被食者の懺悔
私は今、地球に着陸した。
赤錆の大地は、灼熱の太陽に灼かれ、雑草はおろか、虫さえいない。
そんな中、一冊の本を拾った。別段興味がない訳でもないので、船に戻って目を通そう。
相棒の莫迦も、そろそろ戻る頃だろうしな。
西暦三〇XX年、太陽は果たして地球に急接近し、オゾン層を消滅させた。人類は地下シェルターに避難し、いつ呑み込まれるとも知らない地球で、余生を過ごしていた。
今や月のそれと変わらぬこの岩の惑星は、宇宙人が来て旗を立てようが、うろうろしていようが、驚く者は一人としていない。むしろ、出られないと云ったところか。
そうだ、この地下都市の話をしようか。人類はここで、人工の太陽、人工の植物を使い、安定した生活を送ろうとしている。別段不自由は無いが何か窮屈な、それも外のない鳥籠の中に居るような感覚に襲われるのだ。
家畜なんていやしない。それさえも人工で、遺伝子をいじった植物から形成されるものだ。人類は全く、無駄な化学技術を得たものだと、嘲てしまいそうになる。
それさえも甘受している自分達も、それをするのに値するものなのだから、心情は複雑なものだ。
一人の化学者が云うことには、明日この岩は、宇宙の海に溶け出すそうだ。できれば一瞬で殺して欲しい。それが唯一の救いだ。
とは云え自分のような一般人は、太陽に呑まれて生地獄を味わうくらいならば、自らの手であの世への切符を手にするのだが……。
つまり自分はこの後、自害するのだ。この手記を読む者はどうか、残りの人生を享受し、生きていられること、そして死ぬことを残民共々、謳歌してもらいたい。
結局水の星に、いや、それだった岩に最も仇なしたのは、我々人類だったようだ。自分は人間として生まれてきたことを恥じて止まない。
次がもし、愚かな自分にあるのなら、いっそ太陽の一部になるのも悪くはないのかも知れない。
そうしたらば、それが爆発するまで、それとして他の岩の塊を照らすとしよう。
――悪いがもうお別れだ。
X月X日
私はその手記を閉じ、ため息を一つついた。全く昔の面影はない。変わってしまったな……。あの星も、生物も……。
悲しくなるのは調査官としての性なのか、それとも元が同じだからなのだろうか。
懐から千年前の、私の先祖が遺した地球の写真を取り出し、見比べる。あの青々とした星が、今や血のような、錆のような赤に染まっていて、冷や汗を流しながら息を飲む。
すると隣に座る、相棒の純火星人の男が、ふと訊いてきた。
「お前の先祖は、あそこに棲んでいたんだろう?全然昔の火星だな」
「そうだな、逆転ってやつかな。数百年前に火星に移住して、地球の技術の八割が火星に来たからな」
「…………そうだったっけか?ウチの爺はそんなこと云ってなかったぞ?」
「おいおい、冗談だろ?」
あの光景を前にして、下らないことで笑ってしまう。
私の一族は全て地球人で構成されているが、心の中まではそれでは居られなかったようだ。つまりは、元地球人だ。
そう思っていると、太陽は転がるように地球にぶつかり、一気に溶かしていった。
……もうここまで来てしまえば、今まで動かして太陽から一定以上離れてきた火星も、呑まれてしまうだろう。…………さてと、次はどこの星に、移住するかな。
「海王星なんてどうだ?見た感じ地球に似てないか?」
「おっと、こんな不謹慎な発言をしてしまおうとは、私も堕ちたな」
「俺もいいよ機会だと想っていたところだよ。上に掛け合ってみようぜ」
「そうだな……よし、帰るか」
そう云って、今では木星の後ろへ位置する火星へともどった。この瞬間、『地球人』は滅亡したのだった。
宇宙には、地球の残骸すら、残されていなかった。
おはようございます、こんにちは、こんばんは、兎杜 霜冴です! いかがでしたか? 初のSFは。
余った紙が多いもので、その裏に書いたものを、備忘録のようにここに揚げています。
そうね、今回も小話としますか。
私は親に小説を書いているのを話していません。恥ずかしいので。
ですが今日、小説大賞をやってみたいと云ってみました。結局打ち明けませんでしたぜ!
反応薄い人なので、いいんじゃね? 暇ならね。で終わりました。頑張っての一言もない、ちょっと漠然とした親なのです。
じゃあもう一つ。異世界モノですね。今四十三話までは書けました。まあ、半分もいってないので、まだまだかかりますね。
男ですが、髪を切るのが面倒で、ヘアピンして小説書いてます。たまに女に間違えられます。中身はキン肉マンです。
はい、話が右往左往しだしたので、ドロンと致しましょう。
読んで下さったあなたが大好きです!
またいつかお逢いしましょう!
それまでどうかお元気で。
ではではさよなら~
ありがとうございました!!
兎杜 霜冴