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84 王都へ

次回から舞台が王都になります。

構想の練り直しをしたいので、更新は数日休みます。

結局、カラアゲは半分とられてしまった。

しかし、おいしそうに食べるオリビアたちを見てると、

『まあ、いいか』と思ってしまうリョウである。


そして、エレールの出現と協力の申し出、ポテチとカラアゲのことで、

オリビアからの求婚の返事をしそこなっていることに

気づいたが、こっちも、『まあ、いいか』で、うやむやに

することにしてしまう。




そして、現在、王都へと向かう馬車の中である。

昨夜は何事もなかったので、無事に早朝に宿を出発できた。


「これで、何事もなければ日の高いうちに王都に着けますわね」

と、オリビア。


「この街道は通行も多いですし、警備兵も見回ってますので

昨日のような大掛かりな襲撃は無理でしょう」

メイドが言う。


「となると・・・小数による暗殺か弓や魔法での狙撃ですね」

と、ジュリア。


「暗殺は、王都まで馬車から出なければ大丈夫でしょう。

護衛たちも馬車に近づく者はすべて排除するように指示しています。

問題は狙撃ですね」

オリビアが言う。


「私のサーチとジュリアさんのスキルで相手を見つけて、

先手をとることが出来ればいいんですが・・・」

リョウが言うと。


「はい、判断はお任せいたします。それと・・・」

オリビアがリョウに迫る。

「まだ、何かおいしいものを隠してたりしませんわよね?!」


「護衛を引き受けるときに、飲食はオリビア様がもつという

ことだったはずですよね。これ、契約違反じゃ・・・?!」


「リョウ様が私達の知らないおいしいものを隠しているから

いけないんですわ!」


おねだりをするときにお約束の女性特有のトンデモ理論である。

こういうときに正論を言う男は女性に嫌われるので注意が必要である。

リョウは、母や妹との経験から、それがよくわかっていた。


「あとは、お酒と非常食ぐらいです。王都に着いたら、

宿屋で調理場を借りて、作るつもりではいますが」


「それなら、ノーレッジ子爵家(うちの)王都邸で作られたら

いかがでしょう?!たいていのものは、揃ってるはずですわ」


「というか、皆さんの夕食も作らせるつもりでしょ」

そんなたくらみなんて、お見通しである。


「いいじゃありませんの、この満たされぬ心の代わりに

お腹を満たしてくださいな」


「誰がうまいことを言えと・・・あ!」


収納バッグの中身をチェックしていたリョウは、あるものに

気がついた。


「どうなさいました?」


「いえ、何でもありません」

と言うが、ごまかせるはずがない。


「何かいいものがあったのですね」

オリビアの目がキランと光る。

まさに獲物を見つけた野獣である。


「「 リョウ様! 」」

ジュリアとメイドも加わる。


「そうですね・・・」


リョウはバッグからガラス製の広口ビンを取り出す。

中身は透明な液体が入っている。そう、水飴である。


「もう、おねだりはナシにするなら、これを差し上げます」


「それは、何ですの?」


「さあ?!何でしょうね~。いらないならいいですよ~~」

そう言って、オリビアの目の前で2~3回空中旋回させた後、

バッグに収納する。


「あ!・・・・・・」

オリビアが手を伸ばそうとするが、すでにビンはバッグの中である。


「リョウ様、意地悪ですわ!」

オリビアがふくれる。


「ア~ア~、キコエマセ~~ン」

リョウは耳を両手でふさぎ、聞こえないふりをする。


「リョウ様!!」

オリビアが叫ぶが、そのとき左右から視線を感じた。


それは、自分とリョウをなんとも言えない顔で見ている

ジュリアとメイドであった。


「なんですの?!あなたたち」


「お嬢様が、わがままをこれほど言うのは珍しいと・・・」

メイドが言う。


「まるで、仲の良いご兄妹のようです」

と、ジュリア。


「な、な・・・」

オリビア、顔真っ赤である。


「お兄様と呼んでくれて、かまいませんよ」

むしろ、そう呼んでほしいリョウである。


「リョウ様ぁ~~~!!!!!!!」



結局、水飴を渡すことで、この場はおさまった。

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