2話 未来人との出会い
俺は、自分の朝食を手早く済ませて家族をなんとか説得してシロに人間の朝食を渡した。シロは、高速でご飯を口の中に運んで、あっとういうまになくなった。
「不味くは、なかったぞ」
そういうと、シロは口元を拭いて少し笑みを浮かべている。
「そういや、お前さん、学校の時間じゃぞ」
シロは、頭を傾けて疑問を投げかけた。俺は少し心の中が、もやっとしたが、すぐに返事をした。
「お前も知っているだろ、休みだ」
俺は、そう答えるやいなや、ベットに飛び込んだ。
「じゃー、今日は暇か?」
シロは、俺の隣に横になってゼロ距離で質問をしてきた。
「あーー暇だよーー」
俺は、反対側を見て気の抜けた返事をシロに送った。
「じゃあ、10時から一緒に外に行くから」
シロは、いきなり俺との外出宣言を宣告した。俺は、反論をしようと、体を反対に向けようとしたその時、シロの小さい手がそれをさせなかった。シロの手が背中に触れた瞬間、俺は冷や汗をかいた。何故なら、人間の直感的にヤバいと感じたからだ。多分、魔法の類いだろう。
「もう、こちらを向いてもよいぞ」
シロはそう言って、俺の背中を思い切り叩く。これは、反論は許さないということなのだろうか。その後、シロは親がいなくなったのを見計らって一階に降りていく。何をしに行ったのかと疑問に思っていたら、テレビの音が聞こえる。大方、暇つぶしに録画した好きな番組を観ているのだろう。シロは、猫の姿の時から、人間みたいにテレビを良く見ていた。姿、形は、変わっても内面は、変わらないとはこのことだろう。俺は、今日の出来事について振り返る。まず、白猫がなぜか見た目天使の幼女に、そして魔法も使えるみたいだ。魔法は、身をもって体験した。
「はぁ、俺の目覚めの朝の内容濃すぎる」
俺は、独り言を言いながらゲームの液晶画面に張り付く。
「おい、約束の10時だ、降りてこーい」
俺は、仕方なしに服を着替えてシロと一緒に外出する。鳥のさえずりが聞こえる。俺、シロの散歩に付いていっている。シロは、気分がいいのか鼻歌を歌っている。今日は、少し人通りが多いようだ。
「あー、すいません、急いでいたもんで」
通行人の男性が、平謝りをシロにしている。どうやら、肩がぶつかったらしい。
「おい、シロ早く謝れ」
俺は、少し早口でシロに命令するが、シロは俺の声なんか聞こ
えていないようだ。シロは、少し怖い顔をして、しゃがんでいる男性を睨みつけている。
「おい、あんた手を私に見せろ」
シロは、少し怒っている。俺は、なぜシロが怒っているのかと思ったし、それに何故、手を見るんだとも思った。そして、次の瞬間、視界が一瞬真っ白になりつぎに目を開いた時には、さっきまでの沢山の人や動物が一瞬でいなくなっている。まるで、世界に俺だけが取り残されたみたいだ。
「おい、セイさっさと建物の中に隠れろ」
どこからか分からないが、シロの焦った声が聞こえる。俺は、とっさにシロの命令に従っていた。そして建物に入った瞬間、爆発が起きた。臭い煙の匂いと、キーンという音が耳に響いている。少し口の中がジャリジャリする、多分これは砂、だろう。そして、目の前にシロと先程の男性の戦いが、から広がっていた。シロは魔法を、男性は見たことが無い未来感満載のアサルトライフルっぽいもので戦っている。
「お嬢ちゃん、どうして私が未来人だとわかったのかね?」
男性は、落ち着いた口調でシロに問いかける。男は、先程の通行人とは、まるで別人のようだ。そして、魔法は、使えないらしいが、アサルトライフルのような武器で少しシロを追い詰めている。シロは、全身血だらけで悔しそうな表情を浮かべている。そして、男がシロの1m以内に近づくと、トラップのようなものか発動した。そして今度は、シロが男性を追い詰めている。男性は、痺れて動けないようだ。俺は、シロが殺されずに済んで少し安心した。
「あー、危ない、危ない」
シロは、そう言って服のホコリを払っている。俺は、シロの元に駆け寄り、シロの無事を確認した後、この男性をどうするか提案する。
「とりあえず、警察に連絡しよう」
俺は、そう言ってスマホを出した瞬間、シロがどこからか、剣を魔法で出してきて、男性の、首をはねた。
「おじさん、バイバイ」
シロは、無表情で男性にとっての最後の言葉を投げかけた。俺は、この時、シロに少し恐怖を覚えた。そしてもう一度のシロの顔見ると、涙を流していた。俺が見ているのに、気づいたシロは、すぐに涙を拭った。