3話 未来人の存在
俺と、シロと先程まで居た男性だけの世界は、たった一瞬の瞬きで元の世界に引き戻された。通行人の足音が聞こえる。シロは、放心して、通行人の人混みの中にうずくまっていた。街中を歩く人は、シロの事なんか、見向きもせず、ただはけていく。
「おい、シロ大丈夫か?」
さっきから、シロは放心状態だ。俺は、とりあえずシロを背中に背負い、俺は、いろいろな感情を押し込めて全力で家に向かって走り出す。息を切らしながら、すれ違う人達の眼差しを、無視してただ家の方角だけを見て。
俺は、自分の部屋で、必死にシロに声をかけ続けている。このままシロは、この状態が続くのではないか、そう思うと、急に、不安になり、水を持ってきたり、うろうろしたり、また話しかけたり、バタバタしだしだした。そして、気づくと、手を握って、俺はシロの無事を祈った。自分の手汗は、ひどいものだ。すると、シロが喋り出した。
「ここって、何処?」
「俺の部屋の中だ、無事でよかった」
俺は、安堵の声を漏らす。俺は、シロの放心状態が治ったと思い、とりあえず、シロの水を用意しようと思い、立ち上がり、ドアの方に向かう。
「行かないで!」
シロの、悲痛の声が、俺の動きを止めた。俺は、とりあえずシロを寝かしているベットの横に座った。
「もう、体は、大丈夫?」
「あーー、大分マシにはなったよ」
シロは、少し、あんどした表情を浮かべている。
「それとさ、色々聞きたいことがあんだけど?」
俺は、ベットで横になっているシロの、近くの床にに座って質問をしている。俺と、シロと、二人ともある程度落ち着いたのを見て、俺はシロに話を切り出していた。
「言える範囲なら、答えてやろう」
シロのふてぶてしい態度も回復したようだ。
「単刀直入に聞く、さっきの出来事についてひとうしとつ説明してくれないか?」
シロは、少し黙り込み、急に俺の目を見つめてきた。俺は、少し照れて、顔の周りが熱くなりめを少し晒した。
「いいだろう、セイ、お前には、その資格が十分あると私は、評価した」
そう言って、シロは語り出す。俺は、つばを飲み込み、心を落ち着かせた。
「まず、あの男は、未来人だ、そして私は、この世界を守るために生きている、そして、あいつら未来人は、この世界を滅ぼそうと、計画している」
「ちょっと、タンマ」
俺が止めたのは、シロの言葉を嘘だと思ったからではない。シロが、朝、言っていた事だ。(この世界、2年後に滅ぶから)と、俺が、部屋から出て行く前言っていたことだ。あの時は、ただの冗談だろうとおもって、聞きながしていたが。
「おい、それって、朝、お前がこの世界2年後滅ぶ宣言と関係あんのか?」
すると、シロは、腕を組み難しい顔をして答えた。
「あー、大いに関係がある」
「このまま、いけば、2年後には、この世界は、破滅するということだ」
なんとなく分かっては、いたが実際にシロの口から聞くと重みがある。俺は、少し身震いをしたもの、なんとか、余裕ぶった態度を見せる。
あと、もう一つ、シロに聞かなければならないと思っていた事がある。そして、この質問をしなければ、あんな事には、ならなかったの、かもしれないが、この時の俺は、知るよしも
ない。
「どうして、あの未来人の男性を殺した?」
俺は、あの人は、確かに危険だかが、シロの力なら拘束できると思っていたから、殺す必要は、ないと思っていた。俺は、質問の答えに手に汗ばみながら待っている。
「それは、殺した方が、確実に安全だからだよ」
そうかもしれない、でも、だからって殺すのはおかしいしい思っていたし、シロが人を殺すのなんて見たくない、だからシロに反抗する。
「そうかもしれない、でも、人を殺すのはおかしくないか」
「頭の固いやつじゃな、だからさっきいったじゃないか!」
シロは、顔を少し赤くして、俺の目を睨みつけている。俺も、負けじと、シロを睨み返す。
「あと、一瞬で世界が、変わったのは、なんだ?」
「あれは、未来人の武器の一つだ」
俺の、質問に、また、涼しい顔に戻して答える。
「あーーそうかい、俺はちょっと散歩に行ってくるよ」
「おい、待て、セイまだ未来人の仲間がうろついてるかもしれん」
「知ったこっちゃないね」
俺はそう言い残し、家を後にした。
外は、凍りついた空気が漂っている。体の中に入ってくる酸素が冷たい。
「寒っ」
俺は、手を擦り合わ《はぁー》と息を吹きかける。今日の、一日は、大変だったな、スマホの時計は、午後8時を回っている。シロと、ケンカした事が、俺の心を《キューッ》と締め付けている。俺は、未来人とシロの戦闘を頭の中で、思い出していた。まるで、アニメの戦闘シーンを観ているかの、ようだった。魔法と未来アサスルトライフのぶつかり合い。そして、シロが勝ち、あの男は敗北し、命を奪われた。でも、結果的に俺は、シロに救われたのだ。そうこうしているうちに左側に河川敷が見えてきた。
(もう、ここまできたのか)
俺は、そう思い、元来た方向に向き直り、歩き始める
その時だ、俺の瞬きの一瞬で世界に取り残されたような現象に陥った。
(これは、あの時の)
俺は、シロと未来人の男の戦闘を振り返る。
(どうして、てことは、シロが殺した、未来人の仲間か!)
「こちら、002、対象を発見、ミッション開始」
どこからか、女の声が聞こえる。俺は、ダッシュで、とりあえずスマホを探していた。ポケットの中から、必死で取り出そうとするが、なかなか取り出せない。
(やばい、やばい、やばい、やばい、やばい)
俺は、心の中でやばいを連呼していた。
「みーつけた、セイ君、こんばんわー」
優しくて、狂気的な声が先程より、近くから聞こえてくる。後ろを振り返ると、髪の長い、清楚で優しそうで、どこか、シリアスな空気を、出しているお姉さんがいる。