し急いだ風に教室を出てしまった
死んだ生徒の担任として忙しいんだろうな
ただの1日も実質担任ではなかった筈な事を考えると、不謹慎だが、貧乏くじを引いたようなものだ
しかし旧校舎か…
そんな所で死んでたなんて、まさか自殺とか?先生は事故とも自殺とも言ってなかったけど、自殺ならそうと言うこともできないよな
何かあったら相談しろという先生の言葉も、自殺を連想させる
…人が死んだ場所って、暫く黒いモヤが湧くことあるんだよな
絶対では無いんだけどさ
学校内ではなるべく見たくは無い
まあ、旧校舎にわざわざ近づく事なんてないからどうでも良いけど
顔も知らない生徒と言うことで涼の関心は薄いが、隣の佐倉は俯いている
「大丈夫か?高野って子、もしかして友達だった?」
「同じ部活で…」
俯き口元を片手で覆っているため表情はわからないが、いつも自分以上に他人を気遣う沙凪の事だ。
今回のことが事故でも自殺でもショックだろうな…
「そっか…」
こんな時なんて声を掛けるべきか分からない自分の気の利かなさが悔やまれる
「俺でよければだけど、いつでも話聞くからさ」
「ありがと、井森君」
ようやく顔を上げてくれた
…涙が流れてなくて良かった
涼にぎこちなく笑みを浮かべてくれる
「この後、用事ある?部活とか。良ければ…」
決して下心からではないが、励ました方が良いかと早めの昼食でも誘うつもりで声を掛けようとした、その時
「井森涼…君、もう話は済んだのかしら。早速だけど着いてきてちょうだい」
必要以上に抑揚を欠いた澄んだ声がした