おふだを剥がして封印の壺を開けた天才教授が霊的現象を考察する話
「これを剥がしたらどうなると思うかね? 」
「いや剥がさないでください。こんな如何にもな封印の壺! 」
助手がそう言い天才教授が溜息をつく。
「はぁ。これだから君は……。学者たるもの子供の頃の探求心を持たなければならんのがわからんのかね? 」
「探求心で死んだら元も子もありません! 」
「研究に徹し、研究に死す。学者にとって名誉じゃないか! 」
「俺はこの前結婚したばかりなのですよ?! 付き合ってられるか! 」
そう言い残し老齢な男性の元を若い助手が去っていった。
それを見て再度息を吐く教授。しかし目の前にある、おふだが張られた壺に向いた。
手をかざして興味のままに「バリッ」と引き剥がす。
「さて何が出るか」
呟いてると壺からただならぬ雰囲気が出る。
教授はそれに怖気ずく様子もなく、むしろ興奮した様子で観察している。
カタカタ周りのものが動き始めて、収まった頃には一人の甲冑を着た男性がそこにいた。
『この忌々しい封印をといたのは貴様か? 』
「ふむ。やはり霊的なものが封印されとったか」
『おい。聞いてるのか? この爺! 」
「しかし思ったよりも実態がある。先程の現象も気になる。この者を仮りに霊としてもどのようにして周りに影響を与えた? 一度死亡すると何かしらの超能力が付与されてるのか? いやそう考えるよりも本来人間に備わっていた能力と考える方が自然だ。それが肉体に封印されることによりその機能が使えなくなっている、ということか」
『貴様。呪い殺してやろうか! 』
「ならば、あまり信じてはいなかったがオカルトのやつらが言っていた霊的昇華というのも案外的を得ているのかもしれん。これは忙しくなるぞ! まずは予算の確保からだ」
そう言い甲冑の男に背を向ける。
封印を解いたことをすっかり忘れて老齢な教授は研究室へ戻っていった。
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