91 パルマ
「お2人は、お付き合いしてないんですか?」
リョウは、ウォルターとパルマの関係を聞いてみた。
「ああ、従兄妹だから仲は悪くないが、特に伴侶としては
考えていない・・・というか、周りが許さない」
ウォルターが答える。
「どういうことですか?」
「アンジェリカ伯母上がメイフィールド家に嫁に行ったため
両家の絆が強くなったのに、さらにパルマがガリア家に来たら、
絆が強固になりすぎて周りからいらぬ勘繰りをされる恐れがある。
特に王家に謀反の疑いをかけられたら面倒だ」
ウォルターが説明する。
「まあ、それ以前にこんな戦闘バカはナシですわ」
そう言って、パルマがオホホ笑いをする。
「俺だって、こんな尻に敷かれるのが確定してるような女はお断りだ」
ウォルターが反発する。
なるほど、こんなことが言えるのなら仲は良いようだ。
しかし、『いとこ同士は鴨の味』とはならなかったかと
思うリョウである。
「ところで、相当な腕のようだが、一手指南してくれくれないか」
ウォルターがうながす。
「ね、戦闘バカでしょ」
パルマが茶々を入れる。
「いらんことを言うな! で、どうなんだ?」
「はい、いいですよ」
リョウは、あっさり承諾した。
そして修練場に移動して、リョウは手加減しながらも、ウォルターを
圧倒中である。
正直、彼に恨みはないが、ここはきびしくやっておいたほうが
いいと判断した。
ありていに言えば、この世界では成人とはいえ、15歳のガキに
なめられたくはなかった。
「踏み込みが甘い!もっと思い切って!!」
「簡単にフェイントにかかりすぎです!」
「剣筋をぶらさない!」
とか、好き勝手言ってるが、一ヶ月余り前はド素人のリョウである。
たまたま修練場にいた者たちは、いつものようにウォルターが
相手を叩きのめすのだと思っていたのが、逆に手玉にとられて
いるのを見て、唖然としている。
剣の指導教官でさえ手を焼くウォルターがここまで一方的に
やられるのなんて、見たことはなかった。
「たぶん、こうなるとわかっていたけど、実際に見ると
ちょっと驚くわね」
オリビアが悟ったような顔で言う。
普段のウォルターの剣での無敵っぷりを知っているだけに、なおさらだ。
「私、もしリョウ様が伝説の勇者だと言ったら、信じます」
メイドも同じような顔で言う。
「ここに来るまでにリョウ様は、そんなに活躍されたのですか?」
2人の会話を聞いていたパルマが聞いてくる。
そこで、リョウに会ってからのことを話す2人。
「まあ、エド兄様の指示でうちの軍までが協力を・・・」
「はい、本来なら暗殺騒ぎなんて子爵家の恥なので
秘密にするんですが、今回はメイフィールド領軍にも協力して
いただいておりますので、お話いたしました」
「剣もですが、先ほどのお土産や未知の食べ物を作り出す知識のほうが
価値が高いですわね。伯爵家の両親が名前呼びを許すはずですわ」
パルマが納得したように言う。
「私は、歌がもう一度聞きたいです」
メイドが会話に参加してくる。
「歌?!」
パルマが首を傾げる」
「そうそう、歌もステキでしたわね。宿の食堂で吟遊詩人から
リュートを借りて、弾きながら歌われたのですが、聴いたこともない
すてきなメロディーと独創的な歌詞、アンコールが鳴り止まなかったですわ」
思い出して、うっとりしながら言うオリビア。
「そんなにすばらしかったのですか?!」
そういえば、手紙にもカミーユが歌をとても気に入っていたと
書いてあった。何のことだと思ったが、やっとわかった。
いろいろと頼みたいことが出来たが、まずはカラアゲを貰おうと
思うパルマであった。
『いとこ同士は鴨の味』
いとこ同士の結婚と言えば、日本語学者でもあった伯父の著書に
このことわざが載っていたのを思い出しました。
こんなことわざ、本当にあるのかな?と検索したら、ちゃんとありましたw




