83 エレール
そして、声のしたほうから現れたのは、メイフィールド領軍の
スカウト、エレールであった。
エレールは、リョウが座っているソファーのほうに
歩いてきて、隣に座る。
「どなたですの?」
オリビアの問いに、
「リョウの愛人」
そう言って、リョウにしなだれかかるエレール。
「いえ、彼女の冗談ですよ」
あわてて言うリョウだが。
「昨夜も一緒に寝た」
「『も』じゃないだろ!何かの確認のためにというので
一回だけ一緒に寝ただけで、Hなことしてないだろ!」
結局、何の確認かエレールは教えてくれなかった。
「そう、リョウはヘタレ童○ということの確認」
「ど、ど、ど、○貞ちゃうわ!」
「しかも、ホ○ケ○」
「見たんか?!ええ!見たんか?!」
「と、ネタはこれぐらいにして、大事な話がある」
やっと漫才が終わった。
「つまらないネタなしに、最初から話してほしかったですわ」
オリビア、ご機嫌ナナメである。
「ムラーズ商会のミックが、魔物使いたちを殺して
口封じしようとしている」
エレールの言葉に部屋の中に緊張がはしる。
「お嬢、どうします?」
護衛隊長が聞く。
が、それに答えたのはエレールだった。
「何もしなくていい」
「それは、どういう意味ですの」
オリビアが尋ねる。
「あなたたちは王都へ行くのが最優先のはず。
あとは私達がやっておく」
「なぜ、あなたがたが私に協力してくださるの?」
「あなたのためじゃない、リョウのため」
エレールはリョウに向き直って言う。
「エドワード様からの伝言。『大人げないことをしてすまなかった。
許してもらえるなら、ぜひ友達になってほしい』とのこと。
そして、私に協力するように命じた」
「エドワード様が・・・」
リョウは少し考え、
「わかりました。この借りは必ず返すと伝えてください」
「ん、任された」
エレールは立ち上がり、部屋を出ようとして立ち止まり振り返った。
「大事なことを忘れていた」
まだ何かあるのかと身構えるリョウ。
「ポテチとカラアゲをよこす」
リョウは、ずっコケた。
パリパリパリ・・・
エレールがいなくなった部屋では、ポテチを食べる音が
響いていた。
「ジャガイモがこんなふうになるなんて、思いませんでしたわ・・・」
と、オリビア。
「パリパリ・・・リョウ様は、まさしく賢者様です」
ジュリアが言う。
「ポリポリ・・・くそ~~~、これをツマミに酒を飲みて~~ぜ!」
護衛隊長が嘆く。
リョウがエレールにカラアゲとポテチを渡すところを見て、
オリビアたちが、自分たちにもと、ねだったのだ。
なんとかポテチだけということにしてカラアゲは死守したが
ポテチはなくなってしまった。
また機会を見つけて作っておかないといけない。
そして、エレールについて説明する。
「つまり、あのエレールという方は、メイフィールド領軍の所属で、
メイフィールド伯爵のご子息のエドワード様の部下ということですね」
「はい、偵察・情報収集が主な任務だそうです」
オリビアにリョウが答える。
「ジュリアも気づかないとは、相当に優秀な方のようですわね」
「申し訳ございません」
ジュリアが謝る。
「仕方ありませんわ、スキルの相性もあるでしょうし。
後は、彼女にまかせて、私達は王都に向かいましょう。
それと・・・」
オリビアはリョウに向き直り言う。
「やっぱり、カラアゲもくださいませ!」
「・・・・・・」
この異世界、くいしんぼばっかである。




